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目がくらむこの本の数、大きなペルシャじゅうたんにも圧倒!

この写真は、新宿区立漱石山房記念館にある夏目漱石の書斎を再現した部屋です。漱石は晩年の9年をここで過ごし、数々の名作もこの書斎から生まれました。この記念館で、いま「所蔵資料展 漱石の書と書簡」を開催中。弊社で復刊した『憂鬱な愛人』(松岡譲 著)もショップで取り扱っていただいております。

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建物自体は残念ながら残っていませんが、当時の写真を見ると、ベランダ式回廊を有したモダンな建物だったようで、外国帰りの建築家が設計したというのもうなづけます。漱石を慕う門下生たちは毎週木曜日にここに集っており(「木曜会」)、その中には松岡譲も属していました。当時の写真を眺めていると、若き文学者たちが熱く語り合う様子が目に浮かんでくるようです。

私が何度も文章を読み返してしまった展示は漱石と交流のあった文具商・馬場一路の回想録です(メモしておかなかったのですが、おそらく『冷蕋集』馬場一郎編 だったと思われます)。そこに、漱石が馬場一路の店の名前(和風堂)を決めたときのくだりがあります。「店の商品は中国のものが多いのになぜ和風堂に?」という馬場一路の心の叫びがとてもリアルで、思わずクスっと笑ってしまいました。

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43歳のときに療養先の修善寺で一時危篤状態に陥った漱石。その後、書画や漢詩の創作に打ち込んだといわれ、今回の展示はそんな漱石の書にフォーカスしています。自身の文学の創作のかたわらで、のびのびと軽やかに書を書き綴っていた漱石の様子が手に取るようにわかり、親しみがわいてきました。

*展示は2021年1月17日(日)まで、途中一部展示替えがあります。

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