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短篇SFの書き下ろしアンソロジー「NOVA」を読んだ。

 翻訳家で書評家でもある大森望の責任編集によるアンソロジー。
 そのときどきで勢いのある作家に声をかけて、あえてテーマは揃えずにSF短篇を書き下ろしてもらうという企画である。
 第1巻(2011年)では円城塔、北野勇作、小林泰三、斉藤直子、田中哲弥、田中啓文、飛浩隆、藤田雅矢、牧野修、山本弘という9人の作家と伊藤計劃の絶筆(「屍人の帝国」のプロローグ部分)を収録している。
 序で大森望は「この二十年ほど、単行本化を前提にした連作形式の短編ばかりが目立ち、SFに限らず、独立した短編が発表される機会は著しく減少している」と述べている。本格的なSF短編が定期的に載る媒体がもうすこしあってもいいのではないかとの意図から本書が生まれた。
 私が面白いと思ったのはぺしゃんこになってしまった会社を掘り起こす社員の姿を描いた「社員たち」(北野勇作)、月面基地での殺人ミステリー「七歩跳んだ男」(山本弘)、壮大な宇宙ロマンス「エンゼルフレンチ」(藤田雅矢)、屍人を活用する「屍人の帝国」(伊藤計劃)など。

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