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XR空間の設計/うめきた2期のウェブサイト公開/3D都市モデル公開など

「建築・都市定期報」では定期的に建築・都市系(以外)のニュース・記事を取り上げ、感じたことなどを付記して掲載していきます。

今年最後の週報の更新となります。
このマガジンは「建築雑誌総覧」というタイトルでさまざまな商業建築雑誌を読んでまとめるコンセプトで始めました。しかし、いざ始めてみるとなかなか時間が取れず大変だったので、もう少しラフにしようと思い、気になったニュースを取り上げる形に転換しました。

今のところ、この形ならば続けられそうなので、個人的なアーカイブとして来年もやれればと思っています。
建築・都市・XRなどに興味ある方はぜひ読んでみてください。マガジンを一回購入すれば全部読めるので、興味あった方はそちらをご検討ください。
それでは、今週もやっていきましょう。


XRShop World

XR系の国内クリエイティブスタジオとして活躍するGugenkaとおなじみVRSNSのVRChatがコラボしてVRショッピングモールを開くとのこと。
国内で言えば、バーチャルキャストなどがVR空間内のものの売買を実装していますが、VRChatではバーチャルマーケットが独自にやっているのみでVRChat公式としてはこれが初めての試みになる(と思います)。

Gugenkaと言えば東雲めぐちゃん始めとして国内有数のXR系クリエイティブスタジオです。これを端緒としてVR空間でのアクティビティのバラエティが増えると楽しげですね。

さて、建築民的に気になるのはVRショッピングモールはどういう空間になるかということです。公式サイトには配置図のようなものが載っていますね。

スクリーンショット 2020-12-28 14.18.54

公式サイトより

VR空間でのベストな計画がどのようなものかは未だ分かっていません。そういう意味では、このプランをみる限りは「バーチャルマーケット3」で試みられていたドーナツ状プランを援用したものとなるのでしょうか。この辺りの詳細は下記で少し詳しく書きました。

そういう意味では、このプランニングはまだ現実の磁場に寄っていてVR空間ライクではないような気がします。この点から考えると「バーチャルマーケット5」は3から昇華したような空間構成になっていて進化していました(4はユーザビリティに寄りすぎてVR空間としての楽しさが減衰していたように感じました)。5の空間構成についてはそのうち別に詳しく書こうと思っています。

他にも6月にバーチャルキャストで開催された「ミクランド」では設計事務所が設計したVR空間で行われていたことが謳われていましたが、「一級建築士が手掛ける」「実際の建築物のような」「BIMデータから構築」などVR空間の設計的にはあまり方向性が分からなかったような気もします。現実に寄せるのはスタートとしては確かにありですが、VR空間にはVR空間でしか体験し得ない体験が確かにあって、その辺りをもっと深掘りしていくような機運ができると非常に楽しいなと感じています。

色々書きましたが、なにはともあれ、このように「空間とセット」でイベントが企画されることの試行が増えれば、自ずと経験値も増えていくので、これから楽しくなりそうな分野ですVR空間は。


うめきた2期

大阪の大再開発、うめきたエリアの2期目の計画についてのウェブサイトが公開されました。いよいよ本格的に進むみたいですね。
今回の2期計画の特徴は、公園の多さです。

うめきた2期は約91,000㎡におよぶ敷地全体のうち、半分にあたる約45,000㎡を都市公園にあてている。

全国的にも公園が注目されていますね。そういう意味では潮流に乗った開発と言えますが、1期のグランフロント大阪などは広場やペデストリアンデッキなどはつくられていましたが、緑化部は少なく、かなり都市的な風景となっていました。

それに比べて今回の開発ではランドスケープにかなり重点が置かれています。1期と合わせてうめきたがどのように変わっていくのか、今後注目のプロジェクトだと言えると思います。


フランク・ロイド・ライト設計の迎賓館など、芦屋の建築、VR化し世界へ配信

ライトが設計したヨドコウ迎賓館がVR化して公開されるようです。
コロナ禍において、人びとの移動が制限されたことから多くの施設でオンライン上で施設を公開する試みが行われていましたが、その多くはmatterportによるウォークスルーが多かったです。

個人的にmatterportによるウォークスルーは体験性に乏しく、数分見れば十分となってしまいがちでした。一方、こちらではハコスコが制作を担当することから、おそらくフォトグラメトリによるコンテンツなのではないかと思います。

どのような形で配信されるのかは分かりませんが、ハコスコの天主堂のものは体験したことあるので、あのような形であるなら非常に楽しみです。


PLATEAU

PLATEAU は、国土交通省が進める3D都市モデル整備のリーディングプロジェクト。
都市活動のプラットフォームデータとして3D都市モデルを整備し、オープンデータとして公開することで、誰もが自由に都市のデータを引き出し、活用できるようになる。

国土交通省が3D都市モデルのデータを公開して何かを始めるそう。普段から基盤地図情報などでお世話になっているので、新しい展開は素直に興味があります。

ここからどのように展開するかが重要かと思いますので、うまく情報展開されてくれると良いなと思います。


バーチャル空間に異変!?VR空間に増え続ける学校の謎を追え!

先に述べたコロナ禍におけるオンライン公開の中でも面白い流れのひとつだなと思うのは、「VR空間上に学校を建てる」という事態だと思います。

主に国産VRSNS「cluster」を使って、学生が有志でキャンパスを制作・公開し、そこでオンラインオープンキャンパスや文化祭などを行ったりしています。
面白いのが、ここではキャンパスが学生たちにとっての「共通認識」になっていて、基底現実の建築がその役割の一端を担っているという事態です。

こうした事態はつくる側にとっても非常に重要なことでしょう。これまた、面白いことに多くのVR空間の学校には建築の学生ではない学生が関わっていることも多く、彼らがどのような部分で「自分たちの学校」と感じるのか。その空間から見えてくるのではないかとも思います。
こういう事態を考現学的に調べてみたいなと思ったり。そういえばmiroを使ったものもありました。こちらは制作会社が入っているようですが。


VR音楽活動のススメ Advent Calendar 2020──ライブ演出と立体音響を前提とした作曲 - memeと森と蚕2020における事例

以前書いた記事で紹介したアドベントカレンダーで更新されたキヌさんの記事が「記事を読む空間」というコンセプトで記事用のVR空間をつくり、そこで実例を交えながら読むことができる体験を提供していて非常に興味深かったです。

文章には何を伝えるかによって適切な方法が無数にあると思います。そういう意味では体験とセットで提供できるこの形式は将来的にはありえるかもしれません。

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