【レビュー】『ブレイドストーム 百年戦争&ナイトメア』まさにナイトメア級の完成度【ネタバレ無し】
本作はPS3で発売された「ブレイドストーム 百年戦争」に追加要素を加えたもの。 PS4への移植作という色が強いですが一応PS3版やxbox one、PCでも遊べます。
発売はコーエーテクモゲームス制作は無双シリーズでお馴染み同社の ω-Force。
かつて同社で展開されていた決戦シリーズの精神的続編という側面もあり、集団対集団の戦闘が特徴的なタイトルです。
百年戦争編は無双シリーズで言うempiresや将星モードに近い、いわば傭兵マイライフ。
自らエディットしたキャラクターを主人公に英仏百年戦争を傭兵の視点から体感していくストーリーです。
一方本作から追加されたナイトメア編は面クリア型。
歴史モノにいきなりファンタジーの魔物が現れ、人類と魔物の戦いが描かれるというとんでもシナリオ。
突拍子も無いように思うかもしれませんが、元々史実を緻密に再現するようなゲームでもないので、同社の無双orochiシリーズみたいなものだと思えば良いかと。
英仏の将兵が力を合わせて戦う夢の競演を楽しめますし、戦争モノなのに戦死も病死も無い緩い雰囲気の百年戦争編と違ってやたらシビアなのもorochiっぽい。
オリジナル同様唯一無二のコンセプト
英仏百年戦争という舞台設定の時点で、国産ゲーでは超希少な存在です。
ただ戦争特有のブラックな部分はせいぜい仄めかす程度しか取り上げないので、ガチガチの歴史ものをイメージすると拍子抜けするかも。
集団対集団での戦闘も同社の決戦シリーズは新作が途絶えており、他社で類似タイトルが見当たりません。
こういうゲームを遊びたい、という人にとっては唯一無二の選択肢となるでしょう。
また集団戦がウリのゲームなだけあって表示できる敵味方が増えれば増えるほど面白く、マシンパワーが向上したことの恩恵はとても大きいですね。
次世代機が主流になっている現在だと物足りなさを感じる部分はあるかもしれませんが。
兵種のバリエーションは非常に豊かだがバランスは・・・
ファランクスに侍、モンゴル騎兵、果てはラクダにゾウまで多種多様な兵種が存在しているほか、本作からの追加要素としてゴブリンやドラゴンといった魔物を率いる事も可能。
各兵種を少しずつ使ってるだけでも飽きずに楽しめるのでこの点は良いと思います。
一方でバランス面には問題があり、高機動高火力の騎兵系が圧倒的に強く、半ば一強状態と化しています。
これだけ兵種があるとバランスをとるのがほぼ不可能なのは仕方ないのですが、この騎兵一強ぶりは旧作でも全く同じだったので、多少なりとも調整をすべき部分だったんじゃないかなと。
また本作は経験値の入手方法に少しクセがあり、「ヒット数」と「コンボボーナス」で取得経験値が決まる為、手数の多い兵種とそうでない兵種で経験値効率に雲泥の差があります。
中でもコンボボーナスの影響は大きく、持続的な攻撃方法が無い弓騎馬などの兵種は成長面でかなり不利になってしまっています。
オリジナル版では低火力兵種の育成が厳しかった為の改修だと思われますが、結局新たな勝ち組と負け組を生み出してしまいました。
とにかくAIの出来が悪い
複数の部隊を運用し、同時に2箇所の拠点を攻めたりするといった戦略性も特徴なはずの本作ですが、AIの質が悪くちょくちょく機能しなくなります。
目を離すとすぐに壁や川に引っかかったり、兵が全滅してるのに一人突っ込んでいったり。
遠隔系の兵種も上手く扱えないらしく、はるか格下の相手にボコられることもしばしば。
結局主人公に追従させるのが一番活躍出来るというガッカリ感が勿体無いですね。
発売時期を考えてももう少しマシなAIを作れるだろと思うんですが、当時のまま手抜き移植しましたというのがバレバレで残念です。
要点まとめ
良い点
集団と集団を戦わせるゲームというコンセプトは良い
兵種のバリエーションが豊かで飽きない
悪い点
ゲームバランスが騎馬一強
成長面のバランスも悪い
とにかくAIの質が低すぎて戦略性を損なっている
総評
旧作の問題点を多数放置し、追加要素を入れただけの完成度の低い作品。
一言で言ってしまえば「手抜き移植」というやつです。
国産ゲームでは珍しい舞台設定や集団戦を主とするコンセプトなどオリジナル版で良かった点はそのまま良かったし、追加要素のナイトメア編も面白いのですが、当時から悪かった点がそのまま悪いので台無しです。
一時期のコラボ系無双なんかと同様で、続編が出ると一気に良作になり得るゲームだとは思います。
残念ながら続編が出るほど売れてないようで、復活する可能性はあまりないかもしれませんが、コンセプト自体には光る物があると思うので、いつか予算をしっかり投じた完全新作を作って欲しいものですね。
評価・・・6 - OKAY(可)/10
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