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内田百閒式節約術

内田百閒といえば借金まみれで有名な作家ですが、不思議なのは決して働いていなかったわけではなく、むしろ大学教授というかなり恵まれた地位にあり、女遊びや賭博に溺れるでもなく、投資で失敗したとかでもなく、ただ日々の生活費がかさんでそうなったというのですから、よほどやりくり下手だったのでしょうか。

そんな百閒先生ですが、ある日同僚の先生が「今日から倹約を始める。もう米も味噌も買わない」宣言をします。
周囲のみんなが「米や味噌は買わないわけにいかないでしょう」と言ってもその先生は「いや買わない。必要なものを買っていては倹約にならない。倹約とは必要なものを買わないことだ」と頑張ります。
聞いていた百閒先生はいたく感心して「なるほど無駄遣いなどはたかが知れている。必要欠くべからざるものが我々を貧乏にするのだ」と考えます。
(※出典を忘れました…ご存知のかた教えてください)

まあこれは百閒先生流の諧謔といえばそれまでですが、昨今の私たちにとっても、ここまで生活必需品が高騰すると、もはや無駄遣いを減らすなどという節約術では追い付かないことも事実です。

フィナンシャルアドバイザーの家計相談でよく「保険の見直し」を勧めていますが、そもそも保険など入っていない私はどうしろというのでしょうか。
もともと昼食は持参で3食自炊、趣味も道楽もなく、休日はたまった家事をして図書館で借りた本を読み、こういう記事を書いて近所を散歩するくらいなので、娯楽費を削る余地もありません。
安いものを買う、ポイントを貯める、まとめ買いでお得に買い物するなどはある程度の消費規模があって初めて有効です。
あとはもう「何も食べない」「何もしない」「どこへも行かない」くらいしかなくなってしまいます。

ちなみに百閒先生はその後もぜんぜん借金生活から抜け出せていないので、必要なものも無駄なものも買っていたのだと思います…。



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