見出し画像

中高年の引きこもり(8050問題)

8.5%生活保護で生計

40~64歳の中高年のひきこもり状態の人が増えており

調査で、これらの8.5%の人が生活保護で生計を立てて

いると回答した。

中高年のひきこもりは近年、80歳代の親と50歳代の

ひきこもる子供の家庭になぞらえて「8050問題]として

指摘される。

高齢の親が死亡した後、生活保護を受給するひきこもり

の人は増えるとみられ、国は就労支援などの拡充を目指す。

調査では、無作為に抽出した40~64歳の5千人のうち、

1.45%がひきこもりと回答。この年代の人口が4235万人

だったことから、約61万3千人の中高年がひきこもりと

推計されるとしている。

同調査では生計手段も尋ねており、中高年のひきこもり

の当事者は、8.5%が「生活保護など」と回答。

中高年でひきこもり以外の人(0.7%)の12倍に上る。

また、ひきこもりの当事者が主な生計者を「父」や「母」

とした回答はやく34%で、親に依存して生活する傾向が

あること’も判明した。

親の年金を頼りに暮らす場合、親が亡くなり収入が途絶える

と、生活保護の受給者へと移行することが懸念される。

調査では、ひきこもりの約3割が40代半ばまでに達した就職

氷河期世代で、就職活動でのつまずきがその一因となっている

可能性も指摘されている。

政府はこのような状態が今後、財政負担になりかねないと

して、経済財政諮問会議で、ひきこもりの当事者ら就職氷河期世代

への集中支援を提言。ハローワークなどと連携し、就労支援を

進めていく方針を示した。

「中高年のひきこもり当事者がこれ以上高齢化する前に、自治体

などが担当部署に専門性の高い人材を配置して直接的にアプローチ

し、早い段階で自立支援につなげなければならない」と指摘する

意見がある。

中高年ひきこもり61万人

「いろいろなことにチャレンジできるようになりました。」

笑顔で話すAさんは2年前までの25年間、ひきこもり生活を

続けていた。

今は職場で任される仕事が増え、「認められることが嬉しい」

と手応えを感じている。

幼い頃から引っ込み思案。高校では同級生に避けられ、無視

された。孤立の苦しみは身体にも表れた。授業中によく腹の

調子が悪くなり、医師からはストレスから慢性的な下痢が続く

「過敏性腸症候群」と診断された。原因は明らかだったが、

「孤立している事実を知られたくないし、卒業だけはしたい」

と両親には相談せず、耐え続けた。

大学でも状況は変わらず、人と話すことに恐怖心を抱いたまま

で臨んだ就職活動は、就職氷河期の最中。不採用の通知を受ける

度に自分を責める一方、時代のせいにして安堵した。

これが、社会との隔絶の一歩になった。両親に疎まれないよう、

率先して家事や祖父母の介護を引き受けた。在宅時間が長くなり

近所への買い物や図書館にでかけるだけに。

人と話すことも苦痛で避けた。「母は私が祖父母の介護を引き受

けることで助かっていたと思う。そういう気持ちを利用していた。」

楽しいと感じることがない毎日が過ぎていった。

自助会で奮起

転機は数年前。祖父母が亡くなり、家に居場所のなさを感じていた

とき、父親に肝臓がんが見つかった。手術は成功したが、ずっと目

を背けてきた親の死後に待つ現実に不安を覚え、将来を真剣に考え

始めた。

世間では、中高年のひきこもり当事者と高齢の親の年齢をなぞらえて

名付けられた「8050問題」への警鐘が鳴らされていた。Aさんの両親

も70代。ひきこもりが続いていたら「8050問題」に足を踏み入れる

可能性は十分にあった。

就労経験が全く無いAさんは、自立に向けて何をすべきかわからなか

ったが、インターネットで見つけたひきこもりの支援会に参加を申し

こんだ。

会場への途中、緊張で吐いてしまい、何度も引き返そうとしたが「一生

後悔する」と自身を奮い立たせた。各地の支援会に顔を出し、参加者と

過去を語り合ったり、一緒に料理を楽しんだりすることで孤立感は薄れ

ていった。

ひきこもり当事者の居場所づくりに取り組む市民団体の

代表は,「[こんなことをしていてもだめだ]と自身の現状

を自覚することが脱却への第一歩だ」と指摘。

ハローワークに通い出すなど自発的に動き出せる人もい

るという。

そのため、周囲は「これからどうするの」などと責める

ような言葉ではなく、「[笑顔がすてき],[いきているだけ

でうれしい]といった、ありのままを受け入れる言葉を

かけることが大切だ」と話す。

























この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?