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【体験記】夢だった書籍出版がnoteきっかけで叶った人の話 ~持ち込みから執筆、刊行まで~

富家(ふけ)と申します。
いつもお世話になっているみなさん、ありがとうございます。

1990年生まれで、2児の父です。これまでマーケティングの仕事に関わらせていただいてきました。おかげさまで、イベントやセミナーに登壇させていただいたり、実務に励む中での取り組みの内容や学びを記事にしていただくこともありました。
活動の内容は、Xのアカウントで発信していたり、こちらのNotionにまとめていますのでよければご覧ください。

現在は、株式会社EVeMでMarketing Directorを努めています。

そんな私ですが、2024年6月26日(水)に、翔泳社さまより最高の打ち手が見つかるマーケティングの実践ガイドを出版させていただきました。

手にとっていただいた方はもちろん、関係者のみなさまにも、この場を借りて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

ご丁寧に「買いました!」と画像付きでメッセージをくださったり、SNSで投稿してくださる方もいてとてもうれしかったです。

みなさまからいただいた写真をご紹介させていただきます

書籍の出版に向けて動き始めてから実際に刊行されるまで1年以上かかりました。執筆期間中は本当にいろいろとあったので、タイトルにもある通り、自分自身の思い出を残すためにも体験記を綴ってみたいと思います。

ただの体験記なのでお役に立てる部分は少ないと思いますが「書籍を出すってどんな感じ?」というのができるだけ伝わるように書きたいと思います。ざっくりと、「企画持ち込み編」「企画書作成編」「執筆編」「編集編」に分けて当時の記憶を振り返りながら書いていきます。

よければお付き合いください!



企画持ち込み編

書籍企画の持ち込みからスタート

出版については、出版社や編集者の方から声がかかってスタートしたのではなく、翔泳社さんの「書籍企画の持ち込みについて」のフォームから自分自身で書籍企画を投稿したことがきっかけでした。

書籍企画を投稿するまでの経緯を書かせていただきます。

書籍企画の持ち込みページ

もともと「いつか本を書きたい!」という夢を持っていましたが、その夢は漠然としたもので、具体的な行動を起こしていたわけではありませんでした。

しかし、登壇する機会をいただくようになって、自分の経験や学びを資料にまとめてお話ししたところ「役に立ちました!ありがとうございます!」と言ってもらえることが増えてきました。

素直に「役に立ててうれしいな」と思えたし、何より楽しかったので、休みの日にセミナーの資料を作ることも全く苦ではありませんでしたうそです。「うぅ…ゲームしたいよ…キャンプ行きたいよ…」と泣きながら作ってました)。

そんな中で、自分でも忘れかけていた「本を出したい」という夢が、少しずつ「もしかしたら…」と思えるようになりました。ですが、やはり自分なんかが編集者さんから声をかけられるわけもないよな…とも感じていました。

そこで、「だったら自分でnoteを出そう!」と思い立ち、2023年1月28日に「5年間やってわかった、BtoBマーケターがやるべき仕事の全体感」というnoteを投稿しました。

当時、noteの「さいごに」でも触れてました。

自分自身としても、これまでの学びや経験をアウトプットするという目的と「いつか本を書いてみたい」という夢を疑似的に叶えることができ、とてもよい経験でした。

5年間やってわかった、BtoBマーケターがやるべき仕事の全体感

このnoteがたくさんの方に読んでいただけたおかげで、公開から約3ヶ月後に1,000を超えるスキをいただくことができました(圧倒的感謝っ…!)

