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【現代麻雀への道】50 賽の魔術師

17世紀イギリスの天才ギャンブラー

ギャンブルの歴史はイカサマの歴史でもある。それほどまでにギャンブルとイカサマは一体化している。

17世紀のイギリスに天才的なギャンブラーがいた。

その人の名前はクランシイ陸軍少佐。彼はアイルランドに貧しく生まれたが、アカデミーでラテン語とダンスの修士号を得るほどの努力家であり、紳士の国・イギリスにふさわしい人物となったのだ。

そんな彼がもっとも才能を発揮したのは、サイコロを使ったゲームだった。なかでもイカサマには非凡なセンスを見せたという。われわれからするとイカサマという言葉には不正の臭いが感じられてしまう。しかしギャンブルを本業にしようとする人たちにとって、イカサマは楽に勝とうとする方法ではなく、勝率を高めるための技術である。その言葉が持つ響きとは反対に、職人的な姿勢で生きるイカサマ師も少なくなかったのだ。

真面目なクランシイはサイコロ賭博でも努力を重ねた。彼は知恵を絞って作り出した2種類のサイコロを、いつも持ち歩いていたという。一方は456の目しか出ないもの、もう一方は123しか出ないものだった。

また、彼はダイスボックス(サイコロを入れてふる筒) にサイコロを入れると見せかけて、手のなかに持っていた別のサイコロを投げるトッピングというテクニックでは、神域に達していた。

さらに、サイコロを回転させずに滑らせるスラリングというテクニックでも、普通は1ヤードが限界のところを、彼は2ヤードも滑らすことができたのだ。

これほどの技術を誇りながら、クランシイは大きな勝負に手を出そうとはしなかった。細かく堅実に稼ぐのが、彼の「仕事」だった。

だが1666年、クランシイはギャンブルとは関係ないところで犯罪に巻き込まれ、絞首刑となった。博打打ちは平穏には死ねないという掟から、彼も逃れることはできなかったのだ。

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