この愛は呪いか『母との約束、250通の手紙』 ネタバレあり
→母との約束、250通の手紙
監督:エリック・バルビエ
主演:ピエール・ニネ
公開:2020年1月
上映時間:131分
まずはこの実話自体が凄すぎる。。。
四コマ映画『母との約束250通の手紙』
→http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2434
まずはこの実話自体が凄すぎる。。。
実在のフランスの文豪ロマン・ガリの半生(ほとんど一生)を描いているものです。
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かなり強烈なお母さんをシャルロット・ゲンズブールが演じてますが、素晴らしい怪演。。。
そのまま演じちゃったらちょっと観客がついていけないレベルの怪物お母さんなんですが、
可愛らしく演じてる場面も多いので
このお母さんの心情にも寄り添いつつ観ることができます。
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この強い強い愛情と生きる力を持った母親に育てられるロマンを演じるのが、ピエール・ニネ。
フランスでは2人ともトップスターですし、原作もベストセラー。
映画も大ヒットしたようですし
大ヒットすることが予測されていたかのようにものすごく製作費かかってると思いますよ、コレ。
美術と衣装が圧巻!!
ロケ地何箇所あるんだってなくらいに、あちこちで撮影してるし
何日もかけて準備して撮影したであろうシーンでも数秒で過ぎ去ってしまう。豪華!
だから、何十年かの話なんですけどバンバン話は進んでいきます。
実話ならではの、どこに話がいくのかわからない展開。
気づけばロマンはアフリカで戦闘機乗っていたりするので、ホント物凄いんですよ、この実話自体が。。
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「母からの強い愛に応える息子」
という軸が中心にあるので
筋書きのないストーリーでも大丈夫なんですが、
終盤、いきなりこの軸が崩れます。
息子の成功をひたすらに願っていたお母さんですけど
息子がついに作家デビューできることになった途端、完全スルーなのです。
どんなに喜んでくれるんだろう、きっと誇りに思ってくれるだろうと期待してたのに。。
お母さんからの手紙はバンバン届くんですが、その点については全然スルーされるんです。
それは何故か、というのが終盤のミステリー。
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お涙頂戴にしてないところがこの映画のホントに素晴らしいところ。
これを「どうぞ泣いてね!」みたいな空気でやられてたら、僕はデモを起こしてましたよ。
あぁネタバレ厳禁!
ネタバレは以下に。。
四コマ映画『母との約束250通の手紙』→http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2434
5年前に息子はアフリカに出征。
母はすでに病気で入院してました。
今生の別れ的な雰囲気も出してたけど
母から週に1、2回は手紙が届いていたし
その文面を見ると「全然元気なんだな」とロマンは思っておりましたね。
で、作家デビューしたことを手紙で知らせてもスルー。
新聞に載ってもスルー。
なぜ!と思いつつ、帰郷して、病院を訪れると
「お母さんは3年前に死んだ」と医者。
死期が近いと悟った母は
生きているうちに手紙を量産しまして
スイスの友人に頼んでそれを毎週1、2通ずつ息子のところに送ってもらっていた。
だから、息子の作家デビューを知らずに死んでいたわけですね。
「いつか真実を知ったら私を許してくれるのでしょうか」と。
私が死んでることを知らせないようにしたことを許してくれますか、と。
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その後、ロマンは大作家になるものの、あんまり幸せじゃない感じで生きまして、最終的には自殺。
母からの強い愛は祝福だったのか、呪いだったのか、それは本人しかわからないことです。
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