ある日の日記より。泣けた理由をうまく言葉にできない。
7月某日。晴れ後曇り。
就寝前に本を読むことにして、いつ買ったのかまるで覚えていないくらい古い文庫本を出してきた。
ジョン・スタインベックの「赤い子馬」という小説だ。
過去に読んだ記憶もなく、ジョン・スタインベックについて名前以外何も知らない。
昔エデンの東という映画を観たくらいだろうか(内容ほとんど覚えていない)。
まあとにかく布団の上に寝転がって何ページか読んでみた。
そのうち眠気が訪れて(わりとすぐに)入眠効果は抜群だった。
内容は、牧場に暮らす少年の成長物語といったところだろうか。
地味な話といえばそうかもしれない。
成長物語。でもわたしはその響きにめっぽう弱い。映画でもその手の話が好きである。
ちょっと続きが気になったので、夜を待たずに最初の一章を読んでしまった。
本を読んでめったに泣いたことはないのに、今日はどうしたことか泣けてきた。
(涙もろいのも更年期のせいだろうか)
主人公のジョーディ少年が世話をする大切な子馬が死んでしまう。
ジョーディ少年は湧き上がる悲しみと怒りにまかせ子馬の死骸に群がるハゲワシの一羽を捕まえて格闘し、遂には息の根を止めてしまう。
これは罪のないハゲワシへ見当違いの理不尽な攻撃をしたということになる。決して褒められた行為じゃない。
(ジョーディ少年の父親がそれを指摘して叱責するのは正しいと思う)
誰が悪いわけでもなく誰の力でも何の力でもどうすることのもできない出来事というのが、長く生きていくうちに何度も起こるだろう。そこからどこへ向けていいのかわからない怒りや悲しみが生まれる。
ジョーディ少年がそんな怒りや悲しみとどう向き合って成長していくのか考えずにはいられない。
それだけじゃない、何か心揺さぶられるものがあったから泣けてきたのだと思う。
うまく言葉にできないけれども。
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