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シャニマス『many screens』読後感想

今回読むのは放課後クライマックスガールズのイベントストーリー「many screens」。
投稿時現在復刻イベントが開催中です。

0.あらすじ

忙しく集まる時間が取れない放課後クライマックスガールズの5人。
そこで夜にオンラインミーティングを開催する。
果穂の出演するラジオで落語『死神』を演じることになりそれに向け5人は読み合わせを進める。
いつしか夜のミーティングが楽しみになっていくメンバー達。夏葉の出演する生放送を皆で見たりしながら読み合わせは順調に進んでいく。
練習の甲斐あって本番では見事『死神』を演じて見せた。
しかし後日、果穂宛てに一通のはがきが届く。

1.入室者

夜、オンラインミーティングを通じて集まる放課後クライマックスガールズのメンバー。
智代子、樹里、凛世、夏葉の4人が続々とミーティングルームに入室してくる。
智代子の母親が登場したりとならではのハプニングもありながら果穂とプロデューサーを待つ4人。
その時ふっと画面が暗くなり不気味な声が流れる。

2.おしえてやろうか?

オンラインで『死神』の台本の読み合わせを進める5人。
果穂は落語家の動画を見てその演技に憧れ死神を演じることにした。まだまだ演技は可愛らしいと凛世に言われる。
病人の足元にいる死神を追い払う呪文は「アジャラカモクレン放クラテケレッツのパー」。
この呪文を落語家によって変えていくのもこの話の面白いところである。
以降一通り『死神』のストーリーを演じていく。
この話は私がここで語るより実際に演目を見てもらった方が良い。
私は以前YouTubeで三遊亭圓生さんの演じる『死神』を見たことがあるので、参考にそちらの動画リンクを載せておく。


3.長屋onスクリーン

今夜の練習も終わり解散する一同。
だが樹里、凛世と果穂の画面は点いたままになっていた。
3人は練習終了後の休憩としておやつを食べることに。
休憩中に果穂は、死神はなぜ悪いことをするのかという疑問を口にする。
ここでは死神は命の長さを弄ってしまった男にバチを当てただけという凛世の話に納得する。
それゆえ凛世は果穂に思い切って意地悪に死神を演じるようにアドバイスする。
そして智代子、夏葉も再び集まってくる。

4.many skies

夜のオンラインミーティングをそれぞれ楽しみに急ぐメンバーたち。
今日は夏葉が出演する生放送を皆で同時に見るのだ。
夏葉を応援する4人。SNSの投稿を見るコーナーでは視聴者に交じって彼女たちも思い思いの投稿をする。
生放送から戻った夏葉は、皆で集まる場を家のようだと言う。
そして今夜の練習が始まった。

ハッシュタグを付けられない樹里

5.大入御礼

いよいよ本番を迎える朗読劇。放送中もSNSで話題になっていく。
無事成功をおさめその後の反応も好調である。
果穂が事務所に届いた郵便物を運んでいると、1枚のはがきを見つけてしまう。
それは果穂のファンの子供からの手紙だった。
その子は果穂が悪い死神を演じたことについて悲しく思っているという内容だった。
そのはがきを読んだ果穂は考え込んでしまう。

6.夕焼けオフライン

事務所に向かう智代子と夏葉は公園で猫といる果穂を見つける。
果穂は花壇でいたずらしようとしていた猫を注意しようとしたが、自分は悪者なのかと悩んでいた。
ファンからの手紙を読んでから死神は悪者なのかと改めて考えていたのだ。
一方プロデューサーも果穂のことが気がかりで落ち着かない様子。
この問題を解決するには、皆で話し合う必要があると、果穂、智代子、夏葉の3人は公園で腰を下ろし話し合う。
その夜、再びミーティングが開催される。

