LayerXはブロックチェーンの会社じゃありません、という話

LayerXはブロックチェーンの会社じゃありません、という話

どうも、すべての経済活動をデジタル化したい、福島です。

最近あまりストックされるような形でLayerXの発信できてなかったので、「この1年間LayerXなにやっていたの?」という視点で書き溜めたいと思います。特に「LayerXは(もう)ブロックチェーンの会社じゃないよ」という部分について伝えられればなと思ってます。時間がない方は要約をお読みください。

要約

- LayerXは(もう)ブロックチェーンの会社ではありません
- 今LayerXは「請求書受取業務SaaS」「アセットマネジメント事業(Fintech)」「プライバシーテック」の3事業をやっている会社です
- 3事業はブロックチェーンコンサルを通じて気付いたニーズから生まれたもので、実現したい世界(ミッション)は変わっていません
- 日本は、ブロックチェーンとか言ってる場合じゃない!地道なデジタル化を進めていく覚悟が必要でそこにLayerXはコミットします
- LayerXで使っている技術スタックは極めて「一般的」です。エンジニアの皆様、変に身構えないでください!
- 事業の立ち上がりは絶好調なので、積極採用中です!多様な職種で募集しています

LayerXはこの1年間何をしてきたか

LayerXが新たに定義する3事業

LayerXは実はこの1年で大きなピボットをしまして、現在LayerXはブロックチェーンに関わる事業を主たる事業としてやっておりません。LayerXはもうブロックチェーンの会社ではないのです

(※ブロックチェーン技術自体は相変わらず有望で将来必須となる技術と思っています。会社としてはあくまでR&D的な関わりを継続するものの、少なくともむこう1-2年はブロックチェーンを軸にした事業をやることはないという意思決定をしております。)

現在LayerXは「SaaS, Fintech, プライバシーテック」の会社です。

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SaaS領域では請求書受取業務を効率化するSaaS「LayerX インボイス」と「LayerX ワークフロー」を提供しています。

Fintech領域では関連会社を通じて「アセットマネジメント事業」(以下アセマネ事業)を行っています。

さらに第三の事業としてプライバシーテックのプロダクトも立ち上げ中です。

なぜこの3事業?ブロックチェーンはどこにいったのか?

一方で実現したい世界(ミッション)は変わっていません。ブロックチェーンを使うことでこうしたいよねと最初に描いていた世界を実現するために、今この3事業をやっています。

この3事業は、LayerXがブロックチェーンコンサル事業で関わってきたお客様たちの「真のニーズ」から考えて作っている事業なのです。

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LayerXでブロックチェーンコンサルを通じて、得られた企業の悩み・ニーズは主に3種類に分けられました。

1つ目は「STOしたいんだよね」とおっしゃるお客様です。この背景にある真のニーズは「証券発行プロセス、管理プロセスがアナログで非効率。ここの非効率がコストとして投資家に転化され、利益を圧迫し、ビジネスが成り立たなくなってしまう。デジタル化して効率化することでここの構造を変えたい」というものでした。

2つ目は「スマートコントラクトで何かしらうまく効率化できないかな, DXしたいんだよな」とおっしゃるお客様です。この背景にある真のニーズは「契約書や稟議書、請求書、見積書、発注書などがかかわる業務(=お金や価値にまつわる業務)はたいてい紙とハンコで回っていて非効率。ここをデータとプログラムを使ってうまく効率化できないのかな」というものでした。

3つ目は「エンタープライズブロックチェーンを使って企業間で情報を共有して非競争領域の業務を楽にできないのかな」とおっしゃるお客様です。この背景にある真のニーズは「どの会社でも同じようなことをやっているような非競争領域の業務。例えば金融機関における本人確認業務やアンチマネーロンダリング業務(以下KYC・AML)は業界間でデータとロジックを共有できれば業務のコストが大きく下がるのでやりたい。でもKYC・AMLのデータやロジックを競合に見せたくないし、預けたくない。情報管理規定上も共有できないんだよなあ」という悩みです。つまり「プライバシーや企業秘密が関わるような情報を安全に扱い、企業間で共有する技術」が真のニーズだったのです。