公開後たくさんのリアクションをいただけたのですが、特に印象に残っているのは、お世話になっているグロースX 松本さんのこのツイートです。

もちろん、うれしさが爆発したのは言うまでもなく、特に「翔泳社さん」と入れてくれたのがたまらなくうれしかったんです。

なぜなら、もしもいつか自分が本を出すことができるなら「マーケティング」をテーマにして「翔泳社さんで出したい」と思っていたからです。

その理由はシンプルで、右も左もわからなかった駆け出しの頃からMarkeZineにお世話になっていたことと、そこで取り上げられているマーケターのみなさんに強い憧れと尊敬を抱いていたから、というのが理由です(あの「THE MODEL」も翔泳社さんです)。

そんなMarkeZineを運営されている翔泳社さんから本を出すことができるなら、それは自分自身にとっても大きな意味があるし、多くのマーケターの方に学びを届けることができるだろうと考えていました。

『でも、自分なんかが本を出せるの?出していいの…?』なんてうじうじ考えていた自分の背中を『ふけさん、絶対出したほうがいいですよ!』と押してくれたのが、公私ともにお世話になっているしげのさんでした。



『うおおおおおおお!わかりました!!!企画書出してみます!!!!』と、鼻息を荒くしながら出した企画書は下記です。

2023年5月9日に、フォームから提出しました。


フォームで投稿した企画書
目次案

フォームから連絡後、担当いただくことになる編集者の「大久保遥さん」から返信をもらい、企画会議に通すための「企画書づくり」がスタートしました。

大久保さんから返信をもらえただけでなにも決まってないのに
「やったあああ!」って声に出して喜んだのを覚えてます


スタートラインは、遥か前方に

この時の自分は、スタートラインが遥か前方にあることすらわかっておらず、文字通り「返信をもらえただけ」なのに浮かれていました。

大久保さんと最初に打ち合わせをしたのが2023年5月18日で、実際に書籍が刊行されたのが2024年6月26日だったので、ここから1年以上の時間をかけて書籍を出すことになります。ざっくりと内訳を書くと、企画書が通るまでが約6ヶ月、原稿執筆は約4ヶ月、編集には約3ヶ月かかりました。

ブックライターと呼ばれる専門の方にサポートをもらいながら執筆する方法もありますが、私の場合は自分で原稿を書き、掲載している図解も自分で作成しました(もちろん図解やイラストはデザイナーさんにデザインしてもらってます)。

振り返ると、『たのしかったです!』と満面の笑顔で言う事なんてとてもじゃないですができず、どちらかといえば『いや、ほんとまじで大変でした…。やばすぎて、やばかった以外に感想ないです。まじで・・・まじで大変でした・・・』と大粒の涙をこぼしながら真顔で訴えかけてくる感じです。

ただやはり「書籍を執筆する」という行いはとても貴重な体験で、自分自身の学びもあふれる経験でした。

ここから、スタートラインに立つための「企画書作成」がはじまります。

企画書作成編

6ヶ月間ずっとふわふわしている感覚で過ごす

大久保さんといっしょに書籍の企画書を作成している期間中は、ただただ不安で、ずっとふわふわとした感覚で過ごしていました。

「もしかしたら自分は本を出すことができるのではないか」という期待と「企画が通らなかったらこれもなかったことになるのか‥」という不安が、常に頭の中にあったからです。

この期間は生殺しに近い状態でした。


編集者さんを信じて、身を委ねる

企画書を作成するにあたり意識していたのは、編集のプロである大久保さんを信じて身を委ね、できるだけそれに応えることでした。自分が伝えたいことはブラさずに、それでもできるだけ大久保さんからの希望を叶えるぞ、という気持ちで臨んでいました。
というのも、「餅は餅屋」という言葉があるように、プロを信じることで結果的により良いものが出来上がり、それが読者の方にも最良の形で届けられると思ったからです。

その判断が間違っていなかった証拠として、「最高の打ち手が見つかるマーケティングの実践ガイド」の大きな特徴である「3つのマップで解説する」というコンセプトが、大久保さんとのやり取りの中で生まれたことが挙げられます。大久保さんからのアドバイスがなければ、このコンセプトにたどり着くことはなかったと思います。
ちなみに3つのマップとは「プロセスマップ」「キーポイントマップ」「アクションマップ」のことです。

