花留多唄【つ】椿
薔薇に負けず劣らず様々な色や形のある樹木、椿。大昔から私たちの暮らしに馴染み、沢山の品種が生み出されてきた植物です。
見た目だけでなく、その名前もなんだか雅なものばかり。美しい女性の名を冠したものもあれば、『青い珊瑚礁』『朝露』『雲竜』などあでやかなものもあります。
品種改良を重ねられただけあって、花言葉も『理想の愛』『完全な愛』『完全な魅力』『感嘆』など高嶺の花といった印象がありますね。
花言葉の一つに『誇り』というのがありますが、私はこのような美しく雅な花が日本原産だということが誇らしく感じます。
西洋でも愛され、オペラ『椿姫』でも椿が重要な役割を果たします。『女性らしさ』『常にあなたを愛します』『理想の恋』なんて花言葉もありますが、ちょっと切ないお話になっていますね。
さて、多くの花言葉の中に『おしゃれ』というものがあるのですが、まさしくその言葉の通り化粧品会社のマークともなっています。
『花椿』といえば資生堂。当時、香油の『花椿』という商品が人気だったそうで、大正4年に初代社長自らがデザインし誕生となりました。
日本の美しさを追求する花、椿。その花言葉に『控えめなやさしさ』や『美徳』という言葉があるのも、日本人らしさを感じて嬉しくなります。
花が丸ごとつるっと落ちて散る様子を見ていると、地に落ちてなお切なくも美しい。その美しさは咲き誇っているときとはまた違うけれど、朽ちたからこその悲哀が何かを際立たせる。最期まで美しさを失わない姿に、日本人が何故心を奪われたかわかるような気もするのです。
文字札:つるりつるりと落ちていく
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