無意識のエンドレス(短編小説)
《ザブ〜ン》
全身の皮膚という皮膚に激痛が走る。
もがき苦しみ手をバタつかせて、何とか水面に口を出す。
厳冬の海に投げ出された俺は、冷えて動かなくなっていく身体と薄れゆく意識の中で誰かの手を必死に掴んでいた。
次に目を覚ましたのはベッドの上だった。
白いパイプのベッド、固くパリパリとしたシーツ、お世辞にも寝心地のいいベッドとは言えなかった。
『お目覚めの様ね、、』
声のした方を見ると綺麗だが、何か冷たい痩せた女が立っていた。
『助けてくれたのか?』
『いいえ、、助けた訳ではないわ。』
意味がわからない。
しかしその意味はすぐ分かる事となった。
女は俺の手足、身体を拘束しだしたのだ。
俺は最初《治療の一環》だと思い、拘束されるがまま全身身動き出来ない状態にまでされてしまった。
女は水道にホースをセットすると、ホースの口を俺の顔の前に持ってきた。
《何をする気だ、、》
女は蛇口をひねり、ホースから水をチョロチョロと俺の口に流し込みだしたのだ。
《ブハッ 、、ぶっふ、、ゲホッ》
息はなんとか出来るが、絶えず水が口の中に入りこんでくる。
気を抜くとむせてしまうが、大きく息を吸おうとすると水が邪魔をして小刻みにしか息が出来ない。
(苦しい 苦しい 止めてくれ、、)
息をするのに精一杯で、言葉に出して言う事が出来ない。
意識が薄れる、、意識が薄れる、、
誰かが俺の手足を持って運んでいる、、、
《ザブ〜ン》
『お母さん、、見て、、お兄ちゃん、まぶたの下で目をキョロキョロしてる。』
『何か夢を見ているのかな、、』
『うん、、早くお兄ちゃん、、意識が戻るといいね!』
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