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韓国ドラマの世界 第二回 心の闇(病み)という光(せともも)

 外出できない今の状況の中、ストレスやコロナ鬱という言葉も耳にします。
見えない病ともいわれる精神的な疾患は、フィクションにおいては逆に見えやすくわかりやすい素材なのかもしれません。
 ウッディアレンといわずとも、昔から欧米のドラマや映画には、精神分析だったり、カウンセリングだったり、サプリを飲むように安定剤らしきものを飲んでいるシーンがよく出てきますが、韓国ドラマでも心の病気はとても身近で馴染みがあるようで、メインの素材から、スパイスとして幅広く使われています。心の闇(病み)というのは、韓国ドラマにとってむしろ光なのかもと感じるほどです。それくらいよく、出てきます。
 私たちにとっても、そんなに珍しいことではないように思います。誰でも罹る可能性のある心の状態、というよりむしろもう『誰でも持っている心のある部分』かもしれない。そんな風に思ったりします。

大丈夫、愛だ(2014)

ソウルの教保文庫という大きな書店でシナリオの本を探していた時、この作家のものはずらりと棚に並んでいました。
ノ・ヒギョン脚本のこのドラマは、精神科医の女性と、ベストセラー作家がお互いの心の病を癒そうとするうちに・・・というラブストーリー。ほぼ全ての登場人物がなんらかの心の闇を抱えています。
かなりシリアスで過酷な過去を抱えた精神的な病を患う登場人物たちが、癒し合い傷つけあいながら、タイトルの通り愛を手にしていく姿を楽しく、イキイキと、痛々しく描く脚本に、美しい映像に、グイグイ引き込まれます。


ボスを守れ(2011)

これも御曹司×どん底ピンチ女性という韓国ドラマの典型ラブコメですが、ワガママなボスは、パニック障害だった。というストーリー。
心の病を抱えたボスを、元ヤンのヒロインが支え、一緒に治癒していく姿、その過程でお互い恋に落ちる様子がチャーミングに描かれています。


キム秘書はいったい、なぜ?(2018)

どこまでを心の病みとするかにもよりますが、子供の頃のトラウマから心に傷を抱えているという設定も、ものすごくよく出てきます。それがファンタジー要素の強い超能力に発展することもあれば、このドラマのように極端な人格として現れたり。
そして、そのトラウマの原因が同じ事件にあった!ラブストーリーの主人公たち、という、まさに運命としか言えない二人が繰り広げる恋愛模様もまた多く作られている王道ですが、比較的新しいこのドラマは、少しずつキャラクターにひねりが加えられてて新鮮に楽しめます。映画「パラサイト」でもしっかりと存在感を示したパク・ソジュン主演です。

次回は
「信じる力」
韓国ドラマに特徴的な「信じる」をテーマに書きたいと思います。


せともも
ラジオを中心に、脚本などを書いています。
韓国ドラマを、できるだけ、俳優以外の視点から紹介します。
http://www.setomomo.net

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