7.悪い神様

ミーティングで果穂はメンバーにファンレターのことを話す。
メンバーたちは今回の『死神』の問題ならば皆の問題だとファンレターの内容について議論を進める。
死神は意地悪ではあるが、それは男の人間らしさを立たせるためだと凛世と夏葉。
そこには死神が単純に良い役・悪役とは言えない話の難しさがある。
しかしはがきをくれた子供が死神を悪役ととらえてしまったことも事実である。
それを「いつか分かる」と言うのも突き放しているという意見が出る。
死神の役どころに付いてどう考えているか問われた果穂は、何も考えていなかったことがわかったと打ち明ける。
自分が人にどう見られているか、役を演じた自分がどう見られるか。
役を演じる自らについても目を向けることが、真似をすることと演じることの違いであると私は思う。
ひとつ、またひとつと役を演じることで彼女たちは自分と向き合い成長していく。
そうして話に対して感じることも変わっていく。
画面の向こうにはたくさんの人がいる。その人たちが生きてきた時間、経てきた経験はばらばらだ。
そんな人たちと一緒に楽しむにはどうすればいいか、彼女たちは考える。
場面は変わり、事務所に駆け込んできた果穂は屋上でプロデューサーを見つける。
果穂がプロデューサーにお願いしたのは、もう一度、オンラインミーティングで『死神』を上演することだった。

8.あげサゲ!!!!!!

SNSで生配信のことが宣伝され、メンバーにかかわった人たちにも届いていく。
そして夜になり、新しい『死神』が始まった。
メンバーが考え、少しずつ改変された台詞。
演じられる劇に二度と同じものはない。彼女たちの『死神』は彼女たちとともに成長していく。
果穂が感じていたたくさんの人とのつながり。
放課後クライマックスガールズだけでない、様々な考えを持った人たちがスクリーンで、SNSでつながっている。
その人たちにきちんと向き合うため、果穂は果穂なりの、自分だけの死神を演じる。
話の中男が木のうろに入ったところで、オンラインミーティングのURLが投稿される。
そこは参加者が「燃える、燃えるぞー」と声を出すためのものだった。
自分の声が流れることに戸惑っていた参加者からも掛け声が上がり始める。
たくさんのひとの声が流れる。離れていてもたくさんの人が集まったように。たくさんのスクリーンに、灯がともるように。
男にバチを当てなくてはならないが、本当は男のことを応援できるように、たくさんの声を集める。
それが果穂の演じたい死神だった。
それでもまた悲しむ人がいたら、彼女はまた成長して、また新しい『死神』を見せてくれるだろう。
「サゲ」とは落語の締めの部分、オチのこと。
彼女たちは自分たちが届けたい『死神』を演じ悲しい「サゲ」を「盛りあげ」に変えたのだった。

9.【続!(完全)燃焼】

「ぼくらのマクラ」では朗読劇練習期間中の果穂が、落語家の話の枕を聞いて自分も真似しようとする様子が描かれる。
「暑さ寒さも彼岸までと申しますが、いつまでたってもあついものがある。夏休みの宿題でございます。」
最初は智代子に試してみるが、「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉の意味をよく分かっておらずうまくいかない。
次に言葉の意味をきちんと調べて樹里に試すが、今度は続く言葉を間違えてしまう。
事務所で凛世と夏葉がトレーニングしているところに出くわすと、夏葉が「あついままなのは……」と言っているのが聞こえ目を輝かせるが、あついままなのは「宿題」でなく「トレーニングの魂」。
枕をそのまま真似しようとしてみてもうまくいかない果穂。
「(ワン)アワー・パワーランチ」ではもう一度演じる『死神』の作戦会議がオンラインで行われている。
画面の前で、それぞれの食事をとるメンバーたち。
それぞれにおいしそうだと言って、画面の向こうに一口上げる真似をする。
離れていてもにぎやかな食事が終わったところで改めて本題に入る。果穂はそれを「パワーランチのマクラ」と言った。
「ばいばいカウントダウン」は、『死神』が終わった後も少しだけ続くミーティングの様子である。
気づけば夜も更け、時計は10時を指す。本来ならば小学生の果穂はもう寝る時間だ。
解散の運びとなるが退出ボタンを押すことの淋しさについて凛世が漏らす。
もしこのままボタンを押さなければ、この楽しい時がずっと続くかもしれない。
また会えるがそれでも寂しい、小さなお別れ。
樹里の提案で、今夜は皆で一斉に退出ボタンを押すことになった。
一方果穂は普段と違う時間に起きていることが夢のようで、まだ名残惜しい様子。
しかしこの時間は、放課後クライマックスガールズは決して夢ではない。
ろうそくの炎のように消えたりしない。
これはまた会うための小さな痛み。
そして果穂の号令とともに皆が退出し、画面がふっと消えた。

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