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花留多唄【う】梅

 梅といえば思い出すのはこの短歌です。

『東風吹かば 匂ひおこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな』

 出典は拾遺集、詠んだのは菅原道真ですね。

 身分が低いながらも学問に秀でていたため右大臣まで出世した道真ですが、それを左大臣の藤原時平に妬まれ、あらぬ罪で大宰府に左遷させられます。そのときに京都の自宅、紅梅殿の梅を思い詠んだそうです。
 この梅は主を慕って太宰府へ飛んでいったという『飛び梅』伝説も残っています。

 そのせいでしょうか、梅の花言葉には『忠実』『忠義』『忍耐』『約束を守る』というものがあります。『気品』『上品』『美と長寿』あたりはさすがというべきでしょうか。

 学生時代のこと。京都に1週間ほど滞在したことがあるのですが、桜の時期を逃して残念がっていました。
 ところが北野天満宮を訪れたとき、梅苑の美しさにすっかり心が躍らされました。
 まるで梅を愛した道真が「桜もいいけれど梅も素晴らしいでしょう」と教えてくれたようでしたね。今度は花言葉を胸に訪れてみたいものです。

文字札:憂う顔すら恋しい主


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