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なんもしてねぇ!よかったよね【Vtuber最協決定戦S2】#NsNWIN

 1月24日に主催渋谷ハルさんで行われたVtuber最協決定戦S2.
毎試合白熱する試合展開,異なるチームがチャンピオンを取るというハラハラ感,チームそれぞれの熱いドラマ...どれをとっても最高の大会だったと思います.
そんな中で同率1位という素晴らしい結果を残したチーム「なんもしてねぇ」(以下NsN)について話していきたいと思います.

なんもしてねぇとは

 NsNとは,勇気ちひろさん・ラトナ・プティさん・イブラヒムさんで構成された,全員がにじさんじに所属しており,ダイヤモンドランクのチームです.

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このチームが発足した経緯については,チームリーダーであるラトナさんの動画で詳しく説明されています.

リーダーとして渋谷ハルさんから招待を受けたラトナ・プティさんは,第2回CRCupからジブラルタルを本格的に練習をしていて,DTN所属のaleluさんからコーチングを受けています.そのジブラルタルの練度は最協決定戦の中でも上位に位置しています.

まず最初に声をかけたのがイブラヒムさん.理由としては,レイスやクリプト,ブラッドハウンドといった多彩なレジェンドが使える器用さに目を付けたそうです.第2回CRcupでは練度が要求されるクリプトを猛練習し,チームの後衛を支えていました.

次に声をかけたのがレイス使いの勇気ちひろさん.チームの柱として様々な大会を経験し,オーダーができる人が欲しいということで声をかけたそうです.兼ねてより勇気ちひろさんのオーダーでApexをしたいと公言していたラトナさんのラブコールを受けた形で,チームに参加しました.この勇気さんのオーダーで動きたいという話は,2434キルリレー前からラトナさんがしていた話で,ようやく夢が叶ったのがこの大会でした.

ちなみに「なんもしてねぇ」の由来は皆試合中なんもしてねぇ!生きてるだけで偉い!という所にあるそうです.まじ適当

NsNの強さ

NsNの強さはどこにあったと考えますか?よかったら#NsNWIN で呟いて教えてください!自分が考えるNsNの強いところは、「自動化されたオーダー」と「信頼関係」です!

●自動化されたオーダー
このチームが強かったところは、“第3収縮までのムーブがアンチによって決まっていた”事にあると思います.
例えば、
・ガーデン寄りのアンチになった場合は、リフト北側を抜けてガーデン北側の坂道をとる動きをする
・リフト寄りにになったときは、リフト-送電網間の最北部の家をキープする、そこが空いていなければ、送電網の家でアンチ収縮を待つ
といった動きをすることを三人が共通の認識を持っていて,不意の戦闘も避けることができていたのではと思います.勇気さんもオーダーの声掛けの時に「いつも通りで行くよ」と言っていてオーダーがやりやすそうだったのも印象的です.このおかげでNsNがアンチダメージで壊滅することもなかったと思います.

そして自動化されていたからこそ,「型から外れる」行動も取りやすかったのではと考えます.どの場所で,どのチームと接敵したという記憶を3人が共有していたので,本番に「ここを避けよう」といった,普段と違うムーブにも迷うことなく,挑戦できたのではと思います.

●信頼関係
プティさんがNsNが高順位をキープし続けられた要因として,「信頼関係」を挙げていて,実際そうだと感じました.

特にNsNの信頼関係を感じられたのは,互いのカバーをしているときです.
例えば練習カスタム最終日の1試合目のTMSのハイドを潰して,JMYとファイトした場面です.

ハイドを倒した後,まず勇気さんが牽制のためコンテナに上って相手に攻撃を仕掛けます.その後勇気さんが被弾して下がるとすぐにイブラヒムさんとスイッチして,イブラヒムさんが攻撃を仕掛けます.そしてイブラヒムさんが攻撃を受けると何も言わずに勇気さんと再びスイッチ.それに敵が気を取られている間にプティさんが射線を広げて横から攻撃を仕掛けています.

