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2023年10月 活動報告

福島です。季節の変わり目特有の気温差で風邪を引いてしまいました。サウナの気温差では整うのに不思議ですね。
10月の活動報告です。最後までお読み頂けますと幸いです。
(トップ画像は収穫したカキ。詳細は記事にて)


静かな湖畔の森の影から響く爆音

10月7日に「煙火消費保安講習会」を受けてきました。「煙火……?」と思われた方もいらっしゃるかと思うので説明しますと、クマが出た時に鳴らす「轟音玉」という言わば「凄い爆竹」を取り扱う講習会です。爆竹にも色々種類がありまして、普段私が業務で使っている爆竹は使用に際し特に資格は要らないのですが、この轟音玉を使う場合はこの講習会を受ける必要があります。
従来の爆竹でも十分効果はあるとは思いますが、今後より強力な轟音玉を使えれば仕事の幅が広がる(何より、一度ちゃんとした講習を受けてみたかった)ため参加して参りました。

結構広いホールが参加者で満員でした

講師の方「過去の事故を紹介します」
「xx年、xx県で轟音玉の事故発生。指が吹き飛びました。
「xx年、xx県で轟音玉の事故発生。これも指が吹き飛びました。
「xx年、xx県で轟音玉の事故発生。同じく指が吹き飛びました。

そりゃ講習会必要ですよねという重大事故が勢揃い。事故の原因は「火が点いたか分からずモタモタしてしまった」「運転しながら投げようとした」といった「正しく投げなかったため手の中で炸裂した」という1点に尽きます。講師の方も「正しく使えば安全な道具です」と繰り返し仰っておりました。
講習会の内容も「如何に安全に使うか」ということに重点が置かれており(というかそのための講習会なので)、人身事故への注意だけでなく、投げる先に燃えやすい枯れ草や車が無いかの安全確認といった基礎を繰り返し学びました。

前半の座学を終えると実技会場である湖畔へ移動。「前を走る車に各自運転して着いていくように」というなんともワイルドな方法で移動しましたが、あろうことか私の前の車が道を間違える痛恨のミス。以前もこの講習に参加されていた方だったので何とか会場に辿り着けましたが、私は会場の場所を微塵も聞かされていなかったので非常にドキドキでした。

てんやわんやしながら現場に到着。ピクニックに来たのかなという風景が広がるのどかな湖畔で実技を行います。私のような初心者組は導火線だけ渡され火を点ける練習をしてから、本物の轟音玉を使ってみるという講習でした。
まず何が凄いって、初心者組が説明を聞いている隣で経験者組が実技を始めたのですが、その爆音が説明を聞くのに支障をきたす程の音量なんですね。爆竹が「バン!」、クレー射撃が「バァン!!!」だとしたら、轟音玉は「ドォォォン!!!!!」みたいな体に響く音です。「説明を聞くために耳をすましたい」と「うるさくて耳を塞ぎたい」の両立を人生で初めて求められるなどしましたが、講師の方がお手本を見せてくれたためやるべきことは無事理解できました。
「モタモタしてると指が吹き飛ぶぞ」と散々聞かされていた初心者組でしたが、正しい方法を守れば大丈夫ということで、私含め皆さん揃って(ビビりながらも)無事に実技を終えることができました。

ヒュルルルルル……といった漫画的効果音は鳴らない
「爆弾みたいだ」というのが率直な感想(本物の爆弾を知らないけども)

今後の業務でも引き続き資格が要らない爆竹を使う予定ですが、安全の基礎を学ぶ良い機会になりました。

シカ捕獲の革命:小林式

10月12日にシカ捕獲界隈で話題の「小林式誘引捕獲法」の勉強会に参加してきました。従来のシカ捕獲は「シカのいる場所に罠を置く」という方法でしたが、この小林式はエサを撒くことで「シカに罠のある場所に来てもらう」という逆転の発想とも言える捕獲法です。
「小林式」という名前の通り「小林さん」が考案したのですが、なんと講師がその小林さん。「◯◯式」の説明会で考案者本人が現れることってあるんだと非常に驚きました。アップルストアに行ったらジョブズがいた、みたいな驚き。

会場の雰囲気もあり入学式っぽくも見える

従来の捕獲は「シカが踏む場所にピンポイントに罠を置く」という職人芸が要求されますが、エサで誘引する小林式は「シカがエサに気付ける場所」にさえ置ければ捕獲が期待できるという優れものです。そのため、「獣道にしか仕掛けられない」という従来の方法と異なり、「見回りしやすい場所に仕掛ける」ということができるため、効率よく日々のチェックができるという利点があります。また、獣道はクマも通るため錯誤捕獲の危険がありますが、獣道から外れた場所に仕掛けるためクマが捕まりにくいという利点も。こういったことから、特に集落で捕獲に取り組むのに向いている方法なのではないかと勉強して参りました。

お手本。石をどう置くか、というのも非常に考えられています

座学後は現場に移動し実技講習。「慣れてくれば5分くらいで設置できます」と仰る小林さんは軽快に説明しながらみるみる設置していきます。
さて各自練習してみましょうということで実際に設置してみましたが、「石を選ぶ」という設置以前のことからモタモタするなど、「見るのとやってみるのとでは全然違う」といった次第でした。そもそも私は罠の設置自体に不慣れなペーパーハンターなので、あらゆる経験が不足しているなと痛感した勉強会でした。

クマが出にくい町づくり

くさかり を おぼえた!