コンサルを通じて理解した、企業がブロックチェーンに対して期待しているニーズは全てこの3つに分類できました。そしてこれらのニーズはブロックチェーンを使っても一部分しか解決されません。むしろそれ以外の部分の課題の方がペインとして大きい状態でした。

コンサル事業はこの状態がわかった時点で撤退を決めて、この3つのニーズに対して価値提供するプロダクトを作り込んでいこうと決めました。それがちょうど今から1年前(2020年7-8月にかけて)のことでした。

日本はブロックチェーンなんて言ってる場合じゃない!地道に足元のデジタル化を進める覚悟を

コンサルを通じて改めてわかったことがありました。日本はブロックチェーンなんて言ってる場合じゃない!ということです。コンサルをしていく中で作り上げたフレームワークの中に、「デジタル化レベルの診断」というものがありました。

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日本では現在ようやくLv.1の動きが活発になりました。しかしそれはただの電子化のフェーズなのです。ブロックチェーンが世界で最も普及している中国では、多くの企業はLv.3のフェーズにいます。日本で同様のことをするにはLv.2→Lv.3(デジタル化→DX)を地道にすすめないといけないと強く感じました。

なぜ地道なデジタル化が重要なのか請求書業務やアセマネ業務を例に取ってみてみましょう。

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(請求書業務のフローの例)

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請求書業務フローのうち、最後の「保管」の部分(非改ざん性を担保)や請求業フローが全てデジタル化した後の「各企業で請求書を標準化したときの基盤」にブロックチェーンは使えうると思います。

一方、実際の経理現場が課題に感じているのは、その前工程である「請求書を目で見てシステムに大量に手入力している」「システムが分断してるため回収の抜け漏れチェックが大変・稟議との突き合わせが大変」といった部分でした。前工程にまだアナログな部分が大量に残っているのです。そしてそこはブロックチェーンを使う以前の段階で、使っても効率化できない部分なのです。

(アセマネ業務のフローの例)

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アセマネ業務に関しても、「原簿管理」「原簿に紐づくプログラムの実行(配当処理、株主総会の投票など)」「証券と通貨のDvP決済」「複数機関の共通基盤」等はブロックチェーン技術で効率化できます。実際PoCでも一定の成果が確認できました。

一方で、証券発行や管理の前工程の段階でアナログ業務がたくさん残っていたのです。多くの会社が業務フローに絡む中でコミュニケーションはメールや電話、たくさんの契約書とそれに付随する稟議の塊で運営されており、これが大きなコストを占めていました。そしてここはブロックチェーンでは解決しない課題でもありました。

(より詳しくみたいよという方はこちら)

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このように、いずれの領域でもブロックチェーンで効率化できる部分があることはPoCで確認できました。一方でブロックチェーンに基盤を置き換えるだけでは効率化できない部分も多くありました。そして、企業の多くが苦しんでいたのはそのブロックチェーン以外の部分の効率化のところだったのです。

この状態でブロックチェーンをどうのこうの議論してもあまり成果は得られません。残念ながら日本はブロックチェーンとか言ってる場合ではないのです。もっと地道なデジタル化から進めていく覚悟が必要です。

(※ 業界に水を刺さないために補足ですが、ここで言及しているのは企業向けのブロックチェーン応用の話です。クリプトカレンシーやNFTなどの分野は依然ホットだと思いますし、これからもどんどん進んでいくと思います)

これがわかった段階で、ブロックチェーンコンサル事業の未来はもうなくなりました。当時信じていた仮説が全部覆されたので何かを変えなくてはいけない瞬間でした。

LayerXがここで決めたのは「ブロックチェーンを軸として事業としてやることはやめる」ということと「完全なゼロリセットではなく、ブロックチェーンコンサルから気付いたLayerX独自の視点でのニーズを解決していくプロダクトを作っていこう」ということでした。LayerXとしては祖業としてがんばると決めたブロックチェーン事業から撤退し、ゼロからプロダクトを作っていくという、苦渋の決断になりました。

私はこの意思決定の際、「メンバーがみんなやめていってしまうのではないか」「会社が崩壊していくのではないか」「せっかく積み上がった売上を全部捨ててしまうのは惜しいのではないか」などなど非常に不安を感じ怖かったことを覚えてます。一睡もできずに悩み続けたこともありました。

