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僕、ベタ日記⑤水換えの時間

この日は朝からママの様子がおかしい。何?何?何が起きるのー?ママは真剣な面持ちで、水槽に長くて太いスポイトを入れると、汚れを吸い込み始めた。ママの手がすぐ近くまで来たから、僕はつい嬉しくなってヒレタッチ~!のつもりで、近づいたの。すると、『駄目、駄目ー。あっち行っててー』と少し迷惑そうに言われたんだ。でもさ、あっちでどこよ?この狭い水槽の中、他に行く所なんて無いんですけどぉー。僕はちっとも相手にされないので、面白くなかった。それでもママの手は止まらない。温度計で水温を何度も測ったり、水位を確かめたり。『ねぇ、まだー?もう、僕、飽きちゃったよー』

その時。『ん?ん?ナニコレ??』今までとは違う水が水槽に流れ込んできたのが分かった。これは、マズいぞ。僕ら魚にとって、水は命だ。だから、汚れた水は気持ちが悪くて嫌だけど、綺麗な水だって、何か嫌い。でもね、知ってほしい。水槽に暮らす僕らはどこにも逃げることは出来ないんだ。そう、どこにも。

しばらくの間、ママは僕の様子をじーっと見つめていた。ガラスがピカピカになったから、さっきよりママの顔がはっきりと見える。でもね、綺麗になったのはガラスだけだったみたい。あっ、これ、ママには内緒だよ~。僕は確かめるように、ぐるぐると水の中を泳いでみた。まだ慣れないけど、悪くない。

ここへ来てはじめてのことだったから、びっくりしたけど、もう大丈夫だよ。ありがとう。今の所、ママはこの家の生き物係にピッタリみたいだね。こまめに糞も取り除いてくれるし、今日は水換えもしてくれた。でもね、そう何度も見に来られると…落ち着かないよぉー。僕だってまだ新しい水に完全には馴染んでいないんだから。それにね、少し疲れちゃった。だから、今日はそっとしておいてほしいな。
またねー。

モアは《ベアタンク》という方法で飼育しています。これは、水槽を飾り付けず、良く言えばシンプル、言い方を変えると殺風景な水槽で飼う方法です。メリットは何と言っても、管理が楽なことと、ある程度、水を綺麗な状態で保てることです。水中は、目には見えないアンモニア等で汚れていますからね。だからと言って、全部の水を入れ換えればOKということではないので、水の管理の難しさを感じています。バクテリアを増やす必要があるのですが、《ベアタンク》ではなかなか増えないので、そこがデメリットと言えます。この日の水換えは全体の三分の一程の量なので、さほど大変な作業ではありませんでした。

でも、やっぱりモアの様子が気になります。水は命ですからね。何だか、この感じ。そうです!娘が赤ちゃんだった頃を思い出します。しゃっくりが止まらないとなれば心配になり、寝なくても不安、ぐっすり眠って起きなくても不安が募りました。あまりに静かだと『息してるよね…?』と心配になり、寝息を確かめようと耳を澄ませたりもしたなぁ。命を預かる者の宿命ですね。それでも、生きる力をすぐ傍に感じることが出来るって、やっぱりいいものだと感じています。

それでは、次回もどうぞお楽しみに。

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