【現代麻雀への道】51 16枚麻雀
13枚麻雀と大差ない役のラインナップ
今回は16枚麻雀を紹介しよう。これは台湾麻雀とも呼ばれ、現在でも台湾で行われている麻雀である。
手牌が16枚と聞いたら、まず疑問に感じるのは役だろう。5メンツ1雀頭なら、三色ではなく四色になるのだろうか? また四暗刻の上には五暗刻が、 四槓子の上には五槓子があるのだろうか? そんな疑問が浮かんでくる。
実際にはどうなっているのだろう? 役満未満の役は以下の通りとなっている。
■1台(=翻)役
門前清、断公九、立直、三元牌、風牌、花牌、門前一盃口、嶺上開花、槍槓、全求人(裸タンキ)、海底摸月、河底撈魚
■2台(=翻)役
平湖(ピンフ)、門前自摸、混全帯公、 門前二盃口、一條純(一通)、三色同順、對對湖(トイトイホー)、三暗刻、 三槓子、三色同刻、混一色
■4台(=翻)役
純全帯公、混老頭、小三元
ほとんどが見慣れた役ばかり。日本にない役は花牌とメンゼンロン、裸タンキくらいである。見当たらないのはダブルリーチとチートイツだ。
というよりも、明らかに日本の影響を大きく受けている。河底撈魚など日本製の役もあるし、一盃口など日本風の表記になっている。
台湾は戦前は日本領だったし、戦後も親日国(地域)だった。採用されている役を見る限り、中国から伝わった麻雀ではなく、日本風の麻雀に染まった跡がはっきり残っている。
やはりメンゼンの難易度は高くなるようで、メンゼンはロンで1ハン、ツモなら2ハン、ピンフも2ハンである。どの役も鳴いて当然ということで食い下がりはない。
13枚から16枚になることで、部分役は相対的に完成しやすくなり、全体役は難易度が高くなる。だが、そういう違いをデリケートに気にしている気配はない。
気になる三色だが、定義は「マンピンソーで同じ並びを作って、他の2メンツはフリーというもの。一通や三暗刻でも同じことで、「そのまんまやないか!」という感じだ。
なんとも認めがたい国士無双のアガリ形
さて役満クラスになると、難易度がまるで違っている。
■6台(=翻)役
大三元、小四喜、清一色、四暗刻、四槓子
■8台(=翻)役
大四喜、十三頭(国士無双)、字一色、清老頭、五暗刻、八花(花牌を8枚引く)、天胡、地胡、人胡
日本では15ハンの役満が、わずかに6台か8台だ。字一色や清老頭ははるかに難しくなるはずだが、それでも8台なのである。期待通り五暗刻も存在しているが、さすがに五槓子はない。
だが「形」に納得いかない役がいくつかある。たとえば四暗刻はアンコを4つ作ればもう1メンツはシュンツで構わないという。
余計な1メンツがくっつくのは国士無双も同じことで、13メン待ちならこんな具合となる。
この牌姿を見て、いったい何のための16枚麻雀かと疑間を感じてしまうのではないか。
タイで華僑(かきょう)を相手に麻雀を打ってきた山崎かな女さんによると、タイの麻雀も16枚だという。他の東南アジア諸国では13枚だから、台湾とタイにだけ16枚麻雀は存在しているようだ。この不思議な16枚麻雀が、いつどうやって誕生したかはわかっていない。
麻雀は統一ルールのないゲ ームだといわれるが、じつは統一校数もないらしい。それほど「麻雀」の枠はゆるやかで、あるいは「モー娘。ドンジャラ」こそ最先端の麻雀かもしれない。
今から振り返って
この回は歴史じゃなく、他国の麻雀の紹介になってます。このシリーズでは初じゃないでしょうか。
これを書く少し前に台湾に旅行に行き、現地の本屋に麻雀の本がいっぱいあったので買ってきたのですが、その半分以上が16枚麻雀の本でした。
台湾は16枚麻雀であるという知識はあったのですが、現地で買った本にルールや役が書いてあったので、それを使ったという。
本の表紙はこんな感じ↓
中身はこんな感じ↓
漢字なのでなんとなくわかるのですが、本としてだいぶレベルが低いよなーって感じさせられます。
麻雀の牌姿の入れ方が雑で、1ページに1~2個だけ。
文字量が少ない。
レイアウトという概念がない。
日本の本は戦前から、もっとはるかに高レベルです。
麻雀は中国では運の話しかなかったけど、日本に伝わってから、何切るなど戦術的なアプローチが誕生したという浅見先生の定説が、今の台湾の本を見ても感じられます。
ちなみに、これ↓がタイで華僑相手に麻雀を打ってきた山崎かな女さんの記事です。「裏モノJAPAN」2001年6月1日発行から。
金も仕事もなさそうだったので、この編集部を紹介したのですが、これを書くためにもう一度タイに行ってしまったので、原稿料は旅費でパーになったんじゃないかと思われます。
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