しかし、「こういう市場環境に気づいてしまった以上、目をつぶって進み続けるのはもっと地獄だ。自分が自信を持てないことはやめよう。自信が持てる領域で、自分の得意なやり方で、コンサルで稼ぐのでなく、プロダクトを磨いていく方向性で勝負していこう。」と悩み考え続けました。役員間で、この議題について何度も話し合い、この方向性で行こうと(おそらく役員全員が不安の中で)決めました。

そんな不安の中、週次の全社共有会でこの方針を話しました。内心どうなるのかめちゃくちゃ怖かったです。が、思いのほか反応は前向きで、LayerXはやっぱりこうじゃないとね、やっていこうぜと捉えてくれました。この時のメンバーおよび役員の前向きな態度には感謝しかありません。

この方針は当然株主の皆様にも共有しました。方針を説明したときの取締役会は正直言ってなかなかの空気でした。共有し終えた後、株主の皆様がスーッと静まり返ったのを覚えてます。株主の皆様からみた時に「この会社大丈夫か?」と内心思われても仕方ない状況だったと思います。それでも「福島さんが腹くくってやるならわかりました」と信任してくれた株主の皆様にも感謝しかありません。

これがちょうど1年前の話です。

足元の事業の立ち上がり

ではピボットから1年後の今のLayerXはどういう状態なのかというと、各事業の立ち上がりが確かなものになり、急成長の段階に入っています。

SaaS事業

まずSaaS事業の「LayerX インボイス・ワークフロー」についてです。かなりいいスタートをきれています。

導入企業様の数はこの半年で10倍超の成長となっています。加えてより本質的な価値である、月次での請求書処理枚数や処理金額の合計(GMV)は20倍超の成長となっております。

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まだリリースまもないプロダクトでありますが、非常に手応えを感じています。(おそらく) このフェーズの国内SaaS事業の中ではトップクラスといえる成長速度になっているのではないかと思います。

また実際のご利用実態でも、まだ正式リリースから半年ではあるものの解約/チャーンがゼロとなっています。その上で契約企業様は「必ず」請求書読み取りを活用してくれていまして、幽霊契約のような状態がないというのも自信につながっています。しっかり業務フローにのってご利用いただいているということです。

さらに手応えを感じているのがお客様の声です。実際にお客様に深く価値提供できているという実感です。リリース当初はITスタートアップや、経理分野のプロである経理コンサルの方、税理士・会計士の先生方などにお使いいただきました。そこで「非常に使いやすい」「めちゃくちゃ課題解決につながった」という大変ありがたい声を頂いております。(いつも励みになっております。ありがとうございますmm)

最近では、地場の製造業様やガスを取り扱うエンプラの会社様など今までとは毛色の違うお客様にもご導入・ご活用いただけるようにもなってきました。

ここではTwitter上でいただきましたありがたい声の数々をご紹介させていただきます。

というようにありがたい声を多数頂いております。非常に基本的なことでありますがSaaS事業で初期に追うべき指標は、短期的な売上成長ではなく、「バーニングニーズを見つけ、価値提供できているか」「ご利用いただいたお客様が他の方にもおすすめしたくなるようなプロダクトか」というお客様の熱狂度を追うべきです。そういう意味でしっかりとしたスタートが切れたと思っています。

アセマネ事業(Fintech)

アセマネ事業の方はどうでしょう。こちらも非常に順調です。

順調といいつつ、金融事業という性質上、公開できるものがほぼ何もない状態です。(知りたいぞという方は、カジュアル面談や会社説明会では話せる部分もありますのでぜひそちらにご参加ください。)

抽象的な説明にはなってしまうのですが、アセマネ会社として着々と準備を重ねてきてきました。その成果により実は既に事業として成立しうる形が見えているという状態まできています。あといくつかの仮説が検証できると、事業の成立が見えるというところまできています。

課題だらけのLayerX

このようにSaaS事業とFintech事業を同時に走らせているのですが、そのどちらも順調です。1年前のゼロリセット状態を思うと、随分違う景色にきたなという感覚です。

「じゃあもうLayerXには課題は何もないの?」「私がLayerXに入らなくても勝手に伸びていくんだね」と思わないでください。

めちゃくちゃ課題があります。日々課題が生まれ続けてます。今まで解いてきた課題よりも、日々生まれている課題の数のほうが圧倒的に多いです。なのでその増え続ける課題を一緒に解いてくれる仲間をめちゃくちゃ募集してます。

今後の課題は?

