見出し画像

ChatGPTと映画の好み、そして人物設定の謎

はじめに

ChatGPTに会話文を生成させることができるのはなんとなく見知っていた。そこで、ある映画に関して、複数のスタンスを設定し、会話をさせたらどうなるかを試してみた。
そうしたらちょっと面白い結果になったのでここに示しておきたい。

使用したプロンプト

まず初めに初期設定をする。

#指示:
これからあなたにある映画のタイトルを提示します。
この映画について、5人の意見を述べてもらいます。
5人の設定は以下の通りです。出力は以下に示す制約条件に従ってください。

#制約条件:
・ひとりあたりの発言を200文字以内にすること
・出力全体の文字数を1000文字以内にすること

#各人のスタンス:
A:指定された映画を非常に好意的に受け止めており、周囲にも鑑賞を勧めたい
B:指定された映画を好意的に受け止めているが、周囲に勧めるほどではない
C:指定された映画を否定的に受け止めているが、あえて鑑賞を止めるほどではない
D:指定された映画を非常に否定的に受け止めており、周囲に鑑賞を控えるようにいいたい
E:A,B,C,Dのどれにも属さず、中立的な意見を述べる

#入力:
サイコ

#出力:
A:<応答内容>
<以下、各人の応答をB,C,D,Eの順に出力>

プロンプトの書き方はこちらを参考にしている。

結果

一番最初の出力

まずは全員のスタンスを明確にさせる。

ここで、好みが明確に分かれているAとDを会話させるとどうなるか。

会話をさせる

AとDの会話を出力してください。
Dは不快感を感じており、その不快感の要因を探るような会話の内容にしてください。
会話全体で1000文字以内になるようにしてください。

Dが不快感を感じるというので、サイコが好きだというAがその不快感の要因を探っていくような会話を展開させてみる。

Aが何とか歩み寄ろうとしているのに、Dはとにかく不快だとの一点張りである。よほどサイコが気に入らなかったのだろう。さて、いまいちかみ合わないこの会話だが、このまま続けさせるとどうなるだろうか?

会話を続ける

会話の続きを1000文字以内で出力してください。

特に内容に縛りを設けなかったので若干不安ではあるが、さてどうなるか。

でもでもの応酬である。価値観が異なるとここまで会話が成り立たないものかというのは、人間社会でもよくある話である。
さて、ここで最後の方にDが「ほかの映画ならば話をしても良い」と言っている。ならばどんな映画ならばDは好んで話をするのだろうか?

Dが話を続けても良い映画とは

AとDの会話を続けてください。
Dが不快感を感じないような映画を挙げて、Aがどのような反応をするのかを探るのが会話の目的です。
会話全体が1000文字以内になるようにしてください。

ということで、歩み寄りというよりはもはやDにおもねるような形になっていくが、果たしてサイコをここまで毛嫌いするDはどんな映画ならば話をしても良いと思うのだろうか?

まさかのボーン・アイデンティティーにシックスセンス。そうきたか。要するにDは暴力描写が過激すぎず、少々ホラー要素があってもストーリーの良いものが好みのようだ。サイコについてはAがストーリーの良さを力説していたが、その良さも暴力描写の過激さによって帳消しにされたとDは感じたのだろうか。

考察

いやちょっと待て。これってどういうことなんだろうか?
そもそも当初はDの好みを具体的に設定しているわけではなかった。単にDはサイコに対して非常に否定的なスタンスをとるようにだけ設定していたのみである。それだけなのに、Dは「暴力描写が過激な映画は好きではなく、ストーリーや演出に力の入った映画は好き」という設定の人物になった。
つまり、この会話を生成している中でDというキャラクターの設定がChatGPTのなかで固まっていった、ということなのだろうか?よくよく考えるとどうにも不思議な現象なので、もうちょっと調べたかったのだが、

Dが好きな映画は他にどんなものがありますか?
それらの映画のどういったところが、Dは好きなのでしょうか?

というプロンプトに対し、

これが出てしまったので今回はここまで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?