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左耳運動 :せめて差別発言の共犯者にならないために

公の場で差別発言が行われたとき、「どうして周囲の人はその場で抗議しなかったんだ」という声があがることがあります。「傍観するのは差別に加担するのと同じ」という意見もあります。それはもっともです。
ただ、私のようにただでさえ小心者で反応の遅い人間が、目の前で差別発言が飛びだしたときにすぐ立ちあがって抗議できるかと考えると、まったく自信がありません。
だいたい「えっ…嘘でしょ…まさか今どき…聞き違いじゃないよね…」などと思っているうちに話題が変わってしまい、そのままひきつった笑みを浮かべているしかなく、帰り道で自己嫌悪に陥ります。
また差別発言をする人は影響力ある立場にいることも多いので、弱い立場の人間が表立って逆らうのが難しい部分もあります。
よくあるのは「その場で黙ってやり過ごしておいて、あとでネットにさらす」という対応ですが、加害者が有名人でもないかぎり効果が限定的ですし、「なぜその場で反論しなかったのか」という批判は残り続けます。

そこで、立ちあがって抗議する勇気がなくても差別発言に抵抗する方法を考えてみました。

「左耳に手をあてる」だけです。

これで、「今の発言は差別だと思う。私は賛同できない」ことを意味します。人差し指と親指で左耳にピアスをつくるイメージでも良いかもしれません。

左耳を選んだのはたいした理由ではないのですが、「立っても座ってもできる」「片手がふさがっていてもできる」ということのほかに、「左耳のピアスは勇気と守護者の象徴」という俗説にちなんでもいます。

アメリカで人種差別に対する抗議を示すために「片膝をつく」という行動が話題になったことがありますが、これはなかなかハードルが高いです。
左耳ならもしとがめられても「いやあ耳がかゆくなって」と言い逃れができるので、小心者さんにも安心です。
はなはだヘタレな抵抗ではありますが、その場にいる全員が左耳に手をあてれば差別に反対する明確な意思表示になりますし、それが無理でもせめて被害者に対して「自分は味方です」というメッセージは送れます(被害者からすれば「みんなの前で差別発言を浴びたとき、誰も助けてくれなかった」というのは絶望を深くします)。また「差別反対仲間」がどれくらいいるのか、確認する手段にもなります。

もちろん堂々と立ちあがって反論できれば一番良いのですが、とっさにそれができなくても、何かできることはあります。

(この案に賛同してくださる人々がいたときのために #左耳運動 というハッシュタグをつけてみました)

私はあまりにも無力で、差別をなくすどころか差別と闘うことすら満足にできないのですが、せめて左耳に手をあてて、差別発言に加担することだけは避けようと思うのです。


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