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【2023年12月】各国のファンダメンタルズ一覧


2023年12月のファンダメンタルズは、こちらの記事に追記していきます。

1.米国(USD)

12月初頭の総括

2022年の金融引き締めにより、現状の米国経済は景気抑制的な領域に入っており、ソフトランディングするのではないかという見方が大半である。

そのためFOMCが12月会合で金利を据え置きはほぼ確定している中で、「いつ利下げに踏み切るのか」が焦点となっている。

直近のCPIや雇用統計、ISMや失業保険申請件数などの指標の結果から、2024年早々に金融緩和に動くとの観測が広がっており、直近ではドル安相場が展開されている

■1~2週目(12/1~12/8)

<12/3(土)>
FRBのパウエル議長は12/2のアトランタ講演で、「十分に景気抑制的なスタンスを達成したと確信を持って結論づける、あるいは金融緩和の時期について臆測するのは時期尚早だ」と、追加引き締めの可能性を残した。

しかしパウエル議長の思惑は外れ、市場はそれを振り払う格好となった。

ほかのFRBメンバーがハト派テイストの発言が多くなっていることと、同日にはシカゴ連銀のグールズビー総裁が「物価圧力が弱まりつつあることを示す最新のデータを評価し、インフレ率は当局の2%目標に戻る軌道上にある」との自信を示したことも大きい。

結果、今回のアトランタ講演でのパウエル議長の発言は全く重要視されず、米国の利上げはないだろうという市場の観測から、先週末はドル売りが極端に進んだ。

現時点では、2024年3~5月から金融緩和(利下げ)に踏み切る可能性をすでに織り込んでいる

FRB政策金利の推移想定(FedWatch) ※12/3時点

・参考記事
 
【米国市況】株と国債上昇、パウエル氏発言後も利下げ観測-146円台
 パウエル議長、FRBは「慎重に」行動-追加引き締めの選択肢維持

<12/6(水)>
ドルインデックスが2週間ぶりに高値を更新したが、ドル高にはなっていない。

その一つの理由として、10月の米(JOLTS)求人件数は、2021年3月以来の低水準となり、労働市場が冷え込みつつあることを示唆したから。
ただ、市場の利下げ観測は行き過ぎとの懸念がここ最近は浮上し、政策転換を見込むトレーダーらにとってのリスクを浮き彫りにしていた。

また、多くのストラテジストも「現在の米国の経済データに対して、市場は利下げを織り込み過ぎていると思う」と回答しており、直近のゴールドの急上昇やドル安については、慎重な見方がある。

市場参加者の思惑も拮抗しており、12/6時点でドル高ドル安を判断できる材料は無し。「いつ利下げがスタートするのか」、依然としてここが今後のドルを左右する最大要素。

それを見極める材料として、12/8(金)の米国雇用統計が一つの判断軸となるのは間違いない。

・参考記事
 【米国市況】国債利回り低下、利下げ観測再び-円は一時146円57銭
 10月の米求人件数、2021年以来の低水準-労働市場の冷え込み示唆
 市場は行き過ぎ、急ぎ過ぎたのか-12月の幕開けは投資家の疑念を示唆

<12/7(木)>
昨日のADP雇用統計で、予想値13.0万人に対して10.3万人という結果となったため、米国労働市場の軟化が示された。
朝方は下げていたが、逃避関連の買いに支えられ、上げに転じた。

インフレ率も収まってきていることから、来年上期の利下げ観測が出てきている。そのため、直近ではドル安の相場が続いている。

また、OPECとOPECプラスの減産が長期化しているにも関わらず、NY原油が1バレル=70ドルを下回り、世界の供給が需要上回る兆候がみえている。
これもドル安要因となった。

・参考記事
 NY原油70ドル割れ続く、5日続落後-世界の供給が需要上回る兆候
 【米国市況】利下げ観測で国債上昇、原油70ドル割れ-147円台

2.日本(JPY)

12月初頭の総括

10月末に日銀が長期金利の上限1%を超える取引を容認するYCC柔軟化を決めたことで、金利の変動余地が大きくなり、10月以前に比べて取引機能が改善した。

しかし依然としてマイナス金利政策は継続中。「マイナス金利の修正時期がいつになるか」が焦点となっている。

植田総裁は「2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現を、十分な確度を持って見通せる状況にはなお至っていない」と2023年10月時点では判断しており、マイナス金利政策を継続させていく見込み

今後の日本のCPIやGDP、実質賃金の上昇率の数値が重要となってくるので注目していきたい。

2023年10月の調査では、70%のエコノミストが2024年4月までに日銀が引き締め政策に向かうと予想していると答えた。

■1~2週目(12/1~12/8)

<12/3(土)>
直近では日銀どうこうではなく、米国の景気とインフレ動向が注目され、ドルの強弱によって円が動いてきそうな形となっている。

上述の通り、12/1(金)にはドル安によるリスクオフの円買いが入り、円高が進んだ。

日銀関係でこれといった注目材料は無し。

金融引き締め検討の一つの要素として、12/8(金)の「7-9月期四半期実質国内総生産(GDP)」はほんの少し意識されそうだが、これ単体で今後の円の方向性を決定づけるイベントにはまずならない。