これから、それぞれのマップが完成するまでの過程を紹介したいと思いますが、まずは書籍の章構成そのものでもある「プロセスマップ」がどのようにして作られたのか、その過程を書いていきます。最初に、完成図をお見せしておきますね。

プロセスマップ
(完成図)

打ち合わせ後、フォームから提出した企画書をもとに企画書のタタキを作成してもらいました。2023年6月に提案いただいた企画書の「書籍の特徴」が下記の通りでした。

最初の企画書に書いてある「書籍の特徴」

これを土台に、企画の中身を作っていったのですが、大久保さんからのオーダーは次の通りでした。

いろんな悩みや失敗は実はこの○つの原因に集約されるんだよ、ということがわかるマーケターぶつかる悩みと大きな壁を描いた「マンダラ」と、いろんな悩みや失敗は実はマーケティングのこの段階の問題なんだよ、ということがわかる「フロー図」がミックスしたような図がいいと思います。

あと、全体像を見せて、各章に飛べるといいのかなと思いました。最初のページから読んでもいいですし、自分のチームの抱えている課題を解決するのに適したページから読むこともできるように。

大久保さんからのオーダーに『なるほど、なるほど…』と言いながらも、めちゃくちゃ頭を抱えました。「マンダラとフロー図がミックスしたような図ってなに…?」と混乱していました。笑

そんな状態でなんとかひねり出したのが以下の図です。


この時はとにかく必死だったのですが、全然まとまってませんね

1)抱える課題の具体例
2)それらの課題に紐づく要素/要因
3)マーケティングの段階ごとに抱える課題と要因の紐づけ
を成立させようとするとこんな感じ?と思いながら作成しました。

初心者はAからはじめて最後まで行けば、文字通り全体感を掴みつつ、これから自分がやるべきことの段階をイメージできますし、中級者は自分が抱える課題のページから読み始めることもできるのでは?と思いました。

富家→大久保さんへのメール
大久保さんからの返信

というわけで、大久保さんからもらった「山登りで表現する」というアイデアが盛り込まれることになります。

いただいたコメントを踏まえて再度考えてみたのですが、「山登りにも近そう」というのが自分にとってもそうだな、と感じたので、そのアイデアを活かして書いてみました。

①~⑧を目指す中で、それぞれ2つずつメインアクションを入れています。グレーの箱にはイラスト可してビジュアルで訴えかけるイメージで入れてます。マンダラチャート感は薄くなったのですが、全体感を示しつつ、各章に飛んでいく感じは前回よりもアップしたのでは?と思っています。

富家→大久保さんへのメール
こうしてプロセスマップの原型ができました
(2023年6月27日)

こうして「プロセスマップ」の原型ができました。執筆時に作成した原案も紹介しておきます。

プロセスマップの原案

実際に執筆を進める中で内容はどんどん変わっていきました


大久保さんとさらに議論を重ね、出した「書籍の特徴」のアイデアが下記でした。ちなみにこの「3つのマップを使う」というコンセプトが盛り込まれたのは、9月5日だったので、この時点で約4ヶ月が経過したことになります。

山登り(プロセスマップ)を進めていく上で、キーポイントマップとアクションマップに適宜、立ち戻りながら進めていくような構成にすると、3枚のマップを使いこなしながら、自分の立ち位置と進め方を迷いなく進められるようになるのでは?と思いました。
これを書籍の特徴にすると良い気がします。

せっかくなので、「キーポイントマップ」の①原型と②原案と③完成版。「アクションマップ」の①原型と②原案と③完成形を載せておきます。それぞれの変遷をおたのしみください。


▼キーポイントマップ


①キーポイントマップの原型
(アクションマップの「見直しポイント」は、当初キーポイントマップに掲載予定でした)
②キーポイントマップの原案
③キーポイントマップ
(完成版)

