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夫婦別姓以外のアイデアまとめ

夫婦別姓の議論で残念なのはいつのまにか「夫婦別姓か現状維持か」の二者択一になってしまったことで、本当はほかにも方法はあると思うのです。
例を挙げます。

〈1〉夫婦新姓
結婚したら夫婦は実家の姓と違う新しい姓を名乗ります。現在の民法では結婚すると親の戸籍から抜けて新しい戸籍をつくることになるので(そういう意味では「入籍」ではなく「創籍」と言うのが正しいのかもしれません)、戸籍のスジに沿ったものと言えます。
【メリット】
・男女平等。
・夫婦ともに「親から独立して新しい家庭を築く」という自覚が生まれやすい。
・夫婦とその子どもが同じ姓を名乗れる。
・カップルで相談して好きな姓を選ぶ楽しみができる(山田さんと鈴木さんで山鈴さんとかですね。二人の趣味が登山で初デートが谷川岳だったから谷川とか。披露宴で「さあ二人の新しい姓は!」とかバーンと発表できそうです)。
・姓の多様性を維持できる。少子化の昨今では子どもがいなかったり女の子だけだったり子どもに子どもがいなかったりで珍しい姓はどんどん消滅する運命ですが、この制度なら失われた姓を復活させたり今までにない姓をつくったりできます。親と同じ姓は使えませんが、祖母の旧姓とか、途絶えた先祖の姓を名乗る手も使えます。
【デメリット】
・名義変更の手続きが現行の2倍発生する。

〈2〉連結姓
たとえば山田一郎さんと鈴木花子さんが結婚したら「鈴木=山田一郎さん」と「鈴木=山田花子さん」の夫婦になります。子どもは「鈴木=山田次郎くん」とか「鈴木=山田花江ちゃん」とかになるわけです。このままだと際限なく苗字が長くなりますので子どもが成人するか結婚する時点で「鈴木」と「山田」のどちらを継承するか子ども自身が選択できるようにします。次郎くんが「高橋=田中良子さん」と結婚するなら、鈴木と田中を残して「鈴木=田中次郎」にすることができます。どうしても全部残したいなら「鈴木=山田=高橋=田中」とつなげる手もありますが。
【メリット】
・夫婦双方の姓を残せる。
・どちらの姓を残すか子ども自身が選択できる。たとえば次郎くんはラーメン大好きで母方の祖父母がやっている「らーめん鈴木屋」を継ぐから鈴木を残す、とかできるわけですね。
【デメリット】
・名義変更の手続きが現行の2倍発生する。
・めんどくさい。

〈3〉姓を廃止
これは過激な意見に聞こえるかもしれませんが、世界にはインドネシアのようにほとんどの人に姓がない国もありますし、日本でも江戸時代までは一般庶民に姓などなかったわけですから、むしろこちらのほうが伝統と言えます。廃止といっても公的書類に記載されないだけで、あだ名として日常生活で使うぶんには自由です。たぶんシチュエーションに応じて、家族のチーム名として現行の姓に当たる名前で呼ばれたり、レオナルド・ダ・ヴィンチが「ヴィンチ村のレオナルドさん」という意味であるように「越谷の玲子さん」みたいに地名を冠したり、「営業の太郎さん」みたいに職種で呼ばれたりするのではないでしょうか。同名の人が多くて個人の識別性に問題があるなら下の名前を二つつける手もあります(遼・知宏とか遥・真希とかになるわけですね)。どうしても子どもの公的書類に姓を記載したい人は下の名前に組み込んでしまえば大丈夫です。


【メリット】
・改姓だの別姓だの復姓だのに関わる手続きとそれにともなうトラブルがすべてゼロになる。
・誰もが生まれてから死ぬまで一貫して同じ名義なので、名寄せの作業が不要になり本人確認の確実性が増す(たしか役所のミスで結婚改姓した人の年金記録が消えた事件があったと思います)。
【デメリット】
・思いつかない。

個人的には〈3〉が一番いいと思います。家族関係の変遷みたいなことを公的書類に反映させるから揉めるのです。そもそも自分の名前を自分で決めるのに、なぜお上に強制されなければいけないのでしょうか。

いずれにしろこの世に「正しい家族」など存在しませんが、「楽しい家族」は存在します。家族が楽しく生きていけるための法制度であって欲しいです。

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