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Cゾーンを広げる旅

Cゾーン、Comfortゾーン。
それは、その人が快適に過ごせ、安心できる空間。
自らCゾーンを飛び出し、新たなCゾーンを築けた。
 「普段いる環境」を飛び出したい。その環境で新たな仲間と過ごしたい。これが東南アジア青年の船に応募するに至った一番の動機だ。小中高と同じ附属学校で育ち、似たような大学に進んだ。常にCゾーンにいた。300人中40人しか日本人がいない青年の船は、自分にとって、Cゾーンを超えるチャンスだと思い、参加を希望した。
 PPY20人程とラーメン屋に行った成田の時からニッポン丸で分かれる最後の瞬間まで、フィリピン青年団に囲まれて過ごした。彼らとの時間は、常に物語と音楽に彩られていた。
 3食を共にし、波や星空を前に語り合った。フィリピンの流行歌で踊り、ウクレレやピアノを聞きながら歌った。ラウンジで他愛ない会話をしたり、共にイベントに参加した。タガログ語(フィリピンの公用語)が飛び交う中で過ごすことが、「日常」だった。最初は英語を使わないと出来なかった意思疎通が、徐々にタガログ語のままでも想像できるようになった。目線、言い方、一人一人の性格、そういった一つ一つが、「ことば」となった。この感覚を持てた時、フィリピン青年団に囲まれた空間がCゾーンになっていると感じられた。次第に、タガログ語でふざけあい、英語で深い話や大切なことを話すようになった。好きな音楽で生きる素晴らしさと不安定さへの怖さをもつプロの音楽家、自身も少数派のイスラム教徒でありながら少数民族と交渉により平和を創り上げることへの遣り甲斐と現実への憤りをもつNGO職員。目標に向けて、命をかけて、本気で打ち込む彼らに憧れる。私も彼らのようになりたい。
 異文化に飛び込み、彼ら共に生活をする中で、スピード感や空気感を五感で学んだ。自らCゾーンを飛び出し、そこをCゾーンにすることを身体感覚で学んだ。別の環境であれ、飛び込んだ先をCゾーンにできるという自信を持てた。
大学を卒業してから、海外大学院進学かジャーナリズムの道に進みたい。どちらに進んでも別の環境に飛び込み、そこで信頼関係を築くことが大切だ。船で得た「Cゾーンを広げる」経験を活かしたい。

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※東南アジア青年の船の詳細は、別のノートにあります。
※カバー写真はファシリテーターにとって頂いたフィリピン青年団との一枚

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