▼アクションマップ

①アクションマップの原型
(内容をもりもりにしすぎて図解として載せられず、マップから泣く泣く外していきました)
②アクションマップの原案
③アクションマップ
(完成版)

こうしたやりとりを経て、企画書に載せた「書籍の特徴」は下記の通りです。

[書籍の特徴]
・BtoBマーケティングの全体のプロセスを悩みと結び付けてイラスト化して冒頭に掲載(プロセスマップ)。プロセスマップをとっかかりにして自社の立ち位置がわかり、課題と本当にすべきことが見えてくる。
※BtoBマーケティングの全体像を山登りをモチーフに冒頭にイラスト付きで掲載する。

・自社で今すぐ取り組むべき施策がわかる「キーポイントマップ(フェーズ別に戦略と施策のすり合わせ、課題が見つかる)」と「アクションマップ(各フェーズで現場で実行すべきことがわかる)」を掲載。

マップの使い方:マップと自社の施策を照らし合わせて自社の課題を確認し、施策企画マップでその課題に対する具体的なアクションを確認する。

・組織を動かすようなリーダー層の目線と、現場関係者の目線と両方で書く(各章または各節冒頭に箇条書き等で入れる)。組織の推進力を高めるためのマネジメントやリーダーシップにも言及することで、推進者としての心得も学ぶことができる。

「最高の打ち手が見つかるマーケティングの実践ガイド」企画書

2023年6月時点の「書籍の特徴」と、2023年11月時点の企画書提出時点の「書籍の特徴」は、当然ではあるのですが、似ているようでまるで違う内容となっています。
約6ヶ月間という時間と、大久保さんからの助言を踏まえてブラッシュアップしていったおかげで、納得感のある企画書ができあがりました。

ついに企画が通り、出版が決まる

出版社さんによって企画書の承認フローは異なると思いますが、翔泳社さんは企画会議で承認される必要がありました。メールのスクショで当時のやり取りをお届けします。

2023年11月2日 19:11
富家→大久保さん
2023年11月2日 19:17
大久保さん→富家
2023年11月2日 22:13
富家→大久保さん

「企画が通った」と連絡をもらったときは、本当にうれしかったです。
「本を出せるかもしれない」という期待が、ただの夢で終わらずに現実になろうとしているんだという安心感がこみ上げてきて、思わず泣いてしまいました。

と、同時に震えました。



「こ こ か ら が ス タ ー ト」



というわけで、執筆がスタートしていきます。




執筆編

地獄の4ヶ月がスタート

『まずは、2月末までに10万文字程度で原稿を書いてください』とオーダーをもらい、2023年11月9日から執筆がスタートしました。予定通り2024年2月25日に原稿を提出できたので、執筆期間は約4ヶ月でした。

大久保さんから『はじめての執筆は、肩に力が入ってしまってつい書きすぎてしまいます。お気をつけください。』とアドバイスをもらっていたにもかかわらず、最終的には「約13万5,000文字」の原稿を提出するという、両肩バッキバキの状態でフィニッシュしました。

当初想定していたページ数を40ページ分もオーバーしてしまう量を書いてしまい、関係者の方みなさんに多大な迷惑をかけました(最終的には、約20ページ分増やしてもらい、それ以外は編集時点で調整しました。本当にありがとうございました。)

大久保さんからの心苦しそうなメール
(5月10日)


書くのはたいへんでした

当然といえば当然ですが、改めて、書くっていうのはたいへんだな…と痛感しました。どこでなにをしていても、常に「あ~、原稿書かないとな…」が頭の中にある生活でした。平日は執筆の時間を取ることはできなかったので、「平日は書かない」と心に決めて、週末の時間を使って書いていきました。

なにが大変だったかと言えば、「書く」という行為そのものはもちろんですが、心の平穏を保つことが難しく、暗い気持ちで過ごすことが増えたことでした。

時間や体力のやりくり以上に、仕事にも、家庭にも、友人にも、もっとできたはず、できるはずなのにごめんなさいという気持ちを持ってしまうことで自己肯定感が下がっていくのを感じていました。

