「フィクション」,「リアル」,「リアリティ」について─背景が語ることはなんなのだろうか0
社会学者の大澤真幸が、1995年以降の時代状況を「現実から逃避する」のではなく「現実へと逃避する」と分析している。彼が「現実」に「リアリティ」とルビをふっていることに注意したい。現実は普通、リアルの語訳に当てはまるのであって、リアリティではない。ここで逃避が向かっている「現実」とは、「現実以上に現実的なもの、現実の中の現実、「これこそまさに現実!」と見なしたくなるような現実である」。つまり、「リアル」以上に「リアリティ」を持つ何かであって、私たちが生きている世界より、もっと身