これは戦闘においてのカバーですが,常にフォーカスもぴったりでした.移動でもそれぞれが互いにカバーしながら移動し,それを声に出さずとも3人がこなしていたのも印象的でした.例え結果的に間違ったオーダーであっても二人がついていくという安心感があったからこそ,勇気さんが自信をもってオーダーできたのではと考えます.

なんもしてねぇのドラマ

NsN自体カスタム前から優勝候補として名乗りを上げていましたが,本当の優勝候補として挙げられるようになったのは,APWとしのぎを削り,練習カスタム1位に躍り出た最終日のカスタムだったと思います.なんもしてねぇがなんかしてた好きなエピソードをいくつか紹介したいと思います.

●NsNの方向性を決めた初日のチャンピオン

NsNの今後を決めたといっても過言ではない初日のチャンピオン.この試合は序盤でイブラヒムさんが落ちてしまいましたが,中盤でイブラヒムさんを復活させ,最後はクリプトとジブラルタルのウルトで全てを破壊した試合です.

この試合の見どころの1つとして「オーダーの安定感」があげられます.最終縮小で下段に入る判断が勝負の決め手だったと思います.NsNの強みは,広いアンチの中で落ち着ける場所をクリプトで索敵できる点です.しかし,アンチが収縮するほど短い時間で索敵する必要があり,そういう場面ではクリプトよりブラッドハウンドが強いと思います.その弱点を補うのが,アンチが収縮するほど,ヘイトを買わない場所に入るのがうまい勇気さんのオーダーです.実際3チームになったとき,JMYは下段に入ったNsNを見失っていて,MANとの戦闘を余儀なくされます.これと同じシチュエーションが大会本番にもあったのはご存知でしょうか?そう,NsNがチャンピオンを取った4試合目です.この4試合目でも最終収縮で残っていたのがNsNとJMYというのは偶然なのか.

実は勇気さんはオーダーをする事に対してあまり乗り気ではなく,
3人がそれぞれ状況判断ができるなら,オーダーはいらないのでは?
とカスタムが始まる前のチーム練習配信で述べていました.

ただラトナさんがちーちゃんのオーダーでApexをしたい!と言っているいう切り抜きをみて,オーダーをやってみることにしたそうです.

勇気さんの状況判断能力はずば抜けていますが,これまでの参加した大会を振り返ってみると,オーダーをしたのはVtuber最協決定戦のかなちーくずのみです.複数の大会に参加していながら,大会でオーダーをしたことは1回しかありませんでした.

この初日にチャンピオンを取ったことで,勇気さんの自信にも繋がり,NsNは勇気さんのオーダーを中心として練習に臨んでいくことになりました.

●苦しんだ6日目のカスタム,そして掴み取ったチャンピオン

NsNが順調に仕上がっていると思っていたところで,NsNがつまずついたのが6日目のカスタムです.殆どの試合で10位以内に入っていたNsNが第2収縮にも入れず,全員0ダメージを記録するなど,この日のカスタムの序盤はとても苦しい状況が続いていました.

原因として幾つかあげられると思いますが,1つは他のチームがムーブを変えてきたことが原因だと考えます.例えば,アンチ外ムーブをするチームが出てきたり,コーチングの一環としてコーチがオーダーをリアルタイムで行ったり,多くの助っ人が参加していました.また,アンチが比較的遠かったというのも要因の1つかもしれません.

苦しい状況の中勇気さんが個人コーチであるYukioさんを呼び,コーチングをお願いするという所もありました.実際YukioさんがNsNのムーブを言語化し,ジブ・クリ・レイスの強さの再確認,アンチの入り方等のコーチングをすることで,チームの状況が変わりました.

