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【オメガバース小説】犬のさんぽのお兄さん【第33話】

【地方都市×オメガバース】オメガでニートの園瀬そのせあずさは、T中央公園を散歩中に謎の長髪イケメンアルファ(ダサい臙脂えんじのジャージ姿)に出会う。その瞬間、ヒートが起きて運命の番だと分かり——!?


 ところで、数日前に俺はついに運命のペンダントライトを見つけた。
 輸入品専門の通販サイトだが、客と個人のバイヤーをマッチングさせる仲介サイトのようなシステムで、俺が目を付けた商品はアメリカからの取り寄せだった。
「何だこれは。シャンデリア?」
 朝食を終え、自宅から持って来たノートパソコンに表示させた商品の画像を見せると、京一郎は眉を寄せてそう言った。
「良いだろ? プラスチックのシャンデリア!」
 俺が見せたのは、全てがプラスチック素材で出来たLEDの小振りなシャンデリアで、赤や黄に緑、青などカラフルなパーツで組み立てられている。チープだが、子どものおもちゃのようなポップなデザインが気に入った。
「丸切り子ども部屋用じゃないか。……ああ、ここを赤ん坊の部屋にするつもりなのか」
 京一郎は怪訝な顔をしていたが、途中から納得した様子でそう言ったから、俺は「そういうつもりじゃないけど」と答えて説明する。
「俺、子ども部屋っていうか、おもちゃ箱みたいなデザイン、好きなんだよね。チープだけどポップで、カラフルでごちゃごちゃしてるやつ……」
「なるほどな。俺とは丸切り正反対の趣味だが、なかなか良いじゃないか」
「だろ?」
 素直に肯定してくれたから、俺は嬉しくなった。それから「もう注文しよっかなー」と呟いてマウスを動かしていると、京一郎が言う。
「そう言えば、まだ気が早いが、赤ん坊の名前も決めなければいけないな。男と女、両方の」
「ええ、早くね? でも女って言っても、女性器が無いから女アルファの可能性しか無いんだよな……」
「そうだな。だから、あずさのように中性的な名前も良いな」
「まあ、梓ってどっちかっていうと女のイメージだけど……」
 俺はそう言うと、「京一郎」はズバリ長男! って感じの名前だよな、と思い、ふと尋ねた。
「そういや聞いたこと無かったけど、京一郎って兄弟居ないんだよな?」
「ああ。一人っ子だ」
「へえ、金持ちなのに! でも財産独り占め出来て良かったじゃん」
「お前な……」
 京一郎は俺の言い草に呆れたが、すぐに真剣な目つきになって言う。
「兄弟と言えば、俺は最低でも三人は子どもが欲しい」
「ええっ」
 あと二人も産まなければいけないのか、と思って顔を顰めていたら、至極真面目な口調で続けた。
「だから、一人目が二歳になったらまたなまでヤろう。ヒート期に中出しすれば一発でデキる」
「やっぱ身も蓋もねえし、めっちゃ計画的で引くわ!!」
 俺は眉を寄せたが、耳まで赤くしてそう叫んだ……。

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