事業の進捗とともにどんどん新しい課題が生まれています。そしてその課題を一緒に解いてくれる仲間探しが一番の課題です。

今の課題は「採用・採用・採用」です。今までにも増して採用が重要なフェーズなのです。私の時間も7-8割採用に向けられています。

「もうLayerXって完成されてるんじゃないの?」

→ 全然完成されていません。課題しかありません。3ヶ月後の課題を考えるだけでも既にやることが山程あります。。マネージャー職や、新規プロダクトリーダーのポジションなど課題や事業成長にリンクして今後どんどんポジションふえていきます。正直今のLayerXのフェーズはめっちゃ面白いと思います。

現場のリアルな声として、最近入社してくれるメンバーも、入社後のフィードバック面談で、「こんな状態ならもっとはやく、1ヶ月でもはやく入社しておけばよかったです」と言われます。もちろんポジティブな意味、チャンスいっぱいあるじゃんという意味です。

LayerXは今そんな状態なのです。全然完成されておりません。みなさん、ぜひLayerXを助けてください。

「LayerXってかなり特殊な技術スタックをつかってるの?なんかめちゃくちゃR&Dできないと入れないんですか?ブロックチェーン全然わからないんですが...」

→ 全然違います。めっちゃ普通の技術スタックです。ブロックチェーンも全然わからなくて大丈夫です。

(どういうスタイルや技術スタックで開発してるかはエンジニアブログにも記載してます。更に詳しく知りたいよという方はこちらより)

よく、「LayerX インボイス・ワークフロー」の裏側ってブロックチェーンなんですか?とかアセマネ会社でセキュリティトークンのシステム開発してるんですよね?ときかれますが、違います。

前述の通り、LayerXはもうブロックチェーンの会社ではありません。そして、日本ではまだ「ブロックチェーン以外」の部分での非効率が非常に多く残っていています。そこを地道に解く。そこにあった技術を誠実に選定して解いていくのがLayerXのスタイルです。ですので、LayerXの技術スタックはソフトウェア企業にとって極めてベーシックかつ一般的な技術スタックになっています。なのでエンジニアの皆様は変に身構えないでくださいmm

「LayerXってなんか頭のいい人しか入れないって聞いたんだけどそうなの?」

→ 全然違います。

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現在LayerXの組織図はこうなっています。採用基準なのですが「頭がいいか」という基準では全く採用しておりません。LayerXの採用基準では「事業への共感性」「文化へのマッチ度」を最重要視していて、加えて各職種にあわせた多様な「優秀さ」を評価したいという姿勢で採用しております。

プロダクトチームのエンジニアとQAエンジニア, デザイナーでは求められる優秀さが全く異なるはずです。マーケティング、セールス、カスタマーサクセスもそれぞれ全く違う優秀さが必要となってきます。多様な人がいる組織や事業って強いよね、そういう組織があるからよいプロダクトをお客様に提供できるよねという考えを大事にしています。

なので「頭がいいか」ということを重要な価値観・採用基準としていることは全くしておりません。

「ちょっとだけ興味持ったよという方へ」

ちょっとだけLayerXに興味が湧いたかもしれないという方は次どうすればいいでしょうか。ぜひ職種一覧を見て、こんな職種があるのかーとイメージを持ってください。LayerXで働く方々のnoteもそえていくので気になった方は読んでみてください。イメージが凄く湧くと思います。そしてMeetyでカジュアル面談をしましょう。まだ全然転職考えてないよーというフェーズの方も大歓迎です!Meetyでは福島松本の両代表や執行役員の石黒とも話せますし、もう少し現場の声が聞いてみたいという方は、現場でバリバリ働いているメンバーともお話できます。

求人の一覧はこちらになります。

カジュアル面談はこちらです。

本日は以上です。最後までご精読いただきありがとうございました。

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LayerX CEO, Gunosy創業者, エンジェル投資家。大学時代はコンピュータサイエンス・機械学習を研究していました。テクノロジーを武器にしたスタートアップエコシステムの拡大に人生を賭けています。