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青春とは何か?

 最近「青春」という言葉をあまり聞かなくなったような気がします。私が青春時代を過ごした60年代から70年代にはテレビドラマにも「青春」を冠したものが数多くありましたし、世の中も高度成長期で元気があったように思います。今のこの現象が少子高齢化を反映したものなら、何とも寂しい限りです。今一度輝かしい青春を日本社会に取り戻したいものです。
 さて、「青春」とは一体何なのでしょう。古代中国に始まる陰陽五行説では青は春の色なので、青春は元々春の季節を意味しています。同じように朱夏・白秋・玄冬(玄=黒)という季節の呼び方がありますが、青春は実際には「人生の春にたとえられる若い時代」という意味で用いられます。青には青二才や青田買いという表現に見られるように「若くて未熟な」というイメージがあります。私自身は、若くて美しい、何にでも何度でもチャレンジできる、失敗しても許される、夢、汗、涙、熱中、迷い、不安、等々の言葉が浮かびます。昭和51年(1976)にリリースされた森田公一とトップギャランの「青春時代」(作詞 阿久悠)の歌詞に「青春時代が夢なんて あとからほのぼの思うもの 青春時代の真ん中は 道に迷っているばかり」というのがあって、当時青春真っ只中の私も「そういうものか」と納得したものです。
 青春といえば、サミュエル・ウルマン(1840-1924)というアメリカの詩人が書いた有名なYOUTHという詩があります。Youth is not a time of life; it is a state of mind.「青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方を言う」(作山宗久 訳、角川文庫)で始まるその詩は、ウルマンが78歳の時に書いたものだそうです。この詩に深く感銘を受けた松下幸之助(松下電器産業[現:パナソニック]の創業者)は、次のように要約して色紙に自ら筆で書いて額に入れ、座右の銘としていたそうです。

  『 青春 』
  青春とは、心の若さである。信念と希望にあふれ、勇気にみちて
  日に新たな活動を続ける限り
  青春は永遠にその人のものである。

 若さという美しい花はいずれしぼみやがては散ってしまいます。しかし、Nobody grows old merely by a number of years. We grow old by deserting our ideals.「年を重ねただけで人は老いない。理想を失うとき初めて人は老いる」とウルマンが言うように、心に夢がある限り、そしてその実現に向かって日々努力を継続している限りは、青春時代なのです。

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