独立して15年経ったので偉そうに語る

独立して15年経ちました。

2008年4月にお勤めしていた美容室を退職し、築80年の掘っ立て小屋のような古いボロ屋で一人美容室を始め、途中投資で大失敗してしまうも立て直し、掘っ立て小屋から卒業→移転、シェアサロン設立、その後は運良く美容室も投資も上手く噛み合って資産を増やし、いつ美容師を辞めてもよい状態になり、2021年には店舗兼住宅も建ち、なんの不満もない日々を過ごせるようになりました。
自分としては若い頃に思い描いた理想の生活ができておりまして、大変満足しております。

今思うと運がよかったとしか言いようがないのですが、ただ一つ言えることは、美容師という仕事に対して期待と絶望を繰り返しながらも辞めずに続けてきたことがよかったなと、いうことですかね。
自分的には辞めなかったことがファインプレーです。

今までこの仕事をしてきて、つまらないな、将来不安だなと思うことが結構ありました。
飽きたなとか、今日は仕事に行きたくないとかも。腐ったり。
自分が美容師として一人前になれば、そういう気分も晴れるんじゃないか?と思い、20代のころは遊びもせずテレビも見ず、とにかく練習にあけくれました。

できるようになっても気分は晴れず、次は売上をあげれば?独立すれば?その繰り返しでした。
基本的に美容師という仕事が向いてないんでしょうね。
お客さんのカットして楽しい!とかまったく思えなかったし。
仕事でも接客でも自分本位で考えてしまいますから。

髪切ってなんぼの世界なのにお客さんの髪切りたくないとか、お客さんから電話かかってきて「これからすぐカットしてくれ」と言われてもやりたくない、明日にしてもらいたいとか、新規のお客さんはなんかめんどくさいなとか。
で、そんなこと思ってるとお客さんってどんどん来なくなってしまうじゃないですか。
売上落ちると生活に関わるかるからヤバいなって、でまた仕事頑張って。

そういううだつの上がらないなかでも、自分の選択は間違ってないと思いたい気持ちが強く、なんとかどうにかして、自分の理想の生活を手に入れるべく、試行錯誤しながらこの仕事を続けててきました。

そして、ある時気づきました。

長年この仕事をしているけれど、何一つとして形になるものが残ってないなと。
これはかなりの衝撃で、今まで何をやってきたんだと愕然としました。
何も考えずにひたむきに技術を覚えて、お客さんの髪をひたすらカットしていれば、なんとかなるだろうと思っていたのですが、まったくどうにもなってない。
むしろ、少しずつ悪くなってきていると思いました。

いろいろな考えがあると思いますが、私は美容師という仕事はサービス業ではなくて製造業だと思っています。
寿命がある機械みたいなもんです。

稼働している時間しかお金が稼げない。
アルバイトのように時給で働いてるのと同じ。
歳をとって身体が動かなくなるとお金を稼ぐことができない。
そして、下手すると何も残せない。

このことに気づいてから、美容師から一歩引いていろいろな視野で自分を見つめ直し、プライドを捨て、美容師に固執することを辞めました。
そして資産を築いていくことを中心に仕事する方向にシフトしました。

そこからまたいろいろと失敗と成功を繰り返して10年ほど経ちますが、やっと美容師だけの収入に頼ることがなくなったので、それからは精神的にとても楽です。
そして、精神的に楽になったことで、美容師をやりたくない気持ちや辞めたい気持ちはまったく無くなりました。

若いころからこの仕事に対して抱いていたネガティブな思いから開放され、逆にこの仕事を1から勉強しようかなとさえ思うようにまでなりました。
そしてたぶん、自分に髪を切ってもらいたいと思うお客さんがいる限り、体が元気であればずっとつづけると思います。
人に必要とされることで自分の存在意義を実感することができる。
たぶん、歳をとったんでしょうね。

誰かの下で働く必要もなく、お客さんの予約が入ってる時間だけ店に立ち、そうでない時は資産がお金を稼いでくれて、従業員を雇う必要もなく、ディーラーに舐められることもなく、事業の借入もなく、銀行からは金借りてくれと頭を下げられ、家族を優先することができて、お客さんの髪を切ることで社会とのつながりを感じ、隣の美容室の混み具合を気にすることもなく、自分本位に考えることができて、こんな最高なことってあります???

この業界に入って28年経ちました。
ずっと悶々とした日々をすごし、馬鹿にされる日々がありながらも独立をして続けてきて、今では家族を養い、家も建て、資産を増やし、将来の不安もかなりなくなりました。
少しは自分を褒めてあげたいなと思います。

ただの自分語りになってしまいましたね、すみません。
なんのオチもない話で申し訳ないです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
これからもいろいろと頑張りたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?