個人的に本当にNsNがチームになったと感じた瞬間は,この日のカスタムです.NsNはカスタム以外だと殆ど練習していなかったチームだったのですが,連携も完璧で,オーダーも固まっているという珍しいチームでした.そんな上手くいっていたチームが崩れてどう立て直したのかというと,オーダー以外の2人のサポート・話し合いでした.

例えば,ランドマークのDOCKSのファーミングについての提案です.DOCKSは物資が豊富なのに対して,ファームに時間がかかるという問題がありました.そこでイブラヒムさんがより効率的に漁れそうなルートを提案し,ファームの効率化を図っていました.

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他にも,強気なファイトについても2人が意見を出していました.この日は勇気さんがオーダーについて自信を喪失していたこともあり,ファイトの仕掛けが難しかったという問題も中盤の試合にありました.
そこで,プティさんとイブラヒムさんが「フィジカルは他に負けないから自信をもってファイトしよう」と提案していました.Yukioさんも「レイスのファイトのコールがあるかないかで勝負が変わる」と言って,自信を持つように促していました.第5試合は強気にファイトを仕掛け,10位であったものの,チームの状況に光が射し始めました.

そして迎えた運命の第6試合.

まず注目するところは,序盤のドック・送電網間のファイトです.アンチがリフト寄りになるという予想で早めに送電網を抜けようと動きますが,いつも簡単に通り抜けられる送電網で足止めを食らってしまいます.そんな時に,ドック側から別のチームが来てしまいます.

そこで勇気さんの魔法の一言が飛び出します.

「これやろう」

大した台詞ではありませんが,裏で応援放送をしていたDTNのマネージャーであるGo_Tsukishimaさんの放送では滅茶苦茶盛り上がりました.実際調子良いときの勇気さんであればよく聞く言葉ではありますが,この日は聞くことがなかった言葉でした.ちなみにこの時の応援枠がこちらです(滅茶苦茶勉強になるし,面白いので応援枠全部個人的にオススメです).

この後ドック側から来たチームを倒し送電網の家をキープしつつ,アンチの収縮を待ちます.その後はハイドを潰しつつ3部隊に.ここで高台をキープしたBIGとアンチを取りに行くJMYとで戦闘が起こります.

この時に勇気さんがジブラルタルのウルト発動の瞬間に,高台の下に張り付きポータルを引きます.これによって,まだNsNが家にいると思っている,ファイトに勝利したBIGは奇襲してきたNsNの登場に驚き,最後はイブラヒムさんが敵を落としてチャンピオンをとりました.

この最後のファイトで凄かったのがフォーカスを合わせる速度です.まず勇気さんがレイスを落とし,ジブラルタルにもダメージを与え,「ジブミリ!」と叫びます.この瞬間,ホライゾンを撃っていた他の二人は一瞬でジブラルタルにフォーカスを合わせていることを各視点で見ることができます.

この苦しかった6日目があったからこそ,最終日に大躍進を遂げることができました.

●最終日で完成したムーブ,圧倒的なNsN

最終日,コーチにKNRのきなこさんを迎えたNsNは全試合で5位以上,チャンピオンを2回取るという破格の安定感を見せました.そしてカスタムを通して初めて総合1位をもぎ取りました.

この日1位だったNsNは81ptだったのですが,2位のAPWも78ptと,普段のカスタムだったらAPWが1位でもおかしくないポイントです.

初戦からチャンピオンをとるNsNを見てきなこさんが一言

「これ俺いる?笑」

きなこさんが同時視聴・解説しながら配信していたのですが,きなこさんが「俺ならここで○○するなあ」と言うとすぐにNsNがその通り動くという展開が多くてきなこさんの枠もとても楽しかったです.後はCRcupで同じチームだった勇気さんの口の悪さを見て,「こんな口悪かったかな」とびっくりしている場面もありました.

