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蛇が洞池の大蛇(昔話風短編小説)

昔 村の外れに蛇が洞池という池があった。

蛇が洞池には大蛇が住むと言われ、村人は崇め恐れていた。

そんな村には言い伝えがあり、100年に一度大蛇に村の娘を捧げなければいけないと伝えられていた。

今年はちょうど100年目で、一人の村娘が選ばれた。

娘の家族はそんなことに反対だった。

娘を出すくらいなら戦うと言った。

しかし村人達は

《大蛇のたたりが村に災難をもたらしたらどうするのだ》

《一人の娘で村人全てが助かるなら致し方ない。》

村の村長は裏で口裏を合わせ、村で一番貧しい家の娘を選びだしていた。

そして大蛇に娘を差し出す日がとうとう来た。

蛇が洞池から這い出してきた大蛇は祠にいる娘には見向きもせず、村長の家の前でとぐろを巻いた。

赤黒い二つに割れた舌をチロチロと出し、村長の娘が出て来るのを待っていた。

『村長、早く娘を出してくれ。』

『村のみんなの為だ。』

『それでみんなが助かるんだ。』

村人達は口々に村長を責めたてた。

『待ってくれ〜。みんな一緒に戦ってくれないか、、』

村長は頭を下げて村人達に懇願したが、娘は村人達に無理矢理家から連れ出されてしまった。

大蛇はゆっくりと村長の娘を咥えると、また蛇が洞池の中にぶくぶくと消えていった。

蛇が洞池の水面には娘の草履が片方だけ浮き上がっていた。

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