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【映像クリティカルリスニング】#11 ~Apple WATCH SERIES 7 「さあ、アクティブな方へ」篇 60秒~

毎日投稿と言っておきつつ、撮影とMAの疲れで2日ぶりの投稿です、すみません…。

第11回、今回はこちら

毎度のことながら、流石Appleというクオリティの高さです。

音楽メインでありますが、効果など、他とのバランスがダイナミックレンジ含め、本当に素晴らしい作品だなと思いました。

まずトップのwhooshの効果音からのノイズへの乗り替わり、凄く自然でトランジションとしての見せ方がとても良い。これによってトップのワンカット感の中にも、メリハリがあります
トップのフィルターのかかった音楽とも相性のいい、低域メインの効果音を使ってて、CMの入りからグッと引き込まれます。

本CMでは、時計をつけた腕に引っ張れるようなアクションがキーになってますが、シーンや状況に合わせて、引っ張られる音の聞こえ方が変わるのもいいですね。
距離感、効果音の速度感、状況に付随したベースノイズや、その他の音など、いろんな要素をシーンによって変えている為、同じニュアンスのアクションも飽きがなく、寧ろどんどん高揚していくように感じます。
状況による音でいうと、00:28の靴の「キュッ」という床に擦れる音とアクションの音が重なってますが、距離感含めとてもリアルですごく好きでした。

加えて全体的に、見せ場となるようなシーンに大してのボリュームだったり、フィルター、効果音などを使った煽り方、盛り上げ方がとても素敵だと感じました。
そして、それが煽ってるようには聞こえなく、全くあざとくない、絶妙なフェーダーワークで、視聴者が自然と引き込まれるようなミックスだと思います。
特に、00:36の水中から水上へと戻る場面ですが、水中に潜ると共に、効果音はUnderWater形の効果音、音楽はローパスフィルターでシンセのアタック成分を減らし、そこから水上に向かって元の周波数バランスに戻っていく
そして水上にでる瞬間のレベルコントロール
このプールシーンひとつとっても、距離感による音の空気感、ダイレクト感が、画の距離感によって、音も追従して動いています。
こういったダイナミックレンジの作り方が本当に素晴らしく、本当に気持ちいいです。

逆に00:21の自転車のシーンは、車輪の音を次のカットに向かって、分かりやすく煽ってますが、これによって、次のカットとのトランジションの役割を兼ねてるニュアンスが演出されてて、凄くかっこいいですよね。

加えて、動作やUIの効果音など様々な音が、音楽との当たりやリズムなどを考えられてるなと感じます。
まず00:02のwhoosh、音楽の一部かのように、音楽の入りとマッチしてます。
まるで音楽でいうリバースFXのような役割です。
そして00:04の時計のノブを回す音、00:05の腕が布団に落ちる音
音楽のアタックを避けていつつ、音楽の裏あたりで入ってくることによってすごくテンポ良いなの感じます。
00:14の強目の足音、00:15の自転車のベル、00:19のUIも音楽のリズムに当ててる感じでリズムが効果のリズムがすごくいいです。

00:22の自転車の漕ぎ音、これ凄いなと思いました。
この長いデュレーションの効果ですが、見事に音楽の8分を刻んでるような自転車の漕ぐテンポで、しっかりタイミングを合わせてきてて、音楽のドライブしたシンセとの相性が抜群にいい。

全部あげだすと長くなるんでこの辺にしますが、カット編集のテンポも去ることながら、こういう音でのリズムの作り方がとても素晴らしい作品です。
セリフやナレーションがなく、1分という尺で、ここまで引き込めるのは、本当に映像を支えている音のリズムやテンポ感、飽きさせないダイナミックレンジやフィルターなどの演出あってこそだと思います。

いや〜めちゃくちゃ良い作品でした。
ではまた!

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