カンデル神経科学 はじめに
20世紀後半、生物学の関心は遺伝子に向けられていたが、21世紀に入った現代では神経科学、特に心の生物学に関心が移ってきている。
われわれはどのように知覚し、動き、学び、記憶するのか。
たった約1,4kgしかない脳という器官はどのようにして思いを巡らし新たな知識を発見し個性に満ちた思考、感情、動作を作り出すのだろうか
生物科学に残された最後の
そして究極の課題
それは意識の生物学的基盤を解明し、われわれが感じ、行動し、学習し、記憶する過程で働く脳の機能を理解する事である。
その昔、紀元2世紀のギリシャ人医師(ガレノス)は脳と脊髄から分泌される流体を末梢へ送る管が神経であると考えた。
その後神経組織の研究が科学の専門領域として確立したのは19世紀終盤。神経細胞の詳細な構造が正確に記述される。
1920年代になってニューロン説を裏付ける事実が発見される。
ニューロン説が最終的に確定したのは電子顕微鏡が導入された1950年代半ばの事である。
行動に関する心理学的な考察の始まりは古代ギリシャの哲学者たちが心と脳の関係について思索した西洋科学の黎明期にまで遡ることができる。
生物学的な考え方と心理学的な考え方を統合して行動を研究しようとする試みはウィーンの医師で神経解剖学者のgallによって1800年頃から始められた。
gallが頭蓋骨の形状が脳の機能と結びついていると最初に考えたのは少年時代。のちにこの研究は、頭蓋骨の詳しい形状から人格や性格を予測する骨相学に発展する。
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