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ドラえもんはアカデミー賞を獲れない。

先日、ドライブ・マイ・カーを観に行った。

アカデミー賞を取ったアレ。
村上春樹の短編が原作のアレ。
西島秀俊が主演のアレ。

全て正しい。私も未だにその程度の説明しかできない。


そもそも原作が50ページしかないのに、映画が180分なのは長すぎる。Amazonオーディオブックでももう少し早く読み切る。観るより読んだ方が早い作品ははじめてだ。村上春樹も驚いているに違いない。
180分座っているという行為すらも少々体に堪えた。朝の電車ではあんなにも座りたいと渇望しているのに人間というのは不思議な生き物だ。ステンディングデスクが売れている理由もよくわかった。

こんなことを嘆いているが、私はほとんど映画を見ない。人生で映画館に行った回数なんて両手で足りるぐらいしかない。映画好きの友人に偶に連れて行かれるか、限定の配信目当てにポケモンを見に行くか程度だ。そんな人間が映画の蘊蓄を垂れようものならば映画の神様とやらに叱られてしまう。

知能はないが感情はある。映画の魅力のたった一握りすらも理解できなかった私は、無念さと共に映画館を後にした。帰路につきながら、造詣が深い人間の語りを聞いてみたいと思って、Youtubeで考察動画を調べた。エヴァンゲリオンと同じぐらい考察動画があった。世の人間はどうやら考察が好きらしい。パスカルの言う通りだ。一番再生されているであろう一番上の動画を再生した。5秒でやめてしまった。映画館で観たあの雰囲気が全て壊れてしまうと感じた。ただの葦になってしまってもいい。この余韻を心の中に留めておきたいと思った。いい映画だったと胸を張って皆にお薦めできる。




確か前回観た映画は、1年半ほど前のドラえもんだった。のび太くんの結婚式のシーンでなぜか泣いてしまった。おばあちゃんとの感動のシーンで場内の全員が泣いていた。これだけ涙腺が刺激されてもアカデミー賞は獲れないらしい。

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