過去の月報で度々草刈りが大事だ、草刈りが大事だ、と書いてきた私ですが、なんと草刈機を使ったことが無いです。長柄の鎌(死神が持ってるようなあの鎌です)は使ったことがありますが、地域で鳴り響くあの草刈機には触れる機会がありませんでした。
「『大事だ』って言ってるのに草刈りしたことないんだ~~~!!!」というクマの声が森から聞こえてくるようです。勿論草刈機はやろうと思えばホームセンターで買ってきて練習できる農具ではあります。しかし言い訳しますと、大学の講義で脚を切る事故の話を聞いてビビっていたこと、何より草を刈るべき土地を持っていないのでそもそも草刈機を持つ必要性が無いということで、今まで縁がありませんでした。

各種草刈機がよりどりみどり

というわけで草刈機の講習を受けて参りました!
この講習の存在は夏頃に聞いており、その時からずっと受けたい受けたいと先方に猛アピールしておりましたので、遂に受講できるぞとワクワクでした。当時は遥か先だと思っていた10月にもうなってしまったのかという戸惑いも些か感じましたが。

講習は例によって座学と実技の二本立てでしたが、「草刈り」以外に重点を置いていたことが印象的でした。「草刈機の講習」と聞いて「どういう姿勢で、どういう風に刈るのか」ということを学ぶのをイメージしておりましたが、実際には「場所に合わせてどういう草刈機を使うか」「メンテナンスはどこを見るべきか」といった内容が多く、長期的な維持管理を見据えた非常に実践的な講習会でした
草刈機の構造の説明もありましたが、極論言ってしまえば「構造なんか知らなくても草は刈れる」わけです。ですが、構造を理解することで「壊れやすい場所はどこか」「どういう使い方をすると危ないか」といったことを理屈で理解できるので、自信を持った知識として記憶に残りました。

講習を経た今、どんな草刈機を買おうかなと通販サイトを眺めております。講習で習った草刈機も勿論欲しいですが、斜面も刈れる自走式草刈機とか良いですよね、40万円とかしますけど。

カキ泥棒 VS カキ泥棒

春からお借りしている畑(5月月報)のすぐ隣にカキが生えているのですが、持ち主の方から「クマが昨晩カキを食べに来てしまった」とご相談されました。現場を見に行くと食べかけのカキ、折れた枝、そしてモリモリと残された立派な糞。今晩も恐らく来てしまうだろうということだったので、じゃあ今すぐ全部穫っちゃいましょうということになりました。
幸いにも背が低いカキだったので脚立と高枝切り鋏を取り急ぎ用意。畑でお世話になっているちおこの伊藤さん(5月月報)とともに作業を開始しました。

クマと出くわす前にそそくさと収穫する

最初は不慣れだったので「脚立に乗って手で切った方が早いんじゃないか」と薄々感じながらのモタモタ作業でしたが、コツを掴んでくるとスパスパと収穫できるようになりました。
特に、「狙いを定めてハサミを入れ、パチンと切るとカキが落ちてくる」という成功体験はシンプルながらも非常に癖になり、金魚すくいに似た楽しさがあります。

2人がかりということもあり、怪我なく無事に収穫を終えることができました。何より楽しかった。
こうしてカキ泥棒が食べに来るカキは無くなりましたとさ。クマは「昨晩まであった沢山のカキが盗まれた!」と思っているでしょうけど。

私がカキの味を考える傍ら、「もし販売するとしたら」を考える伊藤さん。流石農家。

以上で10月の月報を終わります。
最後までお読み頂きありがとうございました。

出張リスト

(11月9日追記)

10月2日(月):銃砲所持許可手続きに係る書類提出@釜石警察署生活安全課。業務で使用する予定の猟銃を所持する許可手続き。
10月7日(土):煙火消費保安講習会@東和コミュニティセンター。岩手県猟友会主催。鳥獣駆逐用轟音玉の講習会。
10月12日(木):くくりわなによる小林式誘引捕獲法の現地勉強会@宮古市川井総合事務所。東北森林管理局主催。ニホンジカの捕獲方法に関する講習会。

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