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LayerXのバクラクが挑む1200兆円の大きな山『法人支出管理(BSM)』について

どうもすべての経済活動をデジタル化したい福島です。

おまたせしました。先日、お客様よりずっとご要望いただいていた経費精算を満を持してリリースしました。半年間無料キャンペーンも行っていますのでぜひこれを期にご検討ください。(ありがたいことに凄まじい反響をいただいております)

本日は、LayerXがバクラクで考えている構想である「法人支出管理(Business Spend Management, 以下BSM)」について説明したいと思っています。

法人支出管理(BSM)とは

法人支出管理(BSM)とは

法人がお金を使う全方法(請求書、経費精算、稟議、決済)に対する一気通貫(One-stop)のソフトウェア群

のことです。

法人支出管理(BSM)では、こういったソフトウェア群をつかうことで「saving time & saving money」することが目的です。法人支出管理(BSM)によって帳票の自動的なデータ化、会計自動化、稟議申請の簡素化などで「時間を節約」するのに加えて、コストの見える化、集合知によるコストの合理化で「お金も節約」することができるようになるのです。

(先日の発表はこちらの記事にまとまってますのでご併読ください)

偶然にも大尊敬する経営者であるGMOPG 村松さんも支出管理DXについて言及してました。このようにSaaS文脈だけでなくFintech文脈でも非常に注目を集めている領域です。


本記事では私なりの見解で解説していきたいと思います。

法人支出管理(BSM)は費用版のsalesforce

請求書や経費精算、稟議などときくと、「大昔からそういったシステムは存在したのでは?」という素朴な疑問が浮かぶと思います。

皆様が想像される「大昔からあったシステム」はおそらくデータを入力をする先の箱としてのシステムだと思います。そしてそのシステムの外では「手作業・目視・エクセル」で作業が発生しています。

売上もコストも「プロセス」はアナログだった

法人支出管理(BSM)はデータを入力する先の箱ではなく、プロセスのデジタル化をおこなうシステムです。といわれてもイメージが湧きにくいので、顧客管理システム(CRM)を例にとって考えてみましょう。

顧客管理システム(CRM)で売上プロセスはデジタル化。一方コストサイドはアナログなまま

顧客管理システム(CRM)とは、売上を記録するのではなく、売上が上がるプロセスをデジタル化するシステムです。

通常企業の売上は「マーケティング→ナーチャリング→商談→契約」といった流れで発生します。この流れで発生する業務の自動化/効率化/可視化を行うのが顧客管理システム(CRM)です。

顧客管理システム(CRM)により、いままでアナログで管理されていた営業活動はデジタル化されました。その周辺をつなぐ業務も自動化/効率化されています。(マーケティングオートメーション、セールスオートメーション、請求/契約管理など)

また単に効率化されるだけでなく、データが一元化されることで経営の意思決定も効率化されました。これによって企業の売上を上げる活動はデジタル化され、非常に生産性が上がったはずです。

では、売上でなくコストサイドはどうでしょう。ここを司るのが法人支出管理(BSM)です。

バクラクの登場でコストサイドもデジタル化 = 法人支出管理(BSM)

この領域は今まで手つかずで、「プロセスのデジタル化」がおくれていました。

法人支出管理(BSM)も、まずは法人支出管理にまつわるアナログ業務の効率化(請求書、経費精算、稟議、支払、税務・監査対応)を進めます。

ソフトウェア技術や一気通貫の体験でプロセスそのものをデジタル化/自動化

それだけでとどまらず、法人支出に関するすべてのデータが蓄積されることで、コストサイドのデータ可視化、コストサイドからの経営の効率化・意思決定改善を助けるシステムになっていきます。

「大昔からあったシステム」(=入力する先の箱)と法人支出管理(BSM)(=プロセスのデジタル化)はこのような点で大きく差異があります。

とはいっても百聞は一見にしかずです。先日ローンチした「バクラク経費精算」のデモ動画を一部紹介します。

いかがでしょうか?今までの「入力する先の箱」といかに違うか。プロセスが自動化されるかが伝わるのではないでしょうか。

グローバルでデカコーン/ユニコーンが乱立する法人支出管理(BSM)という市場

米国での法人支出管理(BSM)の事例を見ると、非常に大きな会社が複数成立する巨大なマーケットになっていることがわかります。

請求書/経費精算SaaSを主体としたBill.com, Coupa, Expensifyや法人カードを主体としたBrex, Rampなどが代表例です。これらの会社多くは時価総額1兆円をこえるないしは迫るようなデカコーン級の会社です。

ここに名前が出てこない会社でも多くのユニコーン(時価総額1BUSD以上)級の会社が存在します。米国以外にもEUやオーストラリア、中国、インドでもこの領域が盛り上がり始めて地域毎にユニコーン級の会社が誕生しているような状況です。

では日本は?というと全くと言っていいほどこのポジションを確立できている会社は(LayerXも含めて)いません。

まだまだこの領域の認知も少ないのに加えて、SaaS+Fintechを組み合わせる経営力、複数プロダクトを並列に作り出して育てるプロダクト開発力/セールス・マーケティング力、データを基点にプロダクトを洗練させていくR&D力、それを支える資金調達と採用力が必要です。簡単に参入/経営できない領域なのです。

