常識を変えた腕時計

HAMILTON／ハミルトン　Ventura Quatz　Ref.H24411732　￥91,000+TAX

世界初の電池式、世界で唯一成功した非対称デザイン…1957年に時計の歴史を変えることになったこのベンチュラは、初出から60年以上経った現代においても“先進的”だと言える傑作です。

人気映画『メン・イン・ブラック』シリーズではエージェントオフィシャルウォッチとして、俳優のウィル・スミスやトミー・リー・ジョーンズら豪華俳優が着用しており、『メン・イン・ブラック：インターナショナル』では、アベンジャーズシリーズにてマイティ・ソ―役を演じたクリス・ヘムズワースや、同アベンジャーズシリーズのヴァルキリー役を務めた今作の主役テッサ・トンプソンがベンチュラを着用しています。

さて、今から60年ほど前の1950年代、世界中の時計メーカーがアシンメトリーデザインの時計を世に送り出すべくアイデアを出す中、唯一成功を収めたと言われるのがこのベンチュラです。

初代ベンチュラには、ハミルトンが10年もの歳月をかけて開発した世界初の電池をエネルギー源とするCal.500が搭載され、その＂ゼンマイを巻く＂という必要行為から着用者を解放する最先端の技術は、人々に大きな衝撃を与えました。

この世界を席巻する非対称かつ未来的なデザインを生み出したのは、キャデラックやシボレーを有する"ゼネラルモーターズ"等、名だたる企業でデザインを行なったインダストリアルデザイナーのリチャード・アービブ氏。

間違いなく世界最高峰のデザイナーに数えられ、名車＂キャデラック・フリートウッド 1959年型＂をデザインしたことでも有名なデザイナーです。

1957年、初代ベンチュラは14Kイエローゴールドのケースに黒ダイヤルとシルバーダイヤルをそれぞれ採用した2種類を展開していました。その翌年には、ダイヤをあしらったモデルや14Kホワイトゴールドを使用したモデルも販売されました。（ちなみに、14Kホワイトゴールドのベンチュラは当時あまり人気がなかったみたいですね…。）

この1957年発売の1stモデルを調べる際、個人的に気になったのはベルトの仕様。黒の布地の上に、なんと24Kのイエローゴールドを貼り付けるという斬新かつ超豪華なアップリケのベルトだったようです！ちなみにこのベルトは4ヶ月で製造中止になったそうで、その後は従来の革ベルトに変更されています…。

ちなみにこれが当時の広告。
よく見ると下の方に200ドルという金額が書かれています。これを日本円に換算すると、1957年は為替自由化の前なので1ドル=360円ですから200ドルで計算すると72,000円。国家公務員（大卒）の初任給が9,200円だった時代なので、その7〜8ヶ月分というかなり高価な時計だったようです。

この14Kゴールドケースの初代ベンチュラは、ほとんどがアメリカ国内で販売されました。海外販売のために輸出する場合、素材が14Kでは国際基準で定められたゴールドジュエリーの金の純度に満たない為です。

よって、海外に輸出されるベンチュラは金の純度が高い18Kで製造し、18Kイエローゴールドのモデルはヨーロッパ向け、18Kローズゴールドのモデルは南米向けに輸出されていました。しかし、当時のハミルトンの輸出販売は決して大きいものではなく、非常にレアな時計だったようです。

この後、1963年にベンチュラは一度製造中止となります。これは、ブローバ社が1960年に市販化したアキュトロンという次世代機の登場による販売不振が原因だと言われています…。

それから25年後の1988年、ハミルトンは傑作ベンチュラを再度世に放ちました。この時製造されたベンチュラは、18Kや14Kの金無垢ではなく金メッキを施したケースに、最新型のスイス製クォーツムーブを搭載したものでした。

というのも1974年に、スウォッチグループの前身でオメガとティソの合弁会社であるSSIH傘下に入ったためで、この時のベンチュラにはスイス伝統の正確な時計技術が取り入れられました。しかし、リチャード氏のオリジナルデザインが守られていたことを考えると、いかに完成されたデザインであるかを再認識させられますね…。

そして1999年、ケース素材にステンレスを使った耐久性の高いベンチュラが誕生します。これは、ベンチュラ史上最も重要な変革でした。こうしてベンチュラは、歴史を感じさせながらも先進的なイメージを持つ唯一無二な傑作として、再度世界を席巻することになったのです。

現在はこのオリジナルデザインを元に、様々な現代解釈を加えたベンチュラシリーズが展開されています。
初登場から60年以上経った世界で唯一成功したアシンメトリーなデザインは、これからも霞むことなく引き継がれていくでしょう。

いかがでしたでしょうか。
ハミルトンのアイコンともいうべき腕時計『ベンチュラ』。
そのデザインと機構の登場は、今日の腕時計を変えた偉業ともいうべき瞬間でした。

今なおベンチュラに魅了される方が多い、その理由がわかる気がしますね。
個人的にもお勧めの腕時計です！

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