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安いことは本当に良いことか? "安いニッポン"

今は一昔前に比べて安いモノの品質も良くなりました。

それどころか、もはや当たり前のことになっているように思います。

「安くて品質の良いものが、いつでも買えるように常に品揃えされている」とても便利で素晴らしいことですよね。しかし、その全てを手放しで喜んで受け入れていいものでしょうか。

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今回は安いことの負の側面を教えてくれる書籍を紹介させて頂きます。

世界最安水準の国

日本を代表するテーマパーク、東京ディズニーランド。

その入園料は現在おおよそ8,200円です。これも去年値上げされたばかりですが、世界6都市のディズニーランドでは1万円以上のところがほとんどで、日本の入園料が最安です。

また、100円均一のダイソーも日本以外では180円~200円均一の国がほとんどです。(日本でも一部商品は100円以上しますが)

ダイソーは約40年も100円均一を維持しています。消費者のためを思った企業努力と言えば聞こえはいいですが、これは異常事態です。

日本では値上げに対して極端な抵抗があります。値上げが客離れや業績低迷につながることを恐れて企業も踏み切れません。

そうすることで「値上げできない⇒企業が儲からない⇒賃金が上がらない⇒消費が増えない⇒物価が上がらない」という長期的デフレの悪循環に陥ってしまっているのが現状です。

「生産者への還元を思うと適正価格にしてあげたいけど、自分の給料水準を考える値上げも困る・・・」というのが多くの方の心境でしょう。

買われる日本

では、デフレの長期化が今後引き起こし得る問題は何か。

今既に起きているのは「モノと土地が買われる」ことです。

モノは一番想像がつきやすいですね。爆買いもその現象の1つです。インバウンド需要としてプラスの側面ばかりが伝えられていますが、マイナスの側面もあります。食糧品の爆買いです。

例えば海外で人気が上昇している魚、デフレが続いている日本は海外に買い負けてしまいます。そうすると魚が安定的に食卓に届かなくなっていきます。

そして、土地が買われる。その代表例は北海道のニセコ、言わずと知れた人気のスキーリゾートです。海外から買われたニセコは局所的に物価が上がり、ラーメンが一杯2,000円など日本人にはとても住めないほどです。

今も既に起きていますが今後加速していくであろうと懸念されるのが「技術と人材が買われる」ことです。

技術が買われることは、主に中小企業の製造業においてすでにはじまっています。

高い技術力が安く欲しい海外企業とより豊富な資金とグローバル展開を目的した日本企業の双方に利益があることから進んでいます。

そして、人材が買われることはアニメや漫画のクリエイターから起きています。日本のアニメや漫画はそのクオリティの高さから世界的に評価されています。今や世界から見た日本はサブカルの国というイメージかもしれません。

しかし、そんな世界をリードしている業界にも関わらず、若手の低賃金や長時間労働が問題になることもしばしばあります。

ここでも日本の高い技術が欲しい海外企業と、安定した資金と待遇を求めた日本の若手クリエイターの双方の利益が発生します。海外企業の方が待遇がいいのです。

例えば、今やほとんどの人が加入しているであろうNetflixですが、その製作費は日本のキー局全てを合わせても届かないほどだと言われています。

そんなNetflixも日本の人材を求め、日本の制作会社が開くクリエイターの育成塾を監修し受講生の生活費や授業料を負担しています。そして、卒業後はNetflixオリジナルのアニメの制作に携わってもらうという流れです。

このように日本の質の高さとその安さが、豊富な資金を持つ海外からターゲティングにされているのです。

今すぐにということはありませんが、このままではいつの日か日本でつくられる質の良いモノやサービスの恩恵を日本人が受けられなくなるなんてことも十分にあり得ます。

これからも長く生きる若い世代は安いことの負の側面を知っておく必要があるでしょう。










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