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設計者のワークフロー変革を目指すVRソフトウェア「SYMMETRY」を体験してきた話

先日,xRArchiメンバーの番匠カンナさん,sabakichiさん,mozさん,Discontさん,sekine_kentaさん,でSymmetry Dimensionさんに遊びに行ってきて,VRソフトウェア「SYMMETRY」のデモ体験をさせてもらいました.
(2019/02/28/0:28記:2/1に社名を変更されたとのことで修正しました)
せっかくなので,感想備忘録をばと思いキーボードを叩いております.
(xRArchi...xRと建築の関係を模索する謎の集団)



SYMMETRYってなに?

「SYMMETRY」は建築意匠,内装,土木,製造業など,主にCADを利用して設計に従事する人びと向けに提供されるVRソフトウェアです.
VRとは言っても,その種類は数多くあります.たとえば,「VR建築コンテスト」で使用された「VRChat」は「ソーシャルVR」と呼ばれるもので,見知らぬユーザー同士が交流することやユーザー自身がワールドやアバターなどのコンテンツに手を加えられることが特徴です.

こうしたエンターテイメント的なサービスと比して「SYMMETRY」は設計などのワークフローを効率化するためにコミュニケーションを促進させる機能を多く持っている実務向けのVRです.また,SketchUpのプラグインを用いてCADデータを容易に変換・フィードバックさせることが可能です.

主な特徴は下記のようなもの.

・VR空間内でのボイスチャットを利用したコミュニケーション機能
・VR空間内での修正指示(音声認識やフリーハンドツール)とキャプチャ機能,そしてSketchUpの元データへのフィードバック
・3DCADデータのVRへの自動変換
・SketchUpで設定したSceneの情報がそのままVR空間で使用可能
・いろいろなパターンの仕上げや家具などをその場で変えることのできるレイヤー機能
・2点間の距離測定や面積測定
...etc

さらに詳しい内容は下記URLで紹介されているので,ぜひご覧くださいませ.



シンプルなUIで手軽なVRワークフロー

今回体験したのは,2/1に発表された「SYMMETRY 製品版 バージョン1.1」.
前バージョンとの大きな違いのひとつは点群データの実寸大での確認が可能になったこと.

「i-construction」と呼ばれる国土交通省が推進するICT活用を始め,土木業界では盛んに扱われ始めている点群データの利用が可能になったことで,より活用の可能性が広がるのではないかと思います.


(ここからの画像は「SYMMETRY」公式HPのYoutube動画からお借りしました)

起動してみるとまずは「studio」と呼ばれるVR空間に入ります.
ここでクラウド上にアップされたモデルデータやローカル上のデータをインポートすると,モデルが模型のように現れます.

左手のコントローラ上にメニューが表示され,右手のコントローラから出るレーザーでコマンドを選択します.
まさにVR内デスクトップUI!



表示されたモデルに向かってレーザーを当て,クリックするとモデル内に入ることができます.
表示されたモデル内でできる主な機能を見ていきましょう.

モデルの移動

点群データのインポートが可能になったことで,実測した点群とSketchUpモデルを重ね合わせ,より正確なシミュレーションが可能になりました.
たとえば,重機のサイズの確認など,これまでリスクの高かった業務の事前シミュレーションが可能になり,コスト低に繋がるそう.


レイヤーを使ったライティングのチェック


時間や季節などでの日影の変化のシミュレーション

これまで日影図やシミュレーションソフト上で見るものだった日影がリアルタイムが見ることができるようになります.これを用いれば顧客に感覚的に明るさや影の入り方などを伝えることも可能になります


キャプチャ機能

VR空間上で撮影したものをそのままメールで共有したり,VR空間内にマークアップでログを残すことができます.
VR上で議事録を残せるようになるの尊い.フリーハンドツールでメモを残せるのも普通に楽しい.


シーン機能

SketchUpで設定したScene情報をVR空間内で用いることができます.たとえば,ガイドをするためにルートを設定できる,余分な移動を削減するなど効率化の一助となるのではないかと感じました.


他にもさまざまな機能がありますが,何と言っても印象的だったのは

シンプルなUI!

筆者はそこまでVR機器に明るいわけではないのですが,説明を聞いたらすぐに操作が可能になる直感的なインターフェースがよかったです.

また,モデルのインポート(約1,000万ポリゴンの点群もサクサクインポート...)やシーンの遷移,レイヤの変更などがサクサクでデザインレビューとしての活用の可能性も感じました.
シーンとレイヤをうまく活用すれば,VR空間上でのプレゼンテーションも可能になるのではないかと感じました.
VR空間上を飛び回れるフライジェット機能も遊び心満載でした!



設計者にとってなくてはならないVRを目指す

建築の設計フロー上では,まだまだ模型での検討が主流.しかし,模型をつくるためには時間的・金銭的なコストもかなりかかります.
また,実際に体験する空間のスケール感などはある程度のリテラシーがない限りはなかなかイメージを掴むことは難しいものです.
その時に初学者にとっては「SYMMETRY」を利用することが学習の一助になるかもしれません.実際の寸法もVR空間上で確認できる.もちろん施主とのイメージ共有にも有効でしょう.


何に使えると思うか教えて欲しい

とSymmetry Dimensionの方がおっしゃっていたのが印象的でした.まだまだα版であると語る「SYMMETRY」は,実務者にとってどのように使えたら嬉しいかをヒアリングしていき,より有益なものとして進化させていきたいそうです.

最初はUnityのアドオンとして提供していたが,Unityを使うこと自体がハードルになってしまうのではないかという危惧から現在の提供方式にし,使い始めるためのハードルを下げたと聞いたときは

「SYMMETRY」を設計者にとってなくてはならないワークフローにしたい

と意気込むSymmetry Dimensionさんの芯の通った思想が垣間見えました.
実務上で必須になるのかというとまだまだ課題はありそうですが,設計前の敷地調査などの面で強い影響力を発揮するのではないかという意見がxRArchiメンバーから上がっておりました.

また,点群のインポートが可能になったことで,外観上のデザイン検討の面でも有益ではないのかと思います.白模型などによるボリューム検討ではなく,「見かけ上」のチェックができれば街並みでの景観などのイメージ共有にとても有効そうです.

人の手で実測された2次元に落とし込まれた敷地情報などの図面は不正確である可能性もあると共に,これまたある種のリテラシーがないと共有することが難しいものです.それゆえ,チェックする側の不安からか必要以上の資料作成に忙殺される設計者が多く存在します.
本来,純粋な「設計」に従事したいと思いつつ,先方との意思共有に悩まされる.そんな現在の状況に対しても有効に思えました.
点群はある意味機械的に取得された客観的な「数字」であり,「イメージ」でもある不思議なデータだと思います.精度の高低はあれど,「イメージ」である点群はイメージ共有には高い効果を発揮しそうです.

静岡県が公開した点群データのように,これからは行政側がこうしたものに力を入れる可能性は高いと言えます.
このような上位データの共有が進むと,無駄な資料作成は減り,真の意味でのワークフローの刷新に繋がりそうだなと感じました.


その他にもさまざまな意見が交わされましたが,こんなもんで.
お忙しい中時間を割いていただいたSymmetry Dimensionさん、ありがとうございました!


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福田晃司.建築専門誌の編集者です.91年生まれ.デジタルデータと建築が融合すると何が起こるのかをウォッチングしたく,Unityなどをいじりつつネットサーフィンする日々.xRと建築のコミュニティ「xRArchi」/計算分離派
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