・参考記事
 
マニュライフ、世界成長鈍化で日銀は向こう1年利上げ見送り

<12/7(木)>
12/6と12/7の日銀の植田和男総裁と氷見野良三副総裁の発言を受けて、12月もしくは1月の日銀会合で、政策金利の変更があるのでは?という思惑が出てきたので、直近では円が買われて円高となっている。

また上記の影響で、日本国債30年債の入札が行われたが、その入札が不調となった。これも円高要因。

さらに本日の日経も500円の下落となったため、総じて円一強といった形となった。

・参考記事
 日銀12月会合ライブ、正副総裁発言でマイナス金利解除観測が再燃
 日経平均下げ500円超、米景気懸念や円高推移-輸出や原油関連が安い
 債券は大幅安、30年債入札結果が不調-長期金利は一時10bp超上昇

3.ユーロ圏(EUR)

12月初頭の総括

現在のユーロ圏のコアインフレ率は3.6%。
ユーロ圏のインフレは予想以上に鈍化し、ECBが目標とするインフレ率2%が視野に入ってきた状況。
しかしディスインフレのプロセスが予想以上に速いこと、第3四半期(7~9月)の域内総生産(GDP)が0.1%減少したことで、リセッション入りの可能性を大半が占めている。

それでもECB当局者は、インフレ率を2%に確実に戻すためには金融引き締めを続けなければならないと主張。
実際、インフレ率は統計的効果や、エネルギー価格の高騰を相殺するために各国政府が昨年実施した措置の縮小により、目標値に戻る前に再び上昇する可能性が高い。
ラガルド総裁も、今後数カ月にインフレが「若干」加速する可能性があると警告している。

とはいえ、市場はECBが2024年3~4月までに金融緩和(利下げ)に踏み切る可能性をすでに織り込み済み。

直近では極端にユーロ安が続いている。

参考記事
 ECBは来年4月に利下げ開始、市場が初めて完全に織り込む
 ユーロ圏インフレ率は2.4%、予想以上に鈍化-ECB目標達成が視野


■1~2週目(12/1~12/8)

<12/3(土)>
ユーロ圏、ディスインフレのプロセスが「予想以上に速い」。
ECBメンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は、衝撃がない限り利上げは完了したと述べ、利下げ観測が強まった。

参考記事
 ECB、2024年に利下げの問題を検討する可能性-仏中銀総裁

<12/6(水)>
ECBが来年1~3月(第1四半期)に金融緩和サイクルを開始する可能性が9割近く織り込まれた。

そのような利下げ観測が浮上する中、欧州では12/5にECBのタカ派として知られるシュナーベル理事が、インフレは「顕著な」鈍化を示しており追加利上げの「可能性はかなり低い」と発言したことでこうした見方が一段と強まった。

タカ派の人間がハト派的な発言をした時が、一番市場が動きやすい。
そのような状況下なので、EUR安がさらに強まっている状況。
各国利下げ観測が市場に織り込まれている中で、EURが一番最初に利下げに踏み切りそうな現状。

・参考記事
 
ECBが世界に先駆け利下げへ、24年1-3月緩和開始観測が急拡大
 ECB追加利上げ可能性低いとシュナーベル氏-利下げ観測強まる

4.英国(GBP)

12月初頭の総括

現在のイギリスのコアインフレ率は4.6%。
BOEのベイリー総裁は、「今は利下げを協議できる段階ではない。インフレ抑制のためなら必要なことは何でもする。」とタカ派が色濃く出た発言を残し、今後数カ月以内の利下げ期待をけん制した。

市場は、2024年8月までの利下げを完全に織り込んでいる。

これまでは2024年6月までと見込まれていたが、英中銀の金融政策委員会(MPC)の複数メンバーが、ここ数週間で根強いサービスインフレに対して懸念を示したこと、なおかつ上述のベイリー総裁のタカ派発言から、利下げ見通しの時期は6月⇒8月に後ずれしたかたち。

ユーロ圏は2024年初頭に利下げに踏み切る可能性が高いため、ユーロと比べると、ポンドのほうが通貨単体で強い状況が続いている。

参考記事
 
英中銀総裁、利下げを協議できる段階ではない-市場の期待をけん制
 ベイリー英中銀総裁、「想定可能な将来」において利下げの可能性低い

■1~2週目(12/1~12/8)

<12/3(土)>
特に目新しい情報はなく、上述の総括の状況と同じ。

12/3週はイギリスに関する経済指標もそこまでないため、ポンド単体で動く期待値は低い。強いて上げるのであれば、12/6(水)の英国PMIが多少意識されるかな程度。

各国の経済状況に影響されてポンド高やポンド安になる可能性はある。

5.オセアニア通貨(AUD・NZD) ※時間があれば

12月初頭の総括

■1~2週目(12/1~12/8)

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