ランダム小噺「羊」

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 羊と言う単語を見て思い浮かぶのはポールマッカートニー。その昔牧場でラム肉を食べながら子羊たちが元気に遊んでいる姿を目にしてしまい、以来ベジタリアンを貫いているそうな。良い音楽を生み出す人は感受性が繊細なのだなぁと感心したのを覚えている。私なら二匹目のおかわりを要求していたに違いない。それくらいラム肉は美味しい。

 特に羊肉串なんてのは子供の時の大好物で、たまに母が作ってくれたのを覚えている。今考えると羊肉串を家で作るのはなかなか珍しい家庭だったのかもしれない。ただ、神戸中華街が近くにあったので材料を手に入れるのは容易だったろう。一昔前にサイゼリアで販売していた時も食べに行き、あぁ懐かしい好物の味だと大変喜んだものである。期間限定だったのが残念なくらいだ、レギュラー化しないかな。

 そんなわけでサイゼリア以降はなかなか羊肉串にありつく機会がなかったのだが、最近家の近くの中華屋で羊肉串がメニューにあるのを発見した。一串150円、なかなかリーズナブルな気もする。大久保あたりに行くと羊肉串メインのお店とか見つかるけど高いんだよな。一串から頼めるのもありがたい。

 早速この間注文して食べてみたわけだけども、やはりここもあの羊肉串の味がして大満足だ。というか、羊肉串って一番味のブレが少ない料理の気がする。だってスパイスかけまくるし。もちろんお店ごとに味は違うのだけど、あの羊の柔らかさとスパイスの香ばしさはどこの店でも確実に保証してくれる。これからもラム給油所として使わせてもらおう。

 ラム肉も美味しいのだが、もう一つ好きな場所がある。脳である。昔トルコ料理屋さんで店主にサービスされたのがきっかけだ(日暮里のザクロというお店。コロナで苦しいらしいので是非行ってみてください)。フォアグラかあん肝の味がした。そっち系の味が大の好物なのだ。

 ただ、羊の脳味噌は羊肉串以上に食べられるところが限られている。メニューにあったとしても高そうだし…。と、いうことでこちらに関しては貪欲に店を求めることはなく、あわよくばまた食べたい、くらいに気持ちを抑えている。ちなみにフォアグラの調達は成城石井、あん肝の調達ははま寿司になっているのでこの二つに関しては安定した供給を行うことが出来る(といっても年に片手で数えるくらいだが)。

 そんなこんなでぼーっと羊脳チャンスを待っていると、最近飛び込んできた。コロナが広がってからしばらく実家に疎開しており、東京に戻る前に家族で食事をしようと言うことでスペイン料理店に行った時のことである。たまたま頼んだアヒージョに羊脳が入っていた。もしかすると羊の脳ではなかったのかもしれないが、味や食感が大変似ており驚いた。ヨーロッパでは割と食す習慣があるらしい、フランスでは脳を使った有名な料理もある。

 ちなみに大学院入試の時に脳を食すことにより発症率が跳ね上がる病気の名前を問題で聞かれたのだが、全く答えることが出来なかった(正解はクロイツフェルト・ヤコブ病)。なたら長い名前の病名として認識していて選択肢で聞かれるくらいの覚悟だったので問題に出た時は不合格を覚悟した。

 そんなこんなで羊は旨いのである。明日羊肉串食べにでも行こうかな。

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