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【現代麻雀への道】19 文士賭博事件

ことの発端は殺人事件

今回のテーマは「文士賭博事件」である。

ことの発端は満州の社交界で起きた殺人事件だった。昭和8年9月、ある女性のトランク詰め死体が大連(タイレン、満州の首都)で発見される。

殺された理由は不倫から発展した四角関係で、駆け落ちした夫人と愛人男性は数週間後に逮捕された。

そこで警察が風紀の取り締まりに力を入れると、東京でも社交界の乱れが発覚した。ダンスホールの教師が、有閑(ゆうかん)マダムたちと関係を結んでは金を貢がせていたのである。

彼らは警察に連行され、夫人の一人が供述したことから、文士賭博事件は明るみに出ることになった。当時の新聞から引用してみよう。

「華(はな)やかなダンスホールを情痴(じょうち)の舞台とする有閑マダム群の醜状(しゅうじょう)が次々に白日下に暴露され、これら夫人連の取調べから端(はし)なくも知名の文士、画家連の間において花札賭博、麻雀賭博が常習的かつ大仕掛けに行われている事実をつかんだので、疾風迅雷(しっぷうじんらい)的に検挙することとなった」(昭和8年11月18日の中外商業より)

別の記事には「有閑マダム連のあきれかえったエロ行状記」といった心躍る表現もあるのだが、残念ながらこれ以上の実態はわからない。

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