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運動の効果を高めるための検査

健康ブームということもあり、ランニングやフィットネスクラブに通っておられる方が多くなってきました。

当院での心臓リハビリテーションやメディカルフィットネスとして運動療法を提供していますが、運動の効果や必要性はゆるぎないものがあり、どの世代においても取り入れるべきだと考えられます。

運動の効果を高めるためには、正しいトレーニングメニューを実施する必要があります。

正しいトレーニングとは、適切な運動の種類、強度、頻度、回数、時間などを個別に設定していくことです。

特に体力が低い方であれば、負荷が強すぎる場合や、疲労が蓄積してしまう場合には、かえって体に痛みが出たり、体調を崩してしまうことがあります。

運動は大事なことはわかっているが、どのような運動を行っていいのかわからないという方は意外と多いのではないでしょうか。

フィットネスクラブでは個別にメニューを組んでくれたり、適宜体力測定などを行ってくれるところもありますが、トレーニング自体は自身で行う必要があるため正しい方法で実施できていない場合があります。

当院の心臓リハビリテーションでは、心臓リハビリテーション指導士の資格をもった健康運動指導士と理学療法士がトレーニングをサポートします。

また運動を始める前に、適切な運動メニューを作成するための検査や測定を実施します。


①体組成測定
当院ではTANITA社製の体組成計を導入して、体脂肪率や筋肉量を測定しています。


結果用紙

この機械では筋肉量や脂肪量が部位別に表示されます。
特に高齢者の場合は上半身と下半身に分けた時、下半身の筋肉量が低下する傾向にあります。
食事量や活動量が低下することで筋肉量が低下しますが、下半身の筋肉量の減少はサルコペニアやフレイルなどの状態になる可能性が高く、転倒や骨折の危険性を上げる原因にもなります。
適切に評価して対応策を考える必要があります。


②筋力評価
当院では筋力測定機器を使用して、足の筋力を測定しています。

測定部位は主に握力と足の膝を伸ばす筋力を測定します。
これらを測定することで年齢平均と比較したり、トレーニングの効果を検証することをします。

この検査でも高齢者の場合は足の筋力が低下しているケースが多く、運動の必要を強く感じる場面でもあります。

③心肺運動負荷試験
当院の心臓リハビリテーションでは、心肺運動負荷試験を実施しています。

運動療法を行う際に一番大切なことは、運動をしても大丈夫な状態かということです。特に心臓や肺、血圧や脈の状態をしっかり評価し、運動に耐えられる状態かを判断します。
また現在の体力や、運動する際にどの程度の負荷で行うと安全で効果的かを評価します。


その他にも、重心動揺検査やバランス検査、歩行速度、椅子からの立ち上がり速度など、身体機能の検査などを行います。


これらの検査を行うことで、現在の身体の状態が生活に把握できますし、トレーニングメニューの作成や効果の検証に役立ちます。


同じ運動を行うにしても、しっかり評価を行い、根拠を持ったトレーニングをすることで効果を最大限にすることができます。

自己にて運動することも当然必要ですが、専門的な知識や評価を行うことで、より意味のある運動になります。


運動療法はただの運動ではなくあくまでも『治療』として行われます。
薬の処方は個人によって用法、用量が異なります。
運動療法も同じように、その人にあった処方が必要です。

当院ではこれからも、最新の機器を使用しながら、効果的な運動療法を提供できるよう努力してまいります。


運動療法の必要性や実施については医師の判断が必要になりますが、診察時などにお気軽にお問い合わせください。