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【現代麻雀への道】59 シャンポンvsカンチャン

カンチャン優位を唱えた中国人

こんな牌姿でテンパイしたとしよう。

シャンポン待ちとカンチャン待ち、どちらにするのがいいだろう? アガリ牌はどちらも同じ4枚だ。

流行りの考え方として、トイツ場のときはシャンポン待ち、シュンツ場のときはカンチャン待ちにするという方法がある。

だがトイツ場かシュンツ場かといっても、かならずどちらかに決められるものではないし、また見分ける方法もはっきりしない。

じつはこの問題こそ、長い戦術史のなかで揺れ動いてきたテーマだった。その歴史はカンチャン優位から始まって、それが百年くらい続くことになる。

中国の三大麻雀書のひとつとされる「麻雀牌譜」には、「双碰不如一嵌」(シャンポンブルイーカン)という格言が載せられている。

これは、シャンポンはカンチャンに及ばないという意味で、こんな解説が添えられている。

トイツとトイツで待つシャンポン待ちは牌が2枚ずつしかない。他家と持ち持ちになってしまうとアガリは望めない。だから老練者はカンチャン待ちにして、鮮やかにアガリを決める(大意)。

しかし持ち持ちが怖いからカンチャンがいいといっても、そうなると今度はアンコで固められる恐れがある。枚数が同じである以上、これでは説明になっていないのだ。

そんな背景まで説明してくれるのが、同じ本に出てくる「打熟不打生」(タアシュウプタアション)だ。これは熟牌(シューパイ、場に出ている牌)は捨てても、生牌 (ションパイ、場に出てない牌)は切るなという意味。

当時の麻雀は役が数えるほどしかなく、符を集めるゲームだったから、コーツやカンツを狙ってシャンポン待ちが増えることになる。すると場に出てない牌の危険度が高くなるから、その裏をかくためにカンチャン待ちがいいとされたのである。

つまりカンチャン優位は、現代とは違う麻雀に対応したセオリーだったのだ。

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