もちろん、自分でやると決めてやっていることなので、そんな状況も受け入れるしかありません。弱音を吐きたくなったり、逃げ出したくなる時もありましたが、なにより心の中の自分が『これは、お前が始めた物語だろ』と容赦なく言ってくる状況はしんどかったです(正論すぎて、ぐうの音も出ない)。

まわりから見れば「その人が勝手に始めた挑戦」であっても、置かれる状況によってはその事実そのものが逃げ場をなくし、追い詰めてくることはたくさんあるんだろうなと思いました。

どうして欲しいかはその人次第ですが、理解を示し、できるだけ話を聞いてあげてほしいなと思います。


自分の書くスタイルを見失って3万文字の原稿を捨てる

原稿の執筆の最初の2ヶ月間は、自分のスタイルを見失ってしまい失敗しました。

書き始める前に聞いた、諸先輩方のアドバイスをまとめると下記でした。

・まずは書く、とにかく書く
・1度書いたところはあまり修正しようとせずに完走を目指す
・書きやすいところから書いてもOK
・図解はラフで大丈夫
・原稿には「図解を入れる」くらいのメモを入れておいて、あとからいれる
・うるせえ、書け

「まずは言われた通りやってみるか」とアドバイスを取り入れて、文章のクオリティはほどほどにして一心不乱に書き始めたのですが、結果的にうまくいきませんでした。

「あまりうまく書けてないな…」と思いながら前へ前へと進んでいったのですが、進めば進むほどどうしてもそれが気になってしまって、どんどん自信をなくし書く意欲が削がれしまう状況に陥りました。

そうして書いた文章をあとから読み返すと、それっぽいことをそれっぽく書いているように感じてしまってなにより自分が納得できないし、またそんな文章しか書けない自分にも苛立ってしまって・・・最終的には、自分が一生懸命書いた文章なのに「見たくない」と思ってしまうような状態でした。

「自分自身が読みたいと思う文章じゃないと良いものにはならない」という当たり前なことを見失っていましたし、自分がはじめて経験する「執筆」という行いに対して、自分のフォームを大きく崩して臨んでしまっていたことに気が付きました。

というのも、これまでイベントやセミナーの登壇資料をつくる時は、頭から「これでOK」と思えるレベルで仕上げていきながら最後まで作り切るのが自分のやり方でした。そのようにして「流れ」と「整合性」を担保しながら作っていくのが好きだったことを思い出したのです。

というわけで、それまで書いてきた約3万文字の原稿を12月27日に捨て去りました。改めて「はじめに」の一文字目から書き始め、図解も一つひとつ作成していきました。

図解もパワポでひとつひとつ丁寧に

原稿を書くペースはガツンと落ちたものの、着実に完成に向かっている手応えを感じることができたので、気持ちはとても楽になりました。目標達成までが遠い道のりほど、前に進んでいるという実感を得ることが大切なんだな、と学びました。


1月4日 大久保さんへのメール

原稿提出日ベースの文字量推移もここで紹介しておきます。

原稿の文字量推移
こう見ると一定のペースでは書けていますね

ちなみに『話したことを文字起こししてChatGPTで要約してもらって、そこから加筆・修正するといいですよ』ということでそれも試してみたのですが、あんまりしっくり来なくてやめました(精度がどうこうとかではなく、なぜかしっくりこなかった)。

自分のやり方に固執するのはよくないなと思いながらも、フォームを崩してペースが乱れるくらいなら、非効率でも自分のやり方を貫く方がいいこともあるな、と思いました。

※音声の文字起こしと要約後に加筆・修正するのは絶対に効率的だと感じましたし、選択肢としてモノにしたいなと思いました。ただ、今回は新しいやり方を試してみる場としては適してなかっただけだと思いました。


