シリウス座の終末的ドライブスルー

 我々の地球は、超高次元生命体の手によるミニ宇宙再現キットの内にシミュレートされた有象無象の星のひとつである。端的に表現するならば、彼らの世界における「叔父さんが手土産にトイザ☆スのワゴンセールで買った半額の幼児向け知育玩具に、幼い甥っ子がチョップの一打を加え、次いで舐めて齧ってみた衝撃で玩具のセンサーが反応し、内蔵CPUが動いた結果」程度の認識でよい。

 仮に、この叔父さんが大手ECサイトのプライム会員であり、時間をかけて商品を吟味し、やや高価格帯の品をお急ぎ便で注文していたならば、我々の世界はもっと慈愛に満ちた、完成されたものだったかもしれない。しかしそれは、我々が住む宇宙とは全く異なる宇宙だろう。この手の可能性に関する議論は切りがなく、突き詰めても栓がない。

 問題はこの宇宙キットの仕様上、これを起動させたものは無制限に彼の宇宙に干渉できるということである。編集もデリートも自由自在なのである。

【続く】

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