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芋焼酎の原料に驚きの事実。

朝からお米300㎏と向き合う

芋焼酎の原料は米1に対して芋5の割合。
そして仕込みのお水の量は総原料の60%程の約1200ℓになります。
これは銘柄、蔵によって若干の違いはあると思いますが基本的な造りは同じだと思います。
自分の勤める蔵では早朝からお米300キロを洗い、浸漬(お水につける)の仕事があります。1袋30キロのお米を10回運ぶだけでも一苦労。充分な筋トレになります笑
その後、お米の水を切り、蒸気を入れて蒸していき最終的には種麹という菌をつけて繁殖させます。この種麹をお米に繁殖させる事が最大の目的なのですが、普通に食べるようなお米の水分量に蒸す訳ではなく、菌が繁殖しやすい水分量にお米一粒一粒を蒸していきます。種麹と言われる菌をお米にまぶしていく仕事はいつも緊張します。この工程でこけたら全ての工程がうまくいきません。杜氏、先輩の蔵人さんのご指導、確認を繰り返しながらお米と向き合います。
朝お米を投入し、菌をまぶすまでの工程で約4時間費やします。仕込み時期はほぼ毎日のように麹造りがあります。すごい緊張感です。

お米を使うなんて知らなかった

焼酎業界に入りたいと思ったのは約2年程前。簡単に決めたわけではない。
自分の人生、親の存在、当時の仕事の兼ね合いなど、様々な事を考え選択した結果現在に至ります。
当時の僕はというと、飲むのが専門で焼酎の事なんて全く知識がなかった。
今でこそ焼酎が造られるアウトラインは本で読んだり、鹿児島大学の焼酎マイスター養成コースを受講したりする事により把握してますが、実際に蔵に入り、はたらき、蔵人として現場に入ると活字では計り知れない繊細な仕事の連続に驚かされます。
そもそも、芋焼酎にお米使うなんて知らなかったし!の知識の浅いところから、蔵に入って毎朝お米と向き合うまでの時間を2年で経験するなんて。当時の自分は想像できないぐらいの経験をさせて頂き本当にありがたいです。
お米と向き合う時はいつも飲んでくれる人を想像して仕事してます。
自分の親や、福岡の仲間。関西や関東にいらっしゃるお世話になった方々。
全ての方に自分が少しでも携わった旨い焼酎を飲んで欲しい。
そう思うとお米一粒も無駄にはしたくない、という気持ちが出てきます。

自社生産のお米

農業法人八千代伝酒造では、農醸一体をテーマにお米の自社生産をしてます。5日前に稲刈りしたお米を食べました。美味しい。新米は水分量が多く、洗い、水の量を調整して炊きました。日本人の喜びを感じます。
来週からはこの新米で米麹を作ります。絶対美味しい焼酎ができます。
食べて美味しいお米で米麹を作る。こんな贅沢な焼酎はないです。
ちなみにサツマイモも自社生産です。お米も鮮度が大事ですが、サツマイモは水分量が多く、果物のように繊細です。収穫してすぐ仕込みに使えるのは酒質をよくする上で最も重要な事だと痛感します。

新酒もあります

新酒

新米と合わせて飲んだのは、この新酒。
通常の焼酎の熟成期間は半年から1年、長ければ2年3年と熟成させます。
新酒は約2ヶ月程で味わいます。
これがまた面白い味わいになります、やわらく甘く感じる時、苦く感じる時など飲み方を変えてその時の鮮度を楽しんでくださいませ。
私は新米と新酒を合わせていただきました。シンプルで濃厚なひと時でした。これもまた一つの経験となりました。
ぜひお試しあれ!

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