「伝える順番」の考慮で目次の中身が変わっていった

原稿を書いていく過程で、目次の内容も変わっていきました。企画書時点の目次と、最終的な目次を載せておきます。変更した箇所は赤字にしておきますね。

企画書時点の目次
最終的な目次
(赤字の部分が変更した箇所)

目次が変わった理由は「伝える順番」の考慮でした。

というのも、頻発していた事象として「Aを説明するためには、BとCを説明する必要があって…ただプロセスマップ的にはここでCを説明するのは違うから…っていうか、Bを説明しようとするとDを説明しておかないと誤解をうむかも・・・あれ、どうしよう…」みたいなことがありました。

正確に伝えること、書籍全体で整合性を取ること、わかりやすく伝えることのバランスが難しすぎて、企画書作成時点の解像度だとそれが全くわかってませんでした。

ただ目次の構成自体は大きくは変わっていないので、やると決めたら大枠はしっかりと考えて、あとはやってみることで解像度を高める。それで得た学びを活かして細かいところを良いものに仕上げていく、というやり方は改めて大事だと思いました(小並感)。

原稿はこんな感じで書いてました


こうして、2024年2月25日に原稿を書き終え、無事に提出しました。もちろん達成感は感じていましたが、私の表情は”どんより”していました。

というのも、著者の諸先輩方が『書いてからの方がしんどかった』と口を揃えて供述お話されているのを聞いていたので、「嘘やろ…ここまででこんなに大変やったのに…これ以上のなにかが待っているの…?」と震えていたからです。


結論から言うと・・・



「書いてからの方がしんどかった」です。


というわけで、「編集編」がはじまります。




編集編

さらなる地獄が待っていた3ヶ月

編集作業では下記の工程を経ながら、本を完成させていきました。
編集期間は約3ヶ月間でした。

・初校(出版社→著者)

・初校戻し(著者→出版社)

・再校(出版社→著者)

・再校戻し(著者→出版社)

・三校(出版社→著者)

・三校戻し(著者→出版社)

※それぞれを並行して進めていたため、再校戻し中に初校戻しをしているものもありました
※校閲課の方からの指摘や質問への戻し、デザイナーさんとの図解とのやり取りなどもありました

具体的なタスクは、大久保さんから下記のようにPDFでコメントをもらいますので、それに一つひとつ対応していくことでした。質問にはコメントで返信したり、文章の加筆・修正・削除などを行っていきます。

こんな感じで確認をもらうので、ひとつひとつ対応します

これが「すべてのページ」に対して行われ、それが全部で「3回」行われます。章やページによって量はそれぞれですが、数分で対応できるコメントもあれば、1時間以上かかって対応するものもありました。この工程は「終わらない提案資料のレビューと作り直し」みたいなもので物理的にも精神的にも大変でした。


『あとはよしなに・・・!!なにとぞ、よしなに、よしなにお願いします!!!!!』

なんて言えたらどれだけ楽か…と何度も思いました。笑


もちろんこれは読者のみなさまにより良いものを届けるためには必要な工程ですし、書籍の信頼性が高い理由でもあると感じました。

回数を重ねるごとに、文章が適切な文量に圧縮され、表記のブレや誤字脱字が修正され、正しい日本語表現に変更されていきました。より読みやすく、より中身の詰まった内容になっていく過程を体験することは、とても貴重な経験でした。

編集者さんは同時に何冊もの書籍の企画と編集を抱えながらこれをやるわけですから、本当に大変な仕事ですね…。


「刊行日」が決まる恐怖とどんどん書籍っぽくなっていく感動

編集の工程で一番驚いたのは、原稿の提出タイミングで刊行日が決まることでした。3月7日のメールで「刊行日は、6月26日に決定しました」と連絡をもらいました。つまり、これ以降のスケジュールは絶対に遅延できないことを意味するので”恐怖”しかありませんでした。