LayerXはこの大きなマーケット、課題に対してチャレンジしていきます。

お客様の課題と向き合うことで生まれた、法人支出管理(BSM)構想

LayerXのプロダクト、バクラクの歴史は「お客様の課題と向き合う」という歴史そのものです。

はじめから法人支出管理(BSM)という絵を描いたわけではありません。はじまりは請求書処理の課題を解決する請求書SaaSの提供からでした。その導入を進めていく中でお客様の課題と向き合い、ヒントを頂くことで「法人支出管理(BSM)」というニーズに気づいていきました。

バクラクの製品展開の歴史

請求書と稟議は切っても切り離せないことから、バクラク申請は生まれました。

業務をデジタル化しても保管の際に紙に印刷しないと法対応した保管ができず不便という声から「バクラク電子帳簿保存」はうまれました。その際、全ての税務書類(領収書、発注書、見積書、契約書etc)に対応しました。そうしないと請求書だけはバクラクで保管し、それ以外の書類は他のシステムで保管しないといけませんがこれは不便です。

これによって請求書以外のデータ, 税務書類がバクラクに貯まるようになりました。その中でも領収書データの割合は非常に多く、このデータが今回の「バクラク経費精算」の開発へとつながっていったのです。

お客様視点でも「請求書支払いのため」だけの稟議システムの導入をしてくれる会社様は少ないです。バクラク申請を使いたいが経費精算がないと導入できないというお客様は大変多く、その声から「バクラク経費精算」はうまれました。

そして、支払と処理の分断があると不便という声から「決済サービス」を現在開発中です。第一弾として年内に法人カードの提供を予定しています。

こうしてサービスを広げていく中で、ふと「バクラクってサービスを一言でいうとなんだろうね」という疑問がチームでおこりました。

そこで議論を交わしたり、調査したら、どうやらUSにはBSM(法人支出管理)という概念があることがわかりました。バクラクが目指してるのはまさにそれだったのです。

法人支出管理(BSM)のインパクト

LayerXは法人支出管理(BSM)という新しいカテゴリを創出し、大きな課題に向き合っていきます。

この法人支出管理(BSM)が社会にもたらすインパクトはどういったものでしょうか。

請求書や経費精算の処理にかけられる人件費は、日本全体で年間3.3兆円(請求書1.1兆円 / 経費精算2.2兆円)にものぼるといわれています。

引用: https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/092900131/
引用: https://www.concur.co.jp/receipt-monster/nichoen

実際にバクラクをご導入いただいたお客様のFTE計測(※)から、バクラクを利用頂くと法人支出関連業務の70-80%を削減できることがわかっています。
(※ お客様の協力で実際の支出処理の業務のどれにどれだけ時間がかかってるかを計測し、バクラク導入後どれくらい削減できたかを計測)

もしバクラクを日本中に普及させれた場合、単純計算すると、3.3兆円のうちの75%、2.5兆円分の新たな時間を生み出すことができます。人口が減り、労働生産性が低いとされる日本においては本当に本当に大切で、大きなテーマであると考えています。

加えてバクラク上にあらゆる企業の購買データが溜まることで、いままでアナログに隠れていたデータが可視化され経営の意思決定効率も上がるでしょう。顧客管理システム(CRM)が売上側の生産性を上げたように、法人支出管理(BSM)はコスト側の生産性を上げるはずです。そのインパクトを加えるととてつもない生産余剰がこの領域から生まれるはずです。

バクラクが考えるロードマップ

単なる時間の節約にとどまらず、企業の購買データが集まることによる購買の合理化/自動化がさらに進むと思います。ある意味、消費者がAmazonで体験したことを、法人ではバクラク上で体験してもらうことが我々のゴールです。バクラクが目指すのは、「業務効率化SaaS」ではなく、「企業にとってなくてはならないビジネスインフラ」なのです。

法人支出業務は世界中のどの会社にも存在します。請求書、経費精算はどの会社にも存在します。この業務が変わることで日本の社会に本当に大きなインパクトを残せると確信しています。

バクラクの現在地(2022年4月現在)

ではその大きな山の中でのバクラクの現在地はどんなものでしょうか。

2022年4月時点のバクラクの現在地

バクラク上で実際に支払い処理される金額は、年間換算で6000億円まで成長しました。1年でのTPV(Total Payment Volume)の成長は27倍となりました。日本のBtoB取引の総額は年間1200兆円といわれています。その中で我々はまだまだ本当に小さな規模で、これからどんどん拡大の余地があります。

バクラクシリーズの導入も順調に進んでいます。2021年1月のリリースから僅かな期間で1500社を超える会社様にご導入いただいております。こちらもまだ小さな規模ではありますが、公表されている同業他社様の数値を見ても当社は後発ながらシェアとしてはトップクラスになっています。

直近でも急成長を続けていまして、非常に大きなニーズ / 課題を法人支出管理(BSM)マーケットから感じています。まだ我々の現在地は市場の1%以下に過ぎなく、本当に大きな拡大/改善の余地が残されています。

バクラクをありとあらゆる会社様に普及する。SaaSによって法人支出業務を生産的にする。データが集まることで、経営/購買が効率化される。その上にお金がのることで決済のみならない金融が円滑に流れることができる。そんな大きな社会インフラをつくるのが法人支出管理(BSM)です。そしてこの大きな山を一緒に登っていく仲間を常に募集中です。

最後までご精読ありがとうございました。

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