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鹿児島焼酎113と歴史

日本酒、焼酎蔵の数=2600

日本酒の蔵元の数は全国で1755蔵、焼酎の蔵元は854あります(平成30年度)。焼酎蔵の50%は九州、沖縄に存在し、鹿児島県内には113の蔵元があります。
薩摩半島、大隅半島そして沖縄まで続く島々の蔵元を含めた総数です。

この113蔵という数は日本で一番多いです。
日本酒の蔵は新潟県が88蔵で一番多いですが鹿児島の蔵元の数は新潟を大きく上回ってます。

鹿児島の113蔵は原料により2つに分けることができます。
米麹を1次原料にするのは一緒ですが2次原料にサツマイモ、黒糖を使用するかで酒質が大きく変わります。
場所で分けると薩摩、大隅半島、そして種子島、屋久島まではサツマイモを原料とした芋焼酎。
奄美群島と呼ばれる奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島は黒糖焼酎です。
同じ県内でなぜ違うのか?
それには地理的背景と近代日本の歴史が大きく関わってきます。とても一言では語れない悲しい事実も含まれます。
そんな現状と過去の事実を教えてくれたのは与論島の方でした。
現地の方が思うその土地の現状や歴史。これはネット上では得ることのできない、お金では得ることのできない体験でした。
この情報化社会において何よりも貴重なのは、現地の方と直接お話ができる事なのかなと感じました(島の旅)。

焼酎造りの経路

焼酎造りは中国からまず沖縄に伝わり、島々を経由して薩摩に辿り着きます。なので各島々には必ず蔵元があります。
焼酎を造る技術とともに仏教が伝わったとも言われてます。
キリスト教とワインの関係にも似ていますね。
同様にサツマイモも琉球芋、唐芋と言われるように中国、沖縄を通じて薩摩に辿り着きます。そして蒸留技術、麹技術も同じです。
全てが中国、沖縄、南の島々を経由して薩摩に入ってきます。
しかし、薩摩では中国、沖縄で使われていた造りとは違う方法で焼酎を造りだすようになります。
代表的なものがサツマイモを使用する事や仕込みを2回に分ける事です。
沖縄の泡盛はいまでの米麹に米を加え1次仕込みで造る、どんぶり仕込みが主流です。
なぜ薩摩だけが独特の造りを編み出すことができたのか。
島津斉彬という人間のカリスマ性と薩摩自然環境がもたらした奇跡だと言っても過言ではないと思います。
現在の芋焼酎というのは、自然と共に生きていく為の知恵や、薩摩の文明、薩摩人の努力によるものだと思うと焼酎を飲むときに泣けてきます。
先人に感謝です。

焼酎は奇跡の飲み物

薩摩は火山噴火物からなるシラス大地に覆われています。シラス台地は水はけが良いので、薩摩は米が育ちにくい環境にありました。
しかし、水はけが良いシラス台地はサツマイモ栽培には適していて、米と違いサツマイモは大量に生産することができました。
実際にサツマイモを実家の庭に植えて思ったのですが、本当に砂みたいな環境で育ちますし、手入れもいらない。鹿児島とサツマイモの相性は抜群なのですね。

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このサツマイモを主原料にすること。
そして日本独自の米を蒸す事により造る米麹を使用すること。
蒸留技術が加わることにより焼酎造りが行われました。

いろんな事が組み合わさって芋焼酎が誕生したんですね。
500年前には芋焼酎が存在した記述が残されています。

酒造業界の現状と今後の動向

日本酒、焼酎の蔵ともに減少傾向にあります。
元々、人口減少、若者のお酒離れ、海外のお酒の日本市場参入など様々な要因でこの業界は縮小傾向にありました。
追い討ちをかけるようなコロナ禍、サツマイモに対する基腐れ病の蔓延。

いま本物とは何かが問われているような気がします。
目先の利益ではなく、小手先ではなく本質が問われているような気がします。
本物とは、嘘偽りのない事。
自分たちの理念、造りに嘘偽りのない事。

まずは造りに関わる人として嘘、偽りのない人間にならないと。
と過去を反省するとともに今日も朝から清い心で1日をスタートさせました。
きっとこの積み重ね。
そう信じてこの業界の明るい未来に進んで行きたいと思います。





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