本年度最重要邦画『岬の兄妹』!
岬の兄妹
監督 片山慎三
脚本 片山慎三
出演者 松浦祐也 和田光沙
シーン1つ1つが丁寧に撮ってあって、セリフ以外の情報量がものすごく多い。
セリフだけでなく、映像や演技で物語が語れているわけです。素晴らしいのです。
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片山監督は、『母なる証明』などのポン・ジュノ監督のもとで助監督を勤めた経験もあるそうで
ポン・ジュノから「シーンごとにジャンル変わっていてもいいんだ」ということを学んだとのこと。
確かに、
社会派であり田舎ホラーでありボーイミーツガールでもありエログロであり犯罪コメディでもあり。
本当の人生がそうであるようにシーンごとにジャンルが違っていて、
薄ら寒いほどに怖いシーンの後に
小3男子が笑い死にしそうなコメディシーンが来たりするので
感情があっちこっちに揺さぶられながら観ることができました。
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かと言って映画として漫になっていないのは、
兄妹を演じた松浦祐也さんと和田光沙さんの演技力の賜物でしょうね。
特に全く隙を見せずになりきっていた和田光沙さんの迫力が、観終わって何日も経っているのにぞっとするほど残ってます。
ストーリーテラーでもあり事件の根源でもある兄を、匂い(臭い)まで伝えるようにリアルに演じた松浦祐也さんも素晴らしい。
細かい表情やセリフのニュアンスなどが的確だったので、観客はこの愚かな兄から目を離せなかったのでしょう。
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どこかの地方都市のはずれにある岬町のロケもいいですね。
牧歌的に撮影することもできるはずですけど
〝田舎ホラー〟として寒々しく撮ってあって素晴らしい。
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四コマ映画『岬の兄妹』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2268
以下ネタバレ
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自閉症である妹が自ら望んで「冒険する!」「お仕事する!」と言って、売春行為を繰り返すわけです。
兄がそう仕向けるわけです。
妹は快感を得て嬉しそうでもあるし
僕は「妹はたぶん自分で何やってんのかわかってないんだろうし…」と
自分がラクになるために、そう思い込みながら観てました。
が、
中村から距離を置かれた後、アスファルトに横たわった妹の咆哮。。
妹は全部わかってたのかもしれない。
自分が今まで何を繰り返した来たのか、を。
あの長い咆哮は、
僕自身の「事なかれ主義」「薄情」な気持ち、つまりは「悪」ですね、悪の部分を暴く叫びでした。
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兄の幼馴染で警官の溝口。
彼は観客ですね。
兄を怒ったり責めたりするけど、口だけで実際は1ミリも動かない。
事態を良くするために手段を講じたりしない。
惜しいのは、ちょっと巧すぎたかな。。
障碍と性犯罪っていうアンタッチャブルなものを扱うにあたって
その距離感もちょうど良かったし
エログロだったりヒリヒリするような踏み込んだ設定に心がザワザワするんだけど、
バランスが取れてしまっているのがちょっと勿体無い。
もっと飲み込みづらい、
観終わった後実際に喉から血が出てんじゃないかってくらいの
ゴツゴツした、イガイガしたままの映画でも良かったかも。
たた、この技術力とオシャレ感はものすごいので、、片山監督、今後恐ろしいことになりますよ。。
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