ただ、編集の工程を進めていけばいくほど、どんどん慣れ親しんだ「書籍」っぽくなっていく感動もありました。

例えば、レイアウトに流し込んだ状態のデータを受け取った時は「めちゃくちゃ本っぽくなってきた!!」って感動しましたし、デザイナーさんがデザインを入れてくれた”プロセスマップ”も「そっか、見開きにするからこんな感じになるんだ」と感心しました。

レイアウトに流し込んだ原稿
プロセスマップの挿入イメージ


また、書籍の色合いは「赤」をベースにしていますが、当初は「青」を基調にする予定でした。レイアウトの例を作成する際に、たまたま赤で試作していたのですが、そのサンプルを見た瞬間に「赤がいいな」と思い、そのまま進めることにしました。

大久保さんと「赤の方がいいよね」という話に

また、この書籍は個人で出版しているものになりますので、厳密に言えば株式会社EVeMは関与していません。ただ、EVeMのマーケターとしての経験や「マネジメントの型」の学びがなければ書けなかったことがたくさんあります。この場も借りてお礼申し上げます。ありがとうございます。


書影は4月30日に最初の案を出してもらい、5月16日に決定となりました。「青を基調とする予定だった」のが、書影のデザインからも見えますね。

A案の雰囲気が好きです!と回答しました
できあがった書影
「赤×グレー」がすごく気に入っています

ちなみに、書影についてはあくまでもコメントする立場でしかなく、決定権はありません。というよりも、基本的に自分が決められることはほとんどなく、「商業出版※」で本を出す際は、自分の役割は「書く人」に過ぎません。オーナーは出版社であり、最終的な決定権は出版社にあります。

商業出版とは、出版社が書籍の企画・編集・印刷・流通を行い、書店やオンラインで販売する出版形態を指します。書籍が売れることで利益を得ることが目的で、出版にかかる費用は基本的に出版社が負担します。著者は原稿を提供し、その対価として印税を受け取ります。

ChatGPTさん ありがとう

・・・と書くと少し仰々しいですが、書籍の出版にはたくさんの大人が関わっていて、それぞれがそれぞれの役割を果たしながら、全員で「この本がより多くの人に届くように」という想いを持って臨んでいることを学びました。


予約開始!手元に届く…!

2024年5月19日、情報解禁ということでAmazonの予約ページが公開され告知を開始しました。この時はまだ絶賛編集中で、3つのマップもまだ修正している最中だったので「ほんとに出せるの…?」と、とても不安でした。

おかげさまで、たくさんの方が「おめでとう!」「買いました!」とコメントをしてくださいました。本当にうれしかったです。
Amazonでは「マーケティング・セールス一般関連書籍部門」で1位を取ることができました

Amazon「マーケティング・セールス一般関連書籍部門」ランキングで1位

ちなみに「マーケティング・セールス”全般”関連書籍部門」はずっと2位だったのですが、1位は「2024年版の会社四季報」でした。強すぎ。

タイミング悪かったな…なんて思ってたんですが「 2024年版 会社四季報」の発売日は約9月前の「2023/8/23」だったので、純粋な実力でねじ伏せられていただけでした。ちょっとでも「いけるかな?」なんて考えてしまってすみませんでした。心よりお詫び申し上げます(誰に?)。


というわけで、6月6日についに校了し見本品も手元に届きました。

6月6日に校了


6月22日に見本品が手元に届く

本を手に取ったその瞬間、言葉では形容しがたい感動を覚えました。

うれしいのは間違いないのですが「うれしい」では表現しきれていないし、達成感とか高揚感とか開放感とかが溢れに溢れ、心血注いできた分の喪失感も迫ってきた感じがして、もうぐちゃぐちゃって感じでした。

とにかく、言葉にならず、ただただ手にとって立ち尽くしていたと思います。それくらい感動していました。

・・・が、すぐには読む気にはなりませんでした。
だって!!!編集の時に!!!!!
「もういややあああ…読みたくないいいいい…」って言いながら読んでたので!!!!!!

