本当の「美」は「美を感じない」ところにある。

 坂口安吾の「日本文化史観」の中では、必要に応じただけの「美しさ」が重ね重ね語られている。坂口安吾にとっては、情報を補足しなければ美を認識できない、法隆寺(この場合“歴史的観点”が情報の補足に当たる)の美よりも、無機質に「必要」だけを追求した小菅刑務所や、ドライアイス工場に「美」を感じていたようである。自ずから「美」を意識しないからこそ生まれる美。

 これは、

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