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野良IT怖い

こちらは「GYOMUハック/業務ハック Advent Calendar 2020」の24日目の記事です!

◆野良ITは誰のもの

 私がERPのBIツール移行の業務に携わっていたときの話です。

 一昔前に、EUC(End User Computing)という言葉がありました。一般ユーザーがITツールを活用する風潮のことでした。今で言う、市民開発者を増やそうという話です。(言葉が変わっても時代は繰り返しているのです)。野良ITという表現をしていますが、敵視しているわけではありません。我社でも、現場担当者がBIツールを使って、大量の作品を作っていました。

 とはいえ、各種ITツールは、開発会社の買収やら、合併やらで新しいものに変わるものです。同じ名前でも、バージョンが変わって互換性がなくなる場合もあります。情報システム担当としては、それまでに作られた資産を如何にして移行するかという仕事がやってくるのです。

 作られたものを並べてみると、当然きちんと仕様を固めて作っているわけではなく、その場その場の条件に合わせて作っているので、既に使われていないものとか、中身がわからなくなっていたり、作った当人がいなくなっていたりしています。手の混んだ作品の製作時期を探っていくと、詳しい人の異動履歴とかなり合致していたりします。全体の何割かは、数人の人の手によるものなのです。また、何割かは、一回しか使われていないものだったり、同じようなものが大量に作られていたりします。また、最後の編集からかなり時間がたったものでも、現場では重要なツールとなっている場合もあります。

 玉石混交となっている、これらを本人ではなく、情報システム担当者側で移行するにはどのような手段があるでしょうか。

◆野良ITのタイプ分け

 1.業務の重要な場面で現役で動いているもの
 2.一部だけ変更した派生系
 3.とりあえず動けばいいや的なアドホックなもの
 4.一回作ってみただけのもの

 この4パターンをどう見分けますか。

 a.直近5年間で何回実行されたか
 b.最後に実行されたのはいつか

 システムで取得できるデータは、このくらいでしょうか。

 調べて驚いたのは、3とか、4のようなものでも、年1回とか、2年に1回とか、定期的に動いているものがあるのです。よって、以下の条件が追加されました。

 c.実行される時期が定期的なもの

 この判断は、意外と難しく、作ったときは何度も実行してるわけだし、この時期というのは、どのくらいの幅を言うのかとか。データの取得期間を10年に伸ばすと、調査対象が更に増えるしと。

◆移行たって限界がある

 結局何ができたかというと、a.b.を集めて、抽出項目、抽出条件の似たものを大括りでくっつけて、全部で相当数のテンプレートを作成しました。詳細な加工方法は、各自にやってもらうこととしました。かなり凝った手順が入ってるものは、テンプレートとして配布するのは難しいです。

 で、結果は、あまりに大括り過ぎて、1から作ったほうが早いということで、ほとんど使われないものとなってしまいました。

 自分の部署が使用しているものについては、私が全ての仕様書を書き起こし、1つ1つ移行したので、ほぼ同じ動作のものが出来上がりました。既に使用されなくなった思わるものも、仕様書は作成したので、もし必要になっても、作成可能な状態にしてあります。ITが得意とはいえ、もともとのツールも使用経験がなく、自分のところのものだけでも、かなり時間が取られましたが。

 自分で作ってみるっていうのも、現場のEUCのスキルアップになるかな、という思いもありました。

◆野良IT、札をつければ御し易い

 仕様書を作るのは面倒ですが、できれば以下の項目が記載された連絡票を書いときましょうと思うわけです。私が思う、最低限必要なのは、以下のものです。

 1.目的はなにか
 2.どの環境で実行するのか
 3.いつ、誰が使うものか
 4.実行手順
 5.アウトプットはどう使うのか
 6.関連業務が何かあるか
 7.製作日、改修日・改修内容

 私は、こんなところを記載してます。

◆情シスにとっての野良IT

 IT業界の変化の波を受け、情シスは、このような経験を何度もすることになるので、できるだけ情シスで面倒を見なきゃいけない部分を減らしたいというのが、たぶん本音です。と言っても、それを理由に、禁止事項や制限だらけのがんじがらめのRPA推進は、ロボと友達になれません。

 もし、市民開発者としては、RPAのツールを使ってロボを作れる立場になることができるのなら、例えば、ある日突然UiPathからAutomation Anywhereや、ロボパッドに変わっても慌てないよう、心の準備と事前の備えを怠らないようお願いいたします。

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