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自分のセクシュアリティの受容過程を描いた傑作 『アレックス・ストレンジラブ』ネタバレあり

前半つまんない(というかさすがに41歳の僕はこの映画の対象ではない……)けど
後半はグッと突然面白くなります。

前半のノリについていけなくても諦めないで!

**

監督自身がゲイなんですね。

前半にわかりやすくありふれたゲイ差別の会話がちょくちょく出てくるんで、
この映画大丈夫か…と心配したけど
さすが映画全体のバランスが取れてる。

後半は映像表現的にも凝り始めて
回想シーンも交えて
映画に深みを与えてる。

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なんか『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』(大好きな映画)を観てるような気分。

青春期にいる若者にとっては生死を問われる悩みだってことはわかるけど
おじさんからするとかわくて瑞々しい。

振り返ってみるとその痛みも含めて「輝かしい青春」ですよ。

生きていればこそだけどね。

**

彼氏がゲイだと知った女の子の扱いも

素晴らしい。


ダメな映画だと急にゲイに理解を示して彼の味方になって
話の展開に便利なキャラクターにされて、彼女の個人的な感情は表現されない。

この映画では彼女なりの苦悩や怒りもちゃんと描いてる。

彼女への救いもちゃんとある。

彼女はキューピットになることで自分の苦しみを乗り越えようとトライする。
その姿がカッコいいし、人間らしいし、表情も美しい。

この描き方はなかなかない。
素晴らしい。

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意識的にライトに仕上げてる

のも好感もてますね。

ラストのYouTube動画のモザイク画も泣ける。。

ちゃんと信念持って作られていて素晴らしい。

さすがに前半はもうちょい所々重みが欲しいとこだけど、まぁ年寄りはひっこんどきますわ。。 

ネタバレは以下に。





アレックスとクレアは予定通りセックスを始めるが、どうやらアレックスは勃たない。。

そもそもアレックスに対して不信感を持ち始めていたクレアはさらに不信感を強める。

アレックス「好きな人ができた」
クレア「誰」
アレックス「それはとても言えない…」

すべてを察したクレアは怒りと悲しみで飛び出してしまう。

クレアは悲しみに暮れ、
アレックスは自暴自棄になる。

アレックスは友人のデルたちにパーティーに誘われる。
デル「お前がゲイだろうと何だろうと友情は変わらない」的な事を言う。

アレックスはパーティーでゆきずりの女の子とセックスを試みるが、やはり無理っぽい。。

アレックスがパーティーに行った事を知ったクレアがパーティーに乗り込んでくる。

いろいろあってアレックスがプールで溺れたのをクレアが助ける。

アレックスは自分がゲイである事をクレアに打ち明ける。
自分でも受け入れられてなかった事実を初めて人に話した。

戸惑い、悲しみ、怒りを混在させつつクレアは大人の対応でアレックスを受け入れて、2人は仲直り。

しかしクレアは家に帰り涙を流す。

後日、2人はプロムへ出かける。
が、それはクレアのサプライズであり、プロム会場にはエリオットがいた。

アレックスとエリオットのキューピット役を務めたクレアはアレックスへの恋心に結着をつけ、また一段と素敵な女性へと成長する。

アレックスはエリオットと踊るのを恥ずかしがる。
アレックス「みんなが見てる」
エリオット「それが?」

アレックスとエリオットは群衆の中で抱き合いキスする。

周りにはそれを気にも留めずに楽しく踊る友人たち。

後日。
アレックスとクレアは今までと変わらず研究発表の動画をアップする。

画面には、ゲイをカミングアウトする若者たちの動画画面が敷き詰められていく。

おわり

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