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もし あなたがネットの誹謗中傷にさらされたら その2:削除すべきケースと方法

前回の記事に続いて、今回のnoteでは削除した方がよいケースと削除する方法を説明していきたいと思います。

削除すべきケースとは

今回は3つの削除すべきケースをご紹介します。

1.企業の風評被害

企業が書き込みを削除すべきケースは、事実と違う情報が匿名掲示板やSNSに載せられている場合です。例えば、従業員が飲食店の冷蔵庫の中に入ってしまい炎上するケースや企業の公式Twitter のつぶやきが差別的表現で炎上を招くことがあります。

炎上した場合、その企業の売上が下がるだけでなく、企業イメージの低下によって入社希望者が減って採用が困難になったり、取引先から契約を切られたりすることがあります。そのために事実と異なる風評被害は早急に削除すべきですし、仮にその風評被害が事実であってもできるだけ炎上を抑える対策をした方が良いと言えます。

2.ホスト・ホステスの個人情報暴露

夜の商売は人気商売であり、嫉妬や恨みを買うこともしばしば。 企業のように根も葉もない風評被害を受けることもありますが、個人情報や誹謗中傷を匿名掲示板に書かれたりすることが多いです。例えば、本名や出身地を掲示板に書かれたり、携帯電話の番号を掲示板に晒されたりします。

個人情報を暴露されるとイタズラ電話や家への突撃など現実的な被害を被ることがあります。最悪の場合は同居している家族などにも危害が及ぶため、早急にさらされている個人情報を削除すべきでしょう。

3.YouTuber・Instagramerなどインフルエンサーの個人情報暴露

今、新しい職業として注目されているのがYouTuber(ユーチューバー)やInstagramer(インスタグラマー)などです。こちらも人気商売なので、ホスト・ホステスと同様に個人情報が暴露されることがあります。

ホスト・ホステスと違うのは、風評被害によるイメージダウンがすぐに収入の減少につながることです。このような方は動画の再生回数による広告収入や企業からの商品紹介報酬などを収入とされています。極端に言えば売ってる商品がイメージそのものなので、イメージダウンによる収入減が他の職業よりも大きいのです。事実と違う風評被害は早急に削除する必要があります。

削除するにはどうするか

1.削除フォームからの削除請求

削除請求の方法として、サイトのお問い合わせフォームや掲載されているメールアドレスに削除請求を行う方法があります。

この方法は、最初に削除請求の窓口となるウェブフォームや連絡先メールアドレスを見つけなければなりません。多くの場合、ウェブサイトの一番上または一番下(ヘッダーやフッターと呼ばれる部分) に削除の問い合わせフォームや削除の連絡先メールアドレスがあります。

フォームに従って削除をすると削除のために必要な情報が揃うようになっていますので、順序通りに記載していけば削除を請求できます。

2.日本テレコム書式での削除請求

インターネットサービスプロバイダ等で構成される「一般社団法人テレコムサービス協会」がウェブ上の記事を削除するための「送信防止措置依頼書」の書式を用意しています。こちらを利用して削除依頼を行うこともできます。この方法の難しい部分は、送付先をこちらで調べなければならないことです。そのウェブサイトを管理している事業者の住所がサイト上に書いてあれば問題ないのですが、住所表記がないことも多いのが現状です。その時はWho is というサイトを使用して、ホームページの IP アドレスから業者の住所を割り出して送付する必要があります。

3.削除の仮処分請求(いわゆる裁判)

ウェブフォームによる削除請求や日本テレコム書式による削除請求を行っても無視されたり拒否されたりする場合もあります。その場合に取れる選択肢の一つとして、仮処分の提起があります。仮処分というのは裁判の一種で、裁判所が一応の権利侵害を認めてくれると「削除を仮に認める」という決定を出してくれます。
「削除せよ」という仮処分決定が出れば、多くのコンテンツプロバイダ、ホスティングプロバイダは削除に応じてくれます。

※補足説明

コンテンツプロバイダ(ウェブサービスなどを提供する事業者)
デジタルコンテンツをウェブサイト上で提供する事業者のこと

ホスティングプロバイダ
企業や個人がワールドワイドウェブで自分のウェブサイトを利用できるようにサーバを提供する事業者のこと

インターネットサービスプロバイダ(通信事業者)
au、docomo、SoftBankなど通信を提供している事業者のこと

最後に手続きの流れ

申立書を作成し、裏付ける証拠と共に説明します。単に書けばいいというものではなく、法律の要件を満たすように書かないと裁判所は認めてくれません。当然、判例の検討も必要となります。
申立の場所は、自分の住んでいる地域の裁判所で大丈夫なことが多いです。ネットの誹謗中傷は、不法行為であり、不法行為は行為地を基準に裁判所が決まります。不法行為の行われた場所には、損害が発生した場所も含まれるので、通常の場合、被害者の住んでいる裁判所に申し立てるのです。

実際に個人で削除請求を行う方もいらっしゃいますが、手続きが多く弁護士に依頼するほうが懸命と言えます。自分で時間をかけて解決に取り組むか、それともお金をかけて弁護士に依頼するか。その違いだと思います。
今回は削除にフォーカスして書きましたので、次回は発信者の特定について書いていこうと思います。少しでも興味を持たれた方はフォローしていただけると嬉しいです。

サポートをいただいたら、よりわかりやすいnote制作するために自身の勉強として専門書の購入に当てたいと思っています。よろしくお願いいたします。