後日、とても大切にしていた「1回目」をじっくり味わいながら読みました。


最高でした。




ついに…発売!!!

6月26日(水)に、拙著「最高の打ち手が見つかるマーケティングの実践ガイド」が刊行となりました!

手にとっていただいた方から感想を聞くまでは、役に立てる内容だったのかはわからないのでとにかく不安でした。書いている最中も”読者”としての自分が『おいおい、浅いこと書いてるな』とか『こんなの誰にでも書けるぞ、恥ずかしくないのか』と耳打ちしてくる現象に悩まされていました。

その不安はいまも変わらないのですが、発売から約1ヶ月で重版となったこと、いただいたご感想を踏まえると、まずは「役に立てる本を書けた」と言えるのかなと思うことができました。

Amazonのレビューはこちらです。レビューを書いてくださったり、個別でも感想を送ってくださり、とても励みになりました。ありがとうございました!

これまでお世話になってきたみなさまにも、出版を記念したイベントやセミナーにもお声がけをいただきました。いつも本当にありがとうございます。

インサイドセールス研究会では
参加者全員に書籍をプレゼントいただきました


書店さまにもご挨拶に伺わせていただきました。
※ご迷惑にならないように、事前にご相談のうえ訪問させていただきました

「本屋さんに自分の本が並んでいること」については、もはや現実のように思えなくて、あまり実感が湧かかなかったというのが正直な感想でした。ただ、自分が学ばせていただいていた偉大な諸先輩方の書籍に囲まれているのは感慨深く、ジーンときました。

丸善 丸の内本店さま
紀伊國屋書店 新宿本店さま
ブックファースト 新宿本店さま
ジュンク堂書店 池袋本店さま

全国の書店で取り扱って頂いておりますので、ぜひ、書店にお立ち寄りくださいませ!




おわりに

個人の体験記でしかありませんでしたが、最後までお読みいただいた方はもちろん、一部分だけでも読んでいただいた方も本当にありがとうございました。
少しでもお役に立てたのであれば、”スキ”や”シェア”をしていただけるととてもうれしいです。


改めまして「最高の打ち手が見つかるマーケティングの実践ガイド」は、BtoBマーケティング組織立ち上げのDay1から実践していただけることを書きました。BtoBマーケターはもちろん、インサイドセールスや営業のみなさまにもきっとお役に立てる内容です。
もしご興味あれば、手にとっていただけますと幸いです。また、身の回りの方にもご紹介くださいませ。

ありがとうございました!
これからもどうぞ、よろしくお願いします。

appendix:時系列の整理

(前段)
2023年1月28日 書籍のもととなったnoteを公開
2023年5月2日 noteが1000スキを突破
2023年5月9日 書籍の企画書を持ち込み、フォームから提出

(企画書作成:約6ヶ月)
2023年5月18日 編集者さんと初の打ち合わせ
2023年11月2日 企画書が通過

(執筆:約4ヶ月)
2023年11月9日 執筆スタート
2024年2月25日 原稿提出
2024年3月7日 刊行日が6月26日(水)に決定

(編集:約3ヶ月)
2024年4月1日 書籍のレイアウトイメージが完成。原稿を流し込んでいく
2024年4月12日 「初校」の順次受け取りと戻し
2024年4月30日 「再校」の順次受け取り
2024年5月13日 「初校」の戻し完了
2024年5月16日 書影決定
2024年5月17日 校閲課からの質問事項の受け取り
2024年5月19日 SNS情報公開開始
2024年5月21日 「再校」戻し完了・質問事項への戻し完了
2024年5月28日 「三校」受け取り
2024年5月29日 「三校」戻し完了・校閲課からの質問事項の受け取り
2024年5月30日 質問事項への戻し完了
2024年6月3日 最終確認
2024年6月6日 校了
2024年6月22日 書籍の実物を受け取る
2024年6月26日 刊行


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