NsNはクリプトの強さを生かしきっている場面が目立ちます.先ほど述べたように,クリプトは広いアンチの中で落ち着ける場所を索敵できる点が強いですが,その情報を吟味できる力も必要になります.単純に空いている場所を探すだけなら簡単ですが,先の動きを考えて動かなければどんどん次の動きがきつくなってしまいます.NsNは3人でその辺りを上手に擦り合わせを行っていて,勇気さんも次の動きを口に出すようなオーダー・索敵指示を行っていました.これももちろんクリプトの高い練度を持つイブラヒムがいるからこそできる動きでしょう.

オーダーの勇気さんが2手・3手先を予測するだけではなく,サブオーダーのラトナさん・索敵役のイブラヒムさんが予備案を提案できる体制だからこそ,最終日に抜群の安定感を出せたと思います.

大会当日のなんもしてねぇ

大会本番の意気込みについては,イブラヒムさんとプティさんが言っていた通りだと思います.

イブラヒムさん「練習と同じ気持ちでやろう」

プティさん「本番は練習の成果を見せる場所」

まさしくこの通りだったし,練習以上の成果も見れられて,どの試合もとても素晴らしかったです.本番のNsNについては多くの人が語っているところでもあるので,自分からはここが優勝の決め手だったと思う部分をいくつか紹介していきたいと思います.

●1試合目,勇気さんの神ハイド

ガーデン寄りのアンチになったことにより,いつも通りリフト側のアンチカットをしつつ,ガーデン北東側のエリアに入ろうとしたNsN.そこにアンチ外からAPWが奇襲をしかけ,勇気さん一人になってしまいました.このAPWの登場は,応援団長のgo_Tsukishimaさんもどこから来たのか予想できないほどの完璧な奇襲でした.

多分カスタム・本番を通して,1人だけ取り残されてハイドしたのはこれ1回きりだったと思います.

しかしここはソロ歴が長い勇気さんの漢のハイドで順位を伸ばします.特に最後のアンチギリギリの家壁張り付きは凄かったです.

この試合では順位は伸びなかったものの,キルポイントもあり,9ptで終わりました.

応援団長のgo_Tsukishimaさんも「1試合あたり10ptとることが重要」と述べていて,上々の立ち上がりだったと思います.

●2試合目,通り抜けたエステート

この試合は水耕施設北側にアンチが寄るという,NsNからすれば苦手な遠いアンチになった試合でした.水耕施設にアンチが寄った場合,オアシスから回っていく端ムーブを選択してきたNsNはここで一つ冒険に出て,研究所・エステートのマップ中央部を通っていくルートを選択しました.これは6日目・7日目のカスタムで,オアシスの南が混んでいた事を頭に入れていた為だと思います.

移動中,勇気さんがダウンを奪われるも,水耕施設の北側に早い段階で入ることができ,さらに水耕施設北側のフェイズゲートのアンチカットにも成功し,4位という高順位につけることができました.

●3試合目,BIGとの対面

この試合の分岐点と言えば,送電網でのBIGとのファイトだったと思います.このファイトに勝てたからこそ,2位という高順位につけることができました.

NsNは,敵のホライゾンウルトでレイスとジブラルタルの体力が削られ,ジブラルタルも落とされてしまい,不利な状況を作られてしまいました.しかし,射線を確保していたイブラヒムさんのヘムロックとクリプトウルト,落とされる前に敵の体力を削っていたラトナさんの貢献によって,敵二人を落としきりました.最後は,アーマーが削れたまま別の方向から詰め切った勇気さんとイブラヒムさんの判断で,見事不利な状況からファイトを制することができました.

この時の実況解説の「クリプト弱ぇー!!」という台詞も印象的でした.

●4試合目,被せを跳ね除け,他のチームを戦わせ掴み取ったチャンピオン

試合開始直後から.イブラヒムさんが「そろそろ(ポイント欲しいチームが)被せてくるんじゃないか?」という心配をしていて,実際にTMSが勇気をもって初動を被せてきました.TMSはカスタム中にも初動被せを練習しており,個人的には破天荒なチームです.そんな中で,勇気さんは冷静にチームメンバーに「うちらならやれる」「集まろう」と声掛けをします.NsNはDOCKSの初動争いは初日の最初しかやっていませんでしたが,勇気さんはCRcupのとき散々DOCKSの初動争いを練習しており,先ほど述べたように漁る場所の研究も済んでいました.それによって圧倒的な物資を持っていたNsNは難なくTMSをせん滅しました.仮に時間をかければ,DOCKSのすぐ近くに降りているABC,NJ夜神月から漁夫が来る恐れがあったため,いい形で初動を制することができました.

そして多くのチームがDOCKSアンチを予測して移動する中,先にアンチを読んでいたNsNは母艦・オアシス間の北側の家に展開します.このアンチもカスタムで経験したことを覚えていて,その時の最終収縮付近に陣取った形となります.カスタムで最終収縮まで残り続けた経験が生きてる証拠です.

ただそこで勇気さんに腹痛が襲います.脂汗が噴き出るほどの苦しい痛みの中,勇気さんは要所要所で鋭いオーダーを出し,ラトナさんとイブラヒムさんも勇気さんを最大限カバーします.周りの敵の警戒はほとんど二人で行っていました.

そして最終収縮では,NsNが得意とする2チームを先に戦わせて最後漁夫を狙うポータルが成功し,見事チャンピオンをとりました.相手側のJMYは完全にNsNを見失っており,JMYを観戦していたチームの多くもNsNがどこで移動していたのか分かっていない様子でした.最後は完全にオーダー勝ちといっても過言ではないでしょう.

●5試合目,勝負の分かれ目のジャンプタワー

そして迎えた最終試合.総合順位はNsNはJMYと僅差の2位.そこで引いたアンチはおそらくNsNが最も苦手とする盆栽プラザアンチ.どのアンチでも高順位を取ったことのあるNsNでも,盆栽プラザをキープする前にやられていた苦手アンチです.

そこでNsNの3人がとったのが,ジャンプタワーで盆栽プラザ近くまで飛ぶという判断でした.安定したムーブを常に選択する勇気さんのオーダーとは全く逆のオーダーで,見てる側もドキドキしました.

そして見事その判断が功を奏し,キルポイントを求める薩摩隼人勇気さんを他の2人でなだめながら,盆栽プラザへと入っていきます.

そして生まれたのがこの最協に相応しい名シーン

「「上が空いてるなら上取りたい!」」

まさかのシンクロするオーダー.しかも実はイブラヒムさんも「上が…」と言いかけているので実質3人のシンクロという.

3人が3人ともお互いのことを完全に信頼し,理解しているという現れで,見ていて「こんなん優勝やん」と画面の前でニチャと笑っていたのを覚えています.

この後アンチをキープすることに成功したNsNは見事4位につけることとなり,苦手なアンチで高順位を取れたからこそ,JMYとの同率1位に繋がりました.

●総合結果からもわかるNsNのバランスの良さと安定感

キル数でトップだったのは,同率1位だったJMYの久檻夜くぅさんで,16キル,また同じくJMYの獅子神レオナさんも14キルで2位という結果でした.

それに対して,NsNはラトナ・プティさんが13キルで6位(14キルが複数いたため),勇気さんが11キルで8位という面白い結果になりました.

ダメージランキングでも,最高で勇気さんの4600ダメージで8位,チーム総合キル数でもBIG,JMYに続いて3位という結果でした.

本番という大舞台でこそ,普段通りを徹底しつつ,常に改善策を模索し続けた姿が数字からも読み取ることができます.

最後に

完全に余談なので,飛ばしていただいて大丈夫です.

JMYとNsNの皆様同率1位おめでとうございます.

本記事ではNsNしか触れていませんが,JMYもとても面白いチームだと思います.前回の最協決定戦と同じメンバーで今回挑んだのがJMYだけで,しかも構成がコースティック・レイス・ホライゾンという当時は珍しかった構成でした.この構成は実は,先日行われたALGSWC#1(Apexの日韓大会)で猛威を振るったCRやT1といった韓国勢が使っているものと同じで,言ってしまえばApex研究の最先端を行っていた,キルムーブ寄りの構成でした.

実際アンチ読みが外れると難しい構成でありながら,高順位を取り続けたのは,オーダーの力も大きいと思います.

NsNを一言で言うなら,「安定感」だと思いますし,実際多くの人が優勝するべく優勝したと言うと思います.ただ,こんな駄文に目を通してくれた方々には,NsNにもドラマがあって,苦しみながらも掴んだ勝利であることを知ってもらえれば幸いです.

多分NsNはチーム全体で見れば平均的で,フィジカルだけならもっと強いチームも沢山あって,真正面から敵と戦えば50%の5分の勝負になっていたのではと思います.

何が勝負を分けたと考えると,たぶん答えは出ないでしょう.

でも,どんな強いプロチームでも一回はこけて初動で落ちます.ただNsNは全試合10位以上,しかもキルポイントも拾っているとなれば,その安定感は明らかに異常の域に達していたと言っても過言ではないでしょう.

このような安定感を生んだ理由を1つ挙げるとするなら,「3人が同じ哲学で動き,自分の役割を全うしていた」ことではないでしょうか.

私は元々サッカー観戦が好きで,そのサッカーの哲学の中で「トータルフットボール」という考えがあります.簡単に言えば,「攻撃守備という完全分業制を、全員攻撃・全員守備という流動的なものにする」というまさしく夢のようなサッカーの考え方です.現在のサッカーはあくまで,このトータルフットボール”的な”サッカーで,ゾーンディフェンスの登場で終焉を迎えたとも言われていますが,個人的に好きな考え方です.それを達成するためには,阿吽の呼吸に近い連携と,お互いの考えを完全に理解し,実行するための信頼関係,90分走り続ける体力が必要となります.

何が言いたいかというと,NsNはこのような極地に近い部分までチームの連携を高めることができたのではという事です.これがまた大会のレベルや環境が変われば,違うだろうという意見はあるかと思いますが,少なくとも最終試合のシンクロをみて私は,NsNが1つの塊として行動するチームであると強く感じました.

Apexというゲームは瞬間瞬間で最善策を引くという事が必要で,その判断を一瞬で行うのは,様々な要素(複数いる相手チームの動き等)が絡み,とても難しいゲームです.サッカーもミスをしなければ負けないと言われているほど,一瞬のミスが致命的なエラーに繋がってしまい,この部分がApexとよく似ていると思っています.

そこで重要になってくるのが,後から見て間違っていると感じても,その瞬間だけはチームを信じて飛び込む判断です.NsNもあとから観て間違えてたと反省していても,その判断を信じて飛び込む事ができる素晴らしいチームだったと思います.

あともう1つだけ語りたいことがあるとすれば,「かなちーくず」の存在です.大会を主催した渋谷ハルさんは今回も「かなちーくず」で大会に出ると思っていて,かなちーくずの3人の中で招待券を叶さんにしか渡さなかったということを事後放送で語っていました.しかし,蓋を開けてみれば「かなちーくず」の3人は別でチームを組み,カスタム中も互いにしのぎを削りあっていたことで,お互いを高めあっていました.
このVtuber最協決定戦のpt制度だとおそらく「かなちーくず」を見ることは難しそうですが,何か違う形でいつか見れる日が来ると嬉しいです.

最後は散らかった話になってしまいましたが,最後までお読みいただきありがとうございました.

また,このような最高なVtuber最協決定戦を開催するにあったって動いてくださった沢山の方々にも御礼を申し上げます.また次回の大会も楽しみにしております.

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