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❺珍作にして感動作 ブルース・リー死後に完成 第5作目?映画『死亡遊戯』ネタバレあり



珍作にして感動作『死亡遊戯』に至るまで

1966年のアメリカのテレビ番組『グリーン・ホーネット』のカトウ役でアクション俳優として人気を博しその後ドラマ出演や武術指導などの仕事を得るも、「連続テレビドラマ『燃えよ!カンフー』を企画し、自ら主演を願ったが、東洋人であることなどを理由に叶わなかった」。

1970年に香港のゴールデンハーベストと契約し、
71年1作目『ドラゴン危機一発』が大ヒット
72年2作目『ドラゴン怒りの鉄拳』、同年製作・監督・脚本・主演の四役を担った3作目『ドラゴンへの道』も大ヒット!

72年の秋からブルース・リー監督2作目となる『死亡遊戯』の撮影スタート。脚本ができる前に撮影が始まっていた(香港映画ではよくあること、とのこと)。ラストシーン(ビルを登りながら階上で待つ敵を倒していく)のみ撮影したところで、
「ハリウッドのワーナー・ブラザースとコンコルド・プロダクションとの合作映画『燃えよドラゴン』の企画が持ち上がり、『死亡遊戯』の製作は中断される。」

73年 4作目『燃えよドラゴン』公開!アメリカでも3.5億ドルの大ヒット!
(2004年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録された。)


しかしブルース・リーは『燃えよドラゴン』の公開1週間前に亡くなってしまう。

そっくりさん起用 第5作目?『死亡遊戯』

ラストのアクションシーンのみが撮影されていた『死亡的遊戯』(企画当初のタイトル)をなんとか映画として公開させるべく紆余曲折すること5年。

スタントマンやそっくりさんを使ったり、ブルース・リーの過去の映像を流用したりしたりして力づくで完成。
「日本ではヒットしたが、世界的にはそれほどのヒットにはならなかった。」とのこと。


酷すぎて愛しい

ラストシーンしか撮ってないし、過去の映像を流用っつったって顔のアップくらいしか使えない。
ほとんどはスタントマンやそっくりさんを使った新撮になる。

サングラスをかけてたり、髭をつけたり、暗闇にいたり、一瞬しか顔映さなかったりして、なんとか本人じゃない問題をスルーしようとしているのが面白い。

で、思い切って顔を正面から長写ししたのが下のシーン。

顔の画像を明らかに貼ってんのよ。体は微妙に動いてるけど顔はビッタリ動かないし、表情も変わらない。。現代では高画質で観れるからパッと見で「こんなことする??」って思うけど、当時は気づかない人もいたとか?ほんと?

これは映画史に残る珍場面ですよ。。


ほんとのブルース・リーの葬式場面と『死亡的遊戯』

死亡的遊戯、つまりは死んだフリって意味かと。

映画の中でもブルース・リーが演じる主役は「死んだフリ」をします。ブルースが死ぬ前に自分自身で考えたタイトルが「死亡的遊戯」だったわけです。

映画の中で死んだふりをするために大々的な葬儀が行われるんですけど(主役も人気俳優という設定)、その葬儀のシーンが実際のブルース・リーの葬儀の映像なのです。。

道路を埋め尽くす群衆は実際の葬儀に参列したファン。そして棺の中の顔も映してるんですが、それは本当のブルース・リーの死に顔。。

自分で考えたタイトルとは言え、まさか自分のホントの死を「死んだフリ」のシーンとして使われるとは思わなかったでしょう。。


香港帰国後第1作から第4作まで一気に観たものとしては、この第5作?は愛しちゃいますよ。

上記のホントの葬式のニュース映像(?)を「死んだフリ」に使うこととか、あまりに酷い映像加工とか、「ブルース・リー本人は望んでいないのでは??」という引っ掛かりを常に感じる100分でした。

ブルース・リーに対する愛情や「映画の中だけでも復活してほしい」という気持ちやせっかく撮っていたラストシーンをちゃんと映画として成立させたいという気持ちはあったと思います。

でもそのやり方が稚拙だったしテキトーだったとも感じます。

「愛情表現のつもりだった」っつって愚行を謝罪した政治家が2021年夏の日本に出現してきましたけど、もしかしたらこの映画も2021年だったら謝罪案件だったかも。。

ただ、香港帰国後第1作から第4作まで一気に観たものとしては、この第5作?は愛しちゃいますよ。ラストバトルでやっとご本人登場なんですけど、「どれほど無念だったか」とか「割と野心家だったからまだまだ上に登るつもりだったんだろうな」とか思うと、泣けてくるんですよね。。


ラストのブルース・リーの個性ハンパなしっ!

それまで80分くらい別人がずっとブルース・リーの代役をやってきてまして、彼らはスタントマンだったりするので空飛んだり受け身を取ったりするアクションは得意。

そういうアクションは本人よりも上手かったと思います。
ただカンフー(ジークンドー)の動きがやはり彼らは遅かった。

ラスト登場してきたブルース・リーの本物感!動きが早いし、手を鳥の前足みたいに前後させる動きが個性的!表情も普通の人間の域を超えてるし、あの怪鳥音はあの表情でしかハマらない。

やはり世界的スターのオーラなのです。個性なのです。面白いのです。

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ラストネタバレは以下に


最上階にたどり着き、黒幕のドクター・ランド。
両手首を切って血を流してすでに死んでる…と見せかけて実はそれは人形。ここでも死亡遊戯。

ランドを追いかけると、ランドは屋上へ。
屋上から屋根へ。
とくにビリーが何するわけでもなく屋上から転落。死亡。

突如エンドール。

ブルース・リーの過去の映像のモンタージュ。
この映画がブルース・リーへの愛情がこもっていたものだとわかるエンドール。
愛情はあったけどちょっとやり方間違ってた感も否めない。
でも43年前の映画だもんね。

ブルース・リーが草花を手にして座っている様子。
あまり表情は晴れない。
ラスト、すこし空を見上げる。

「もう時間か」的な
「やっぱ俺がいる場所は空の上か」的なショット。
哀しい。

終わり


はぁ、僕のブルース・リー祭りも終わってしまった。始まったらすぐ終わってしまった。。まだ見